資料:3件
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記憶の測定論
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実験の説明
自由再生法の課題において、1.有意味語と無意味語のリストを用いて、学習材料の意味の違いが両者の全体的な再生率や系列位置効果に及ぼす影響を検討すること、2.それぞれのリスト呈示直後の再生(直後条件)と30秒間の挿入課題の後に再生させる遅延条件を設定し、これらと系列位置効果との関係を明らかにし、短期記憶と長期記憶に関する記憶の2段階モデルの妥当性を検討することを目的とする。
実験デザイン
単語の意味性(有意意味語・無意味語)<被験者間要因>
保持期間(直後・遅延)<被験者内要因>
■仮説
1、系列位置効果に関して 系列位置効果があるならば最初と最後の部分が記銘され、中央部が記銘されにくいので最初の部分と最後の部分の再生率が高くなるだろう。
2、直後、遅延条件に関して
直後、遅延条件によって差が出るならば遅延効果は、最後の部分の記銘をしにくいので新近性効果が見られないだろう。
3、学習材料の意味度の違いについて
学習材料によって再生率に違いが現れるならば、有意味のほうが人間にとって必要な情報として脳で処理され記銘されやすいので有意味のほうが再生率が高くなるだろう。
方 法
<手続き>
両群とも、項目呈示直後に再生する直後再生条件を2試行、30秒の挿入課題を行った後に再生する遅延再生条件を2試行、一人あたり計4試行をランダムな順でおこなう。実験者はコンピューターに各リストをセットし、解答用紙を与えた後に被験者に教示を与える。
実験者は装置を起動させ、画面に出る教示を読み上げて、被験者に説明する。解答用紙は試行を始める前に、被験者の手元に用意する。再生が終わった後また解答用紙を与え、他のリストを用いて同様の手続きで計4回試行をおこなう。再生の終了から次の試行の項目の提示の間は15秒とする。
直後条件の場合の教示
これから画面に各項目2秒の割合(項目提示時間1秒、項目間隔時間1秒)で1つずつ漢字熟語(有意味語群の場合)/かな2文字(無意味語群の場合)が全部で15項目呈示されます。はじめに凝視点(*マーク)が呈示されますから印のところに視点をあわせてください。単語は1度声に出して読みよく覚えてください。15項目の呈示が終わった直後に、順番に関係なく画面に出た漢字の熟語/カナ2文字を思い出して、思い出した順に解答用紙に記入してください。
遅延再生条件の場合の教示
これから画面に各項目2秒の割合(項目呈示時間1秒、項目間隔時間1秒)で1つずつ漢字熟語(有意味語群の場合)/カナ2文字(無意味語群の場合)が全部で15項目呈示されます。はじめに(*マーク)が呈示されますから、印のところに視点をあわせてください。単語は1度声に出して読み、よく覚えてください。15項目の呈示が終わった後に、同様の割合で4桁の数字が1つずつ全部で15種出ますから、呈示された数字から3を引いた数値をその答えとして次の数字がでるまでにできるだけ正確に答えてください。この引き算を15回やった後に、出た順番に関係なく画面に出た漢字の熟語/カナ2文字を思い出して、思い出した順に解答用紙に記入してください、なお数字は覚える必要はありません。
材料の作り方
1.刺激を作る前に、有意味語の刺激を作る群と無意味語の刺激を作る群に分かれる。
2.有意味語作成群は付表1を見て、記入用紙にリストを4つ作る。
・付表1のAからランダムに30語を選出し、15語ずつの2つのリストに分ける。
→リストA-1と、リストA-2を作成
・付表1のBからランダムに30語を選出し、15語ずつの2つのリストに分ける。
→リス
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短期記憶の記憶範囲測定における上下法と恒常法の比較
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問題と目的
心理学とは自然科学と異なり物理量でない概念を扱うので、ある心理的事象の量に対して、それを測定する為に必要な物理的事象との対応関係を知ることが重要となる。精神物理学的測定法(psychophysical method、心理物理学測定法ともいう)は、Fechner(1860)の考案した精神−身体間の関数関係を導く手続きが研究の末に洗練されたものである。現在使われている主な精神物理学的測定法には調整法・極限法・恒常法の3種類があり、おのおの長所と短所がある。本実験では短期記憶の容量を測定という同一の心理量の測定に、極限法の一種である上下法と、恒常法の2種類を用いてその特徴を比較・検討する。
短期記憶とは人間の記憶モデルに関する研究の中で考案された概念であり、元々はAtkinson & Shiffrin(1968)の提唱した二重貯蔵モデルで用いられた。このモデルは人間の記憶を短期貯蔵庫と長期貯蔵庫に分類し、外界からの情報はまず短期貯蔵庫に入り短期記憶となり、そこでリハーサルと呼ばれる情報の維持活動を経て、我々が必要な時に思い出して使用できる長期記憶へと変換されるとしている。更にこのモデルでは、長期記憶の容量は無限であるが短期記憶には容量の限界があるとされている。これに関して、Miller(1956)が提唱したチャンクという概念を用いた説明がある。これによると人間の短期記憶はチャンクという情報のかたまりごとに保持されており、短期記憶で保持できるチャンクは個人差を考慮しておよそ7±2であるという。この7±2という数をマジカルナンバーという。例えば無意味な数字列を記憶する場合、おのおのの桁が1つのチャンクで保持されるとすると10桁以上は記憶できないことになる。しかし「0810」という数字列を「オハイオ」のように語路合わせでひとまとめにして覚えれば1つのチャンクで保持されるため、必ずしも記憶できる数字列が9桁以下であるというわけではない。
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