2-102成分・2相平衡の例

全体公開
ダウンロード pdfダウンロード
ページ数7
閲覧数1,344
ダウンロード数15
履歴確認

    ファイル内検索

    資料紹介

    2成分・2相平衡の例
    化学に近い物理。
    状況の説明
     2種類の分子が混じった液体を考える。 水とアルコールの混合液はかなり身近な例だろう。 いや、化学的に身近だという意味で言ったのだ。 私は酒類は飲まない。
     この混合液(水割り?)を真空容器に半分ほど注いでやれば、残りの空間は水蒸気とアルコール蒸気の混合気体で満たされるだろう。 この状況下での気相と液相の平衡はどのような条件で保たれているのだろうか。
     これまでの論理をそのまま使えばいい。 分子の移動量がつりあうための条件はそれぞれの相の化学ポテンシャルが等しい事であった。 しかし水が移動してアルコールになるわけではないのだから、水とアルコールの化学ポテンシャルが等しくなっている必要はない。 水蒸気は液体の水と、アルコール蒸気は液体のアルコールとそれぞれで釣り合っていればいい。
     ところで重要な確認がまだだった。 純粋な物質の場合には「化学ポテンシャルとは1モルあたりのギブスの自由エネルギーである」と定義しておけば、誤解のしようがなかったが、混合物の場合にはこの表現を使ったのでは複数の解釈が許されてしまって、「水分子とアルコール分子を合計して1モル取り出した時に、その中に含まれる、それぞれの分子のギブスの自由エネルギー」のことではないかと疑う事も出来てしまう。
     実際はそんなややこしい解釈はしなくても良くて、素直に「各分子を1モル取り出した時のギブスのエネルギー」だと考えておけばいい。 落ち着いて考えれば当然のことだ。 液相の水分子1モルが気相の水分子1モルに変化する時、あるいはその逆の変化をする時のエネルギー差が問題なのであるから、液相の水分子1モルと気相の水分子1モルのギブスエネルギーを比較しないと意味がない。 前回、全体のギブスのエネルギーを
    のように表せると考えたが、これをそのまま素直に受け止めてもらえれば問題ない。 ここで添え字の a はアルコール、w は水を表している。
     純粋な物質を扱った時には、化学ポテンシャルは温度 T と圧力 p のみの関数であった。 しかし混合した場合にはその混合の仕方によっても値が変化すると考えるべきである。 つまり濃度にも依存するということだ。 そこでアルコール濃度を次のように定義しておこう。
     難しいことはなくて、ごく当然の定義である。 そして、ここまでをまとめれば、化学ポテンシャルは μ ( p, T, x ) という形の関数になっているということである。
     上で全体のギブスのエネルギーの式を書いたが、平衡状態でない場合には化学ポテンシャルの値はそれぞれ異なるので、液相と気相とで別々に考えておくべきである。
     少し添え字を増やしたが慌てないで欲しい。 液相に関係する量には liquid の頭文字 l を、気相に関係する量には gas の頭文字 g を付けて区別してある。
    何が起こるか
     準備は整った。 共存条件を考えよう。 水の共存条件は
     アルコールの共存条件は、
    と書ける。 純粋な物質の場合にはこのような条件式は一つだけしかなくて、それは f ( p, T ) = 0 という形にすることができた。 それは蒸気圧曲線を表しており、そこから沸点を求めたり飽和蒸気圧を求めたりしたのだった。 今回は式は2つあって、次のような xl を消去したものと、xg を消去したものとの2通りの式を導く事が出来るはずである。
     変数が3つあるからこれをグラフに表すのはちょっと大変だ。 圧力 p を固定すれば次のような感じになる。 横軸がアルコ

    資料の原本内容( テキストデータ全体をみる )

    2成分・2相平衡の例
    化学に近い物理。
    状況の説明
     2種類の分子が混じった液体を考える。 水とアルコールの混合液はかなり身近な例だろう。 いや、化学的に身近だという意味で言ったのだ。 私は酒類は飲まない。
     この混合液(水割り?)を真空容器に半分ほど注いでやれば、残りの空間は水蒸気とアルコール蒸気の混合気体で満たされるだろう。 この状況下での気相と液相の平衡はどのような条件で保たれているのだろうか。
     これまでの論理をそのまま使えばいい。 分子の移動量がつりあうための条件はそれぞれの相の化学ポテンシャルが等しい事であった。 しかし水が移動してアルコールになるわけではないのだから、水とアルコールの化学ポテンシャルが等しくなっている必要はない。 水蒸気は液体の水と、アルコール蒸気は液体のアルコールとそれぞれで釣り合っていればいい。
     ところで重要な確認がまだだった。 純粋な物質の場合には「化学ポテンシャルとは1モルあたりのギブスの自由エネルギーである」と定義しておけば、誤解のしようがなかったが、混合物の場合にはこの表現を使ったのでは複数の解釈が許されてしまって、「水分子とアルコール..

    コメント0件

    コメント追加

    コメントを書込むには会員登録するか、すでに会員の方はログインしてください。