資料:26件
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取引的不法行為と事実的不法行為
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「取引的不法行為と事実的不法行為」
論題
使用者責任に関して事実的不法行為(非取引的不法行為)に外形理論を適用することの可否について、判例において取引的不法行為につき外観主義の要素を加味した外形理論が述べられていることと対比して論じる。
取引的不法行為における外形理論
民法715条1項は「或事業ノ為メニ他人ヲ使用スル者ハ被用者ガ其事業ノ執行ニ付キ第三者ニ加ヘタル損害ヲ賠償スル責ニ任ズ。」としており、被用者の事業の執行時における第三者への不法行為については損害賠償の責任を負わせることを定めている。では、この「事業ノ執行ニ付キ」というものの範囲をいかに規定すべきであるのであろうか。この範囲について判例が示しているのが外形理論であると考えられている。そもそも条文に示されている内容を忠実に解釈するならば、使用者の事業の範囲内、または被用者が使用者に与えられている職権の範囲内にて行った行為のみにて第三者に損害を与えた場合とするのが妥当である。
しかし、これでは適用の機会があまりにも狭くなってしまうため立法趣旨が充分に生かされない、そこで範囲を事業の執行に関する等に拡大し注1、判例は職権濫用等にも対応できるようにしたものと考える。そのような中で、この「事業ノ執行ニ付キ」の範囲を対外的に示す基準として判例が挙げたものが、「「事業ノ執行ニ付キ」とは、被用者の職務執行行為そのものには属しないが、その行為の外形から観察して、あたかも被用者の職務の範囲内の行為に属するものとみられる場合をも包含するものと解すべき」(最判昭40・11・30民19巻8号2049頁)である。これは、外観上「事業ノ執行」であると正当な理由から信頼した第三者を保護することを趣旨としている。これが外形理論と解されており、客観的に外形より事業の範囲内と認識できたとき「事業の執行」と見なすとされている。また、否定例としては、被用者が職務権限外の手形振出行為を行った事例(最判昭52・9・12民31巻5号767頁)において、外形の成立に第三者に悪意・重過失があるとき(正当な理由のないとき)のみに外形の成立を認めないとしている。
外観主義は、本来は外観作出に有責あるものは、その作出した外観を信頼した者に対して、責任を負うというものである。しかし、取引的不法行為の外形理論においては、使用者・被用者の関係によって、すでに外観上の作出が常にあるという特殊なケースであり、外観作出の使用者の免責が考慮されることはほとんど期待できず、客観的外形と第三者の関係のみにより成立するものと考えられる。民法715条1項の「事業ノ執行二付キ」が認められた後の但書の免責事由については、外形理論が成立する時点で逃れることは困難となると考える。
では、事実的不法行為(非取引的不法行為)に外形理論を適用されるのかを検討することとする。
事実的不法行為での判例
被用者が私用のため会社の自動車を運転中し第三者に不法行為を行った事例①(最判昭39・2・4民18巻2号252頁)において、「被用者の行為の外形を捉えて客観的に観察したとき、使用者の事業の態様、規模等からしてそれが被用者の職務行為の範囲内に属するものと認められる」としたものがあり、外形理論が適用された例と考えられている。
外形理論が否定された例としては、被用者が自家用車を用いて出張中に第三者に不法行為を行った事例②(最判昭43・1・30民22巻1号63頁)、注2
私見
判例は取引的不法行為では明らかに外形理論を用いていると判断するが、事実的不法行為(非取引的不法行為)においては単に客
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共同不法行為
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前書)
民法は、709の不法行について、特殊の係にある者の特別な賠償責任について規定を設けている。共同不法行(719)は、この特殊の不法行のひとつである。これら特殊の不法行については、多くは普通の不法行の要件のうち、故意、過失を減したものであるといえる。
1)共同不法行者の責任
人が共同の不法行によって他人に損害を加えたときは、各自が連してその損害を賠償する責任を負う。共同行者のうちいずれの者がその損害を加えたかを知ることができないときも、同とする(7191項)
行者を唆した者及び幇助した者は、共同行者とみなして、前項の規定を適用する
(7192項)。
2)共同不法行の存在理由
709の不法行が競合する場合は、709の解によって、複の加害者は損害額の全額を賠償しなければならないという考え方に立つと、709の不法行が競合する場合に、7191項前段を適用して、不正連債務という果を導く判例の見解は、意味を失う。そこで、719前段の存在理由として、709によっては損害賠償を負わない者が、7191項前段にもとづいて損害賠償責任を負うという解が試みられるべきである。
3)共同不法行
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民法
共同不法行為
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共同不法行為
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最判平成13・3・13民55・2・328を読み、事実・争点・判旨を説明した後、そこで用いられている「共同不法行為」の意味を現在の共同不法行為理論に従って分析せよ。
1 事実
本件は、Xらの長男A(6歳)が交通事故後搬送されたY病院の医師Bの医療過誤により死亡したと主張して、Yに対し不法行為に基づく損害賠償を求めた事案である。
