1-9物質中での磁場

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    物質中での磁場
    B と H はどう違う
    磁場の強さ H と磁束密度 B
     ここまでは磁場を B という記号で表してきたが、電磁気学では磁場を表すのにもう一つ、H という記号で表される概念がある。 今回の説明の中ではこの二つの概念をはっきりと区別するために B を「磁束密度」と呼び、 H を「磁場の強さ」と呼ぶことにする。 これらの呼び方は歴史的な背景を持つものであって、必ずしも概念の本質を表すものではないということをあらかじめ注意しておこう。 私はこのことを聞いてはいたが軽く考えていたのでひどく悩まされることになってしまったのである。
     私は学生の頃には深く考えることをしていなかったので、 「磁場の強さ H は磁性体の有無に関わらず一定の値をとる」という結論だけを聞いて、「状況に関わらずに一定の値を取る方がより本質的な物理量に違いない」と勝手に信じてしまっていた。 名前からしてもそんな気がするし、マクスウェル方程式の形を見ても電場 E と対を成しているのは磁場の強さ H の方であるようだ。  しかし、実際は逆なのである。  このあたりの話は電磁気学の中でも少し面倒な部分となっているので今回の説明でこのような混乱をすっきりさせようと思う。
     説明の仕方さえ気をつければ誰も混乱するはずのないとても簡単な話である。
    分子電流
     物質は無数の原子から出来ており、原子は原子核と電子から出来ている。 この電子が原子核の周りに角運動量を持っているために、原子の周囲には円形の電流が流れているのと同じ状態になっている。 この電子の運動が作り出す円形電流によって原子の一つ一つが微小な電磁石になっていると考えられる。
    注:今回の議論の本筋とはあまり関係はないのだが、これだけの説明では読者に誤解を与えてしまうかもしれないので少し補足しておこう。 まず、電子の全てが原子核の周りに角運動量を持っているわけではない。 例えば s 軌道にある電子は軌道角運動量を持たないので磁場を作ることはない。 また電子は軌道角運動量の他に自転角運動量(スピン)を持っており、これが作る磁場も無視できないほどである。 実際、身の回りによく目にする磁石や鉄などが作る磁場はこのスピンの影響を抜きにしては語れないのだが、ここでは語るつもりもないし面倒なので無視している。
      この原子単位の電磁石を呼びやすいように名前をつけたい。 上では原子単位と書いたものの、分子として一単位となっているような場合もあるので、これからはこれを「分子磁石」と呼ぶことにしよう。 そしてこの分子磁石を作っている電子の運動が作り出す円形電流を「分子電流」と呼ぶことにする。
     この分子磁石は普段は熱運動や化学結合の向きの関係でバラバラな方向を向いている。 しかし、もしこれらの向きを揃えることが出来れば強力な電磁石を作ることが出来るに違いない。 我々がよく目にする永久磁石(普通の磁石)の正体は、ある程度向きの揃った分子磁石の集まりなのである。 永久磁石というのは言ってみれば「超伝導電磁石」みたいなものなのだ。
    磁場を強める方法
     分子磁石の向きを揃えてやれば強力な磁石になると書いたが、そのための手っ取り早い方法は外部から磁場をかけてやることである。 外部から比較的弱い磁場をかけてやるとその強さに比例して向きを変える分子磁石の数が増える。 分子磁石を味方につければ弱い磁場を元にして強い磁場を作ることが出来るのである。 コイルに鉄心を入れると磁力が強くなる理由はこれなのだ。
     例えば鉄くぎにエナメル線を巻いてコイルを作り、電

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    物質中での磁場
    B と H はどう違う
    磁場の強さ H と磁束密度 B
     ここまでは磁場を B という記号で表してきたが、電磁気学では磁場を表すのにもう一つ、H という記号で表される概念がある。 今回の説明の中ではこの二つの概念をはっきりと区別するために B を「磁束密度」と呼び、 H を「磁場の強さ」と呼ぶことにする。 これらの呼び方は歴史的な背景を持つものであって、必ずしも概念の本質を表すものではないということをあらかじめ注意しておこう。 私はこのことを聞いてはいたが軽く考えていたのでひどく悩まされることになってしまったのである。
     私は学生の頃には深く考えることをしていなかったので、 「磁場の強さ H は磁性体の有無に関わらず一定の値をとる」という結論だけを聞いて、「状況に関わらずに一定の値を取る方がより本質的な物理量に違いない」と勝手に信じてしまっていた。 名前からしてもそんな気がするし、マクスウェル方程式の形を見ても電場 E と対を成しているのは磁場の強さ H の方であるようだ。  しかし、実際は逆なのである。  このあたりの話は電磁気学の中でも少し面倒な部分となっているの..

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