民訴法:文書提出命令について

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    資料紹介

    公害・環境・医療事故・薬害・製造物責任等のいわゆる現代型訴訟では、証拠が一方当事者に偏在しており、そのことが事案の真相解明を阻む要因となっていた。確かに、旧法下でも利益文書・法律関係文書の範囲を拡張することにより、当事者間の証拠についての実質的平等を図っていたが、解釈論としては限界があった。そこで、新法では、文書提出義務についても証人義務と同様の取り扱いを認めて、旧法における原則と例外を逆転させた。
    まず、企業・私人が所持する文書については原則として提出義務がある(新法220
    条4号)とした。
    また、平成13年改正により、公務員または公務員であった者がその職務に関し保管
    し又は所持する文書(公務文書)の文書提出義務が一般化された。平成8年改正の際には、
    私人が所持する文書の提出義務について220条4号で一般義務化されたが、公務文書
    については除外して規定していた。これは当時政府部内で進められていた行政情報公開
    制度に関する検討と平行して総合的な検討を行う必要があるとされたためであり、附則
    にて必要な措置をとる旨を定めて一般化を先送りしていた。その後、「行政機関の保有す
    る情報の公開に関する法律」が制定されたのを受けてなされたのが、この改正である。
    すなわち、220条4号の「(公務員又は公務員であった者がその職務に関し保管し、又
    は所持する文書を除く。)」という括弧書を削除して、公務文書についても私人が所持す
    る文書と同様に一定の除外文書を除いて一般的に文書提出義務があるものとされた。そ
    して、この一般義務化に伴い、除外文書の内容が整備され(220条4号イ〜ホ)、高度の
    公務秘密文書に関する司法審査の特則が創設された(223条4項)。

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    文書提出命令について
    1.はじめに
    公害・環境・医療事故・薬害・製造物責任等のいわゆる現代型訴訟では、証拠が一方当
    事者に偏在しており、そのことが事案の真相解明を阻む要因となっていた。確かに、旧
    法下でも利益文書・法律関係文書の範囲を拡張することにより、当事者間の証拠につい
    ての実質的平等を図っていたが、解釈論としては限界があった。そこで、新法では、文
    書提出義務についても証人義務と同様の取り扱いを認めて、旧法における原則と例外を
    逆転させた。
    まず、企業・私人が所持する文書については原則として提出義務がある(新法220
    条4号)とした。
    また、平成13年改正により、公務員または公務員であった者がその職務に関し保管
    し又は所持する文書(公務文書)の文書提出義務が一般化された。平成8年改正の際には、
    私人が所持する文書の提出義務について220条4号で一般義務化されたが、公務文書
    については除外して規定していた。これは当時政府部内で進められていた行政情報公開
    制度に関する検討と平行して総合的な検討を行う必要があるとされたためであり、附則
    にて必要な措置をとる旨を定めて一般化を先送り...

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