Aは自転車を運転中、タクシーと接触して転倒し、頭部等を打撲し、頭蓋骨骨折を伴う急性硬膜外血腫の障害を負った。
急性硬膜外血腫は、当初は意識清明期が存在するものの、その後に頭痛・嘔吐・傾眠・意識障害等が発生し、脳障害が始まって死亡するに至るものである。脳障害が始まってからの救命率は著しく低いものの、早期に血腫の除去手術をお粉場高い確率での救命の可能性がある。
しかし、Aが搬送されたY病院の医師は、経過観察をするかあるいは看護者に対し、急性硬膜外血腫の具体的症状等を説明し、経過観察を怠らないよう注意する義務があるにもかかわらずこれを怠り、頭部打撲挫傷と診断し「明日も診察を受けに来るように」「何か変わったことがあれば来院するように」等の指示をしただけで帰宅させた。
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事故
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競合的不法行為
709条
719条
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共同不法行為
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不法行為法
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問題:
「次の事実関係(基本を変えない限り適宜修飾してもよい)につき、709条(基本的不法行為)の要件を当てはめて損害賠償を請求するとすれば、いかなる法律論を主張し、どのような事実を立証すべきか。法律家に共有されている法律論であるか否か、立証の難易等を考慮しつつ説明せよ。」 1.手術をした医師が、多忙のあまり、回診・各種検査・医療機器の点検等を怠り、手術後の患者の容体を十分に把握していなかったために通常よりもきわめて長期間の入院を要する結果となり、かつ、後遺症が残ったため、退院後も定期的な来診を必要とする事態になった。 2.ある雑誌社が、「可愛い赤ちゃんの写真を集め、写真集を刊行したい」として取材を申し入れてきたので、母親はそれに応じて自分の赤ちゃんの写真を撮らせたところ、その写真が身元が分かる形でインターネットで公開された。母親は「大金をもらって取材に応じたのだろう」というような嫌がらせを受け、最悪の場合には誘拐されるかもしれないという恐怖を抱いている。 3.重い遺伝的疾患を持つ女性が妊娠した。生まれてくる子にその疾患が出ないか否かを何度も医師に確かめ、各種の検査も受けた結果、医師が
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過失
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民法
709条
平井説
保護範囲説
事実的因果関係
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民法:法人の不法行為
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法人の代表機関による不法行為につき、相手方をどのように保護すべきであろうか。
まず考えられるのは、110条を類推適用し、法人に効果を帰属させる方法である。
110条は「代理人がその権限外の行為をした場合」において、「第三者が代理人の権限があると信ずべき正当な理由があるとき」という相手方の善意無過失を要件として、代理人に対して本来の履行を請求することができると規定している。
この場合、不法行為によって生じた損害は、本来の履行によって回復される。
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相手方の保護
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不法行為に基づく請求権
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「不法行為に基づく請求権」
氏名:
報告年月日: 年 月 日
論点
不法行為に基づく請求権の要件としての因果関係につき民法416条を類推適用するという見解について報告する。
問題点
不法行為(民法709条)の成立要件は①故意または過失あること、②権利の侵害あること、③責任能力があること、④損害の発生があること、⑤行為と損害の間に因果関係があること5つである。さらに、この因果関係のなかで相当因果関係に当たるものが損害賠償の範囲となる。(詳細には㋑因果関係の存否、㋺賠償責任の画定、㋩賠償額の算定、の3つに分かれる。)
この損害賠償の範囲において、突発に生じる予見できない「不法行為」に契約により予見できている「債務不履行」の損害賠償の範囲を規定した民法416条を類推適用することに問題はないのかが争点となる。
因果関係と条文の分析
まず、因果関係について整理を行う。因果関係の存否とは事実的(自然的)因果関係であるが、現実問題として医療過誤や公害など複雑化・専門家しており、被害者がこれを完全に立証する事は困難である。そのため被害者救済の立場から、条件関係があり立証され
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不法行為における損害賠償の範囲
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(1)転売を予定されている物が不法行為により壊されてしまった場合に、加害者が被害者の転売利益を賠償すべき責任を負うのは、原則として、加害者が被害者の転売を阻止しようとする故意がある場合に限られる。
→× 過失による不法行為で損害を与えた場合でも、目的物が転売されるような性質のものであるならば、転売によって得べかりし利益にも予見可能性があるとして、加害者は転売利益の損害も賠償する責任を負う。つまり、転売阻止の故意がある場合に限らない。
