憲法;訴訟と非訟

閲覧数2,842
ダウンロード数5
履歴確認

    • ページ数 : 2ページ
    • 会員550円 | 非会員660円

    資料紹介

    憲法82条は公開の裁判を保障している。しかし、離婚訴訟や親子関係の事件などのように、プライバシー保護の観点から非公開が望ましい裁判に関して不都合が生じてしまう。
    そこで、憲法32条の裁判を受ける権利は必ずしも公開裁判を保障しているわけではなく、また、常にすべての裁判が憲法82条によって公開されなければならないわけではないと解することになる。
    他方、国家の後見的作用が増大、裁判所も後見的に国民の生活に関与せざるを得ない場面も増えてきた(夫婦の同居義務に関する問題や借地事件で地代をいくらにすればよいか等)。
    つまり、通常の民事裁判のように一刀両断で原告の請求を認めるか否かという判断をするのではなく、裁判所も当事者と一緒に妥当な解決を探るという関与の仕方が求められるに至ったのである。⇒このような事件処理を非訟事件という。
    それでは、非公開が行われる非訟事件の裁判を受ける権利は、憲法32条で保障されているか。
    この点、通説は公開・対審は32条にいう「裁判」の基本原則であるが、唯一絶対ではなく、すべての裁判について、その事件の性質・内容に応じた最も適切な手続によるべきことが、32条の要求するところであるといえるから、保障されるとしている。
    これに対し、判例は、32条の「裁判」は、82条の「裁判」と同じく純然たる訴訟事件を意味するから、非訟事件は32条の「裁判」に含まれないとして、保障されないとしている。

    資料の原本内容 ( この資料を購入すると、テキストデータがみえます。 )

    訴訟と非訟
    1.問題の所在
    憲法82条は公開の裁判を保障している。しかし、離婚訴訟や親子関係の事件などのよ
    うに、プライバシー保護の観点から非公開が望ましい裁判に関して不都合が生じてしまう。
    そこで、憲法32条の裁判を受ける権利は必ずしも公開裁判を保障しているわけではなく、
    また、常にすべての裁判が憲法82条によって公開されなければならないわけではないと
    解することになる。
    他方、国家の後見的作用が増大、裁判所も後見的に国民の生活に関与せざるを得ない場
    面も増えてきた(夫婦の同居義務に関する問題や借地事件で地代をいくらにすればよい
    か等)。
    つまり、通常の民事裁判のように一刀両断で原告の請求を認めるか否かという判断をす
    るのではなく、裁判所も当事者と一緒に妥当な解決を探るという関与の仕方が求められ
    るに至ったのである。⇒このような事件処理を非訟事件という。
    それでは、非公開が行われる非訟事件の裁判を受ける権利は、憲法32条で保障されて
    いるか。
    この点、通説は公開・対審は32条にいう「裁判」の基本原則であるが、唯一絶対では
    なく、すべての裁判について、その事件の性質・内容...

    コメント0件

    コメント追加

    コメントを書込むには会員登録するか、すでに会員の方はログインしてください。