2-1完全規格直交系

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    完全規格直交系
    ブラ・ケット記法を理解するための数学的基礎
    級数展開
     あらゆる波形が三角関数の組み合わせで表現できてしまうという話を知っているだろうか。 例えば、次のような無限個の関数の集まり(関数系)を考える。
     このそれぞれの関数に定数を掛けて全てを足し合わせるだけでどんな波形でも作り出せてしまうわけだ。 詳しく知りたい人は「フーリエ級数」と呼ばれる分野を学ぶといい。 どっちにしても理系の学生にとっては必須科目だ。
     ただ非常に残念なことに、この話は -π≦x≦π の範囲でしか成り立たない。 周期関数をいくら重ね合わせたところで同じ周期で繰り返す波形しか作り出せないのは当然のことだ。
     似たような性質を持つ関数系は他にもある。 例えばルジャンドル関数と呼ばれる関数を無限に集めたものを使えば上と同じ話が成り立つのだが、やはりこの場合も -1≦x≦1 の範囲に限られている。  変数変換をしてスケールをいじってやれば範囲を引き伸ばすことは出来ようが、無限に伸ばすわけにも行くまい。
     -∞≦x≦∞ の範囲であらゆる形の関数を和の形で表すことの出来る万能な関数系は存在しないのだろうか? 世の中はそんなに甘くはない。 無限の範囲でどんな形の関数でも表せるようにするためには飛び飛びの関数の和ではなく、積分計算が必要になってくるのである。 詳しく知りたい人は「フーリエ変換」を学ぶといいだろう。
     実はこのことはシュレーディンガー方程式を解く時の固有値の問題と深く関わっている。
     粒子が束縛状態にない場合の波動関数は無限遠で0にならず、運動量やエネルギーの値は連続的なあらゆる値が許されることになる。 この状態を表すためには、あらゆる値に対応する関数の連続的な和、すなわち積分計算をしてやらなければならない。
     一方、有限の箱の中に閉じ込められたり、周期的な境界条件を加えられた粒子の運動量やエネルギーは飛び飛びの値しか取れなくなる。 この場合には、それぞれの状態に属する飛び飛びの無限個の状態を足し合わせるだけであらゆる状態が表現できてしまうわけだ。 だから和の形で表せる関数の範囲が限られているとしても量子力学の計算で困ることはないのである。 詳しく知りたければ「スツルム・リウビユ問題」を調べるといい。 微分方程式の解と境界条件についての数学的な話だ。
     これからの説明は運動量やエネルギーがそういう離散的な値を取る場合にのみ適用できる話であることを念頭に置いて聞いてもらいたい。 連続的な場合については後で補足しよう。
     多くの教科書ではいきなり抽象的な話から始めて、「むしろそちらを基本原理とする」という具合に持っていくわけだが、こういう場合分けを避けようとしているのだろうか。 しかしここまで別に難しい話でもないだろう?
    完全系
     三角関数やルジャンドル関数などのような性質を持った関数は他にもあるが、具体的な形を書くのは面倒であるので、
    のように簡単に表現してひとまとめに議論することにしよう。 この表現を使ってここまでの話をまとめれば、つまり、適用範囲は限られているがどのような関数でも
    のように無限の項に展開して表現できてしまうということだ。 このような性質を持つ関数系を「完全系」と呼ぶ。 先ほどの三角関数の集まりも -π≦x≦π の範囲で完全系だと言える。
     あまりにもサラリと説明してしまったが、このことは非常に感動してもらって構わない。 今回の話の核心部分であり、過去に多くの学者たちも感動したところである。 ・・・しかし感動している暇はな

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    完全規格直交系
    ブラ・ケット記法を理解するための数学的基礎
    級数展開
     あらゆる波形が三角関数の組み合わせで表現できてしまうという話を知っているだろうか。 例えば、次のような無限個の関数の集まり(関数系)を考える。
     このそれぞれの関数に定数を掛けて全てを足し合わせるだけでどんな波形でも作り出せてしまうわけだ。 詳しく知りたい人は「フーリエ級数」と呼ばれる分野を学ぶといい。 どっちにしても理系の学生にとっては必須科目だ。
     ただ非常に残念なことに、この話は -π≦x≦π の範囲でしか成り立たない。 周期関数をいくら重ね合わせたところで同じ周期で繰り返す波形しか作り出せないのは当然のことだ。
     似たような性質を持つ関数系は他にもある。 例えばルジャンドル関数と呼ばれる関数を無限に集めたものを使えば上と同じ話が成り立つのだが、やはりこの場合も -1≦x≦1 の範囲に限られている。  変数変換をしてスケールをいじってやれば範囲を引き伸ばすことは出来ようが、無限に伸ばすわけにも行くまい。
     -∞≦x≦∞ の範囲であらゆる形の関数を和の形で表すことの出来る万能な関数系は存在しないのだろう..

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