(2)ABが川の対岸にいるCに同時に石を投げて、そのうち一つがCにあたり負傷した。この場合、因果関係の証明責任は被害者Cが負うので、CはABどちらの投げた石がCに当たったのかを証明できなければ、賠償責任を追及できない。
→× 719条1項後段により、共同で不法行為を行ったものの内加害者が特定できない場合には、因果関係が推定されるので、行為者全員が共同責任を負う。
(3)Aが窓からBを外に押し出して転落死させた場合でも、AがBから自殺の手助けを頼まれて実行した場合には、被害者の承諾があるので、AはBの遺族に損害賠償責任を負わない。
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民事不法行為における過失の判断基準
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過失の判断基準
1 誰の能力を基準とするか
刑事過失では、行為者本人の具体的な注意能力を基準として過失の有無が判断される(具体的過失)。こ
れに対して、民法 709 条の「過失」評価においては、平均的な人(合理人)ならば尽くしたであろう注意を
基準として過失の有無が判断される(抽象的過失)。
ここでいう平均人(合理人)の注意とは、社会生活の中で加害者の属する人的グループにとって平均(合
理)的な注意のことをいう。例えば、医師の診療上の過失の有無が問題となる場合、その医師が大学病院の
医師か、地域の中核病院の医師か、それとも開業医かや、医療事務に従事している地域はどのような地域
か、専門領域は何かなどといった観点から標準となる行為者グループが類型化され、その類型に属する人
にとって尽くす必要があると考えられる注意の内容が確定されるのである。
要するに、過失の判断基準として要求される注意の程度は、平均人(合理人)を基準とする「抽象的過失」
であり、職業・地位・地域性・経験などにより相対化・類型化されたものである。
2 いつの時点での能力を基準とするか
過失の有無が判断される基準
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一般不法行為の成立用件と効果について述べよ
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不法行為法の基本条文は民法709条である。ここでは、不法行為の要件及び効果の大原則を規定して、過失責任の原則及び自己責任の原則に立つことを明らかにしている。一般的不法行為の成立には、財産的損害や精神的損害などの損害発生がもととなる。成立要件を4つにまとめ述べてみる。 ?加害者の行為に故意や過失があること。
故意・過失は自己の行為であり、その者の意識ある挙動・加害行為があることを要する。加害行為とは、睡眠中や人に突き飛ばされた為のやむを得ない行為ではない。不法行為法では、人の行為に一定の視点から評価を加えるため、責任能力を欠いた行為として責任を否定することも考えられる。 「故意」とは、違法な結果が生じることを知りながら行為を行う心理状態をいう。「過失」とは、自己の行為により、違法な結果が生じる認識や注意を欠く行為を行う心理状態をいう。また過失は、注意義務違反とも呼ばれ、必要な注意を払っていれば、他人に損害が生じても責任は追及されない。例えば、福祉施設などで人が十分注意していても起きた予想外の事故である。また、不法行為法では、一般人の注意程度を示す「抽象的過失」が基準とされる。過失有無の判断は、専門的な知識(医者・看護婦など)を持つ者が、危険の高い行為を行う場合は一般人より高い義務が要求される。
?加害者に責任能力があること。
加害者が、自己の行為の結果予測や結果を回避する判断ができることが前提となる。例えば、幼児が石をなげて他人の家の窓ガラスを割った場合、幼児自身は不法行為の責任を負わない(監督者たる親の責任が生じるのは別の問題である)。このような行為の結果を認識して回避し、注意の程度を判断できる能力を責任能力と呼ぶ。能力を欠くために、責任を負わない者を責任無能力者という。民法は責任無能力者として、責任能力を欠く未成年者と心身喪失者を明示している(712・713条)。
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一般不法行為
成立用件
効果
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不法行為とエホバの証人輸血拒否事件
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自己決定権とは、憲法上明記されていない権利であるが、憲法13条を根拠として、新しい人権(自律的な個人が人格的に生存するために不可欠と考えられる基本的な権利)のひとつとして保護するに値する法的利益と考えられている。この場合、自己決定権として保護されるのは人格的生存に関わる私的事項といえることである。そして、人権一般の内在的制約として他者の権利や公共の利益との関わりの中で判断される。患者の治療を選択する権利もこの限りで認められるといえる。また、いかに真摯なものであっても単に厭世のために命を放棄するような自殺の選択は許されないと考えられている。これは人権の根本概念ともいえる生命の尊厳に反するので、自己決定の濫用(民法1条3項)となるであろう。
本件の場合、憲法20条でも保護されている宗教の信仰を守るということは、人格的生存に不可欠というべきである。たとえ死を伴うこととなっても、それは死を選択しているのではなく、信仰を貫くことを選択したのであるから、自己決定権として保護される。
また私人間効力の問題にもなるが、私人による人権の侵害は民法709条を適用して保護をはかればよい。
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