脊椎椎体圧迫骨折

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    資料の原本内容

    脊椎椎体圧迫骨折
      [原因と症状]
    骨粗鬆症により脆弱になった高齢者の脊椎は、腰を落として尻もちをつくような転倒で椎体圧迫骨折を生じる。骨粗鬆症が高度の場合、物を持ち上げたりする動作のみでも生じる。症状としては腰背部痛や亀背・後円背のような変形、稀に下肢麻痺を生じる。
    しかし、実際にはほとんど自覚症状の出ない場合も多い。特に徐々に骨折が進行していくような場合、物を持ったり、歩いたときに腰背部痛がある、背中が丸くなる、身長が低くなるなどの症状が出た場合には本疾患を疑う。
        部位としては、構造的に胸腰椎移行部に最も圧迫力がかかり易いため、第12胸椎・第1腰椎に多い。稀に悪性腫瘍の椎骨転移により病的骨折を生じるときもある。この場合、腰背部痛は激烈で、下肢麻痺や体幹の支持性・運動性を失う場合もある。腰背部痛が強く、胃癌・乳癌・子宮癌などの血液転移性腫瘍の既往がある場合、医師に速やかに報告した方がよい。
       臨床所見は、胸背部痛、腰痛、骨折部の叩打痛である。関連痛として、下肢の痛みやしびれ、胸椎部の圧迫骨折による肋間神経痛様の疼痛などである。
       圧迫骨折による脊髄麻痺は少ないが、まれに遅発性に麻痺を生じる。これは椎体の圧潰が進行して脊髄圧迫症状が出現するからであり、粉砕骨折により椎体後壁が脊柱管内に入り込む場合と、圧迫骨折が楔状となり後弯変形が著明となる場合である。麻痺の出現までは骨折後1日から2年近くに及ぶこともあり一定しない。麻痺症状としては筋力低下や知覚障害、歩行障害、尿失禁などの膀胱直腸障害も出現することがある。
    理学療法
    主たる目的は脊柱の運動性・体幹筋力と下肢筋力の維持増強、および起居動作の早期回復である。また胸郭の運動性も含め肺機能維持のため呼