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伝統で検索した結果:91件
明治維新以降の約一世紀、日本の社会は急速に変化したが、その様子は文学にも様々な形で表現されるようになった。 西洋文化を模倣し、身分制度が崩壊されたものの、急激な変化に人々は戸惑うことになる。それは森鴎外(一八六二~一九二二)の『雁』(一九一一・九~一九一三・五)の描写でも窺い知る...
文学と芸術は、日本においても古代から関わりがあり、発展してきた。 加藤周一氏は、日本の芸術家と社会との関係性には二つの型がある、と論じている。(参考文献①)一つは平安時代のように芸術がその社会の中で生きてゆく為に必要不可欠なものであった平安時代タイプである。またもう一つは鎌倉時代...
日本の近代文学では、明治維新後封建制度が崩壊した社会を生きる女性が様々に描かれている。 樋口一葉(一八七二~一八九六)の『十三夜』(一八九五)のお関は、身分違いの結婚生活に不満を持ち、実家に戻り離婚の相談をする。しかし元士族である父の古い考えに諭され、一族の安泰を考え自分自身の幸...
『万葉集』は現存最古の和歌集で、この作品の成立以降には、勅撰和歌集の『古今和歌集』を始め、日本では数々の和歌集が編纂され続けた。この『万葉集』の特質と意義について述べてみたい。 まず特質の一つは様々な作者である。冒頭は雄略天皇の御製歌で飾られているように、特に初期の巻一・二は史...
古代歌謡とは、古代村落共同体の中で神事や祭式の場で歌われたものの名称である。主に『古事記』『日本書紀』『風土記』、又『琴歌譜』『続日本紀』『古語拾遺』などに収められている歌謡を指すが、中でも『古事記』『日本書紀』に収められた歌謡は記紀歌謡と呼ばれており、約240首もの歌謡が謡われ...
『万葉集』は舒明期から淳仁期までの約130年に渡って詠われた現存最古の歌集である。20巻からなるこの歌集は、約4500首に及ぶ様々な歌が詠われている。一般的に時代は4期に分けられており、作品は時代の風潮により特徴がみられる。代表的な歌人とその歌風について時代別に述べてみたい。 ...
茶・花・香は現代でも日本の伝統芸として、親しまれているものであるが、それらは中世に成立したものと言われている。 それぞれ誰が中心となり、展開を見せたのか述べてみたい。 まず茶道であるが、奈良時代に中国に渡った遣唐使や僧侶たちが、薬として茶を持ち帰ったのが始まりと言われている。...
能と狂言はいずれも室町時代に大成されたものであり、総称して「能楽」と呼ぶ。 能は笑いを含まない重厚な歌舞劇で、狂言は笑いを中心とした軽妙な対話劇であり、一見対照的に感じられる。しかしいずれも平安時代から続く「猿楽」から発展したものであり、同じ舞台で対に演じ、互いの演劇を一層引き...
北山文化は室町時代初期の文化で、十四世紀後半から十五世紀後半までを指す。日本の文化はそれぞれ時代名で呼ばれることが多いが、室町時代後期に京都東山で開花した東山文化に対し、この文化の特徴がそれぞれ異なる事から北山文化と呼ばれている。 南北朝時代の動乱を経て、安定した幕府確立を背景...
歌舞伎十八番とは、上方と対比される荒事の要素が詰まった成田屋のお家芸のことである。 演目は『鳴神』『毛抜』『暫』『矢の根』『景清』『助六』『勧進帳』『鎌髭』『不破』『不動』『嫐』『象引』『押戻』『外郎売』『七つ面』『毛抜』『解脱』『蛇柳』の十八からなる。 山本二郎氏は『名作歌...
『論語』は孔子(前五五一~四七九)の死後、彼の弟子らが孔子の言葉や行動、その弟子達らの問答を集録したものであるが、秦の始皇帝の焚書などによりありのままの形で残ってはいない。今伝えられているものは何種類かの伝承を集めたものである為、時代を経て様々な解釈が存在することになってしまって...
今日では世界中でも支持されている日本の伝統芸能・歌舞伎には「和事」と「荒事」の二種類の演出様式がある。 急速な政治・経済の発展を成した活気ある元禄時代にそれぞれは確立された。上方歌舞伎を「和事」、江戸歌舞伎を「荒事」と言うが、それぞれにどのような特徴があるか、比較検討しながら述...