2-11ギブスの相律

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    ギブスの相律
    それと三重点の話。
    多成分系の平衡
     前回は2成分が混じった場合の具体例を説明した。 そこでは2つの相(液相と気相)の間の平衡についてしか話さなかったが、現実には3つ以上の相が同時に存在するような状況も起こり得る。 液相と気相と固相の3つ以外にどんな相があるんだと思うかも知れないが、それは次回の相転移の話の中で説明しよう。
     今回はあらゆる可能性を理論的に考えることをしたい。 α 種類の成分が β 個の相を作る状況についての話である。 ここまで話を広げると具体的な話をするのが難しいので、おおよその状況を把握する程度になるだろう。
     各相にはそれぞれ α 種類の成分が含まれていると考えておこう。 前回ちょっと話した塩水の蒸発のように、気相に塩の分子が出て来ないような状況も考えられるが、必ずごく微量は出てくるはずなので全ての相に全ての成分が含まれると考える。 つまり、α β 個の化学ポテンシャルが定義されるわけだ。
     他の変数としては何があるだろうか。 各相の温度 Ti と圧力 pi が重要な要素である。 つまり 2 β 個の変数が追加される。
     さて、各相の間の平衡条件としてまず挙げられるのは、全ての相で温度、圧力が等しいことである。
     これは ( β - 1 ) × 2 個の等式で結ばれていることから、温度、圧力にだけ関して言えば、
    2 β - 2 ( β - 1 ) = 2
    の計算により2つ分の自由度だけが残されていることになる。 平衡状態での各相の圧力と温度は、全て等しく p、T となっていて、2つの変数だけあれば状態が表し切れるということを表している。 以上は当たり前の話ではあるが、こんな調子で話を続けていこう。
     この他の平衡条件として、各相で化学ポテンシャルが等しいという「共存条件」がある。 ただしこれは水なら水、アルコールならアルコールといった具合に各成分について別々に考えれば良くて、水とアルコールの化学ポテンシャルを比較する必要は全くない。 これは前回も説明した。 成分 k の 第 i 番目の相における化学ポテンシャルを と表すことにすると、
    ということであって、これは β-1 個の等式である。 それが各成分の数だけあるのだから、合計 α(β-1) 個の束縛条件があることになる。 つまり、化学ポテンシャルについての自由度は、
    α β - α ( β - 1 ) = α
    だということになるだろうか。 いや、それで全てではない。 各相の化学ポテンシャルの間には、
    という「ギブス・デュエムの式」が成り立っていたことを思い出そう。 このためにさらに β 個の制限が追加されることになる。
     ここまで分かり易さの為に「化学ポテンシャルの自由度」「温度、圧力の自由度」などと区別して話してきたが、そもそも化学ポテンシャルは温度、圧力の関数になっているのだから、分けて考えることに大した意味はない。 それで最終的に全体でいくつの自由度が残されていることになるだろうか。 まとめると、自由度 f の数は次のようになる。
    f = 2 + α β - α ( β - 1 ) - β = 2 + α - β
     これが「ギブスの相律」と呼ばれる式である。
    自由度について
     前に「ギブス・デュエムの式は自由度に制限を加えるようなものではない」という話をしたが、上ではギブス・デュエムの式を束縛条件として使っている。 これは矛盾したことを言っているのではないかと受け取られるかも知れないので、ちゃんと言い開きをしておこう。
     

    資料の原本内容( テキストデータ全体をみる )

    ギブスの相律
    それと三重点の話。
    多成分系の平衡
     前回は2成分が混じった場合の具体例を説明した。 そこでは2つの相(液相と気相)の間の平衡についてしか話さなかったが、現実には3つ以上の相が同時に存在するような状況も起こり得る。 液相と気相と固相の3つ以外にどんな相があるんだと思うかも知れないが、それは次回の相転移の話の中で説明しよう。
     今回はあらゆる可能性を理論的に考えることをしたい。 α 種類の成分が β 個の相を作る状況についての話である。 ここまで話を広げると具体的な話をするのが難しいので、おおよその状況を把握する程度になるだろう。
     各相にはそれぞれ α 種類の成分が含まれていると考えておこう。 前回ちょっと話した塩水の蒸発のように、気相に塩の分子が出て来ないような状況も考えられるが、必ずごく微量は出てくるはずなので全ての相に全ての成分が含まれると考える。 つまり、α β 個の化学ポテンシャルが定義されるわけだ。
     他の変数としては何があるだろうか。 各相の温度 Ti と圧力 pi が重要な要素である。 つまり 2 β 個の変数が追加される。
     さて、各相の間の平衡..

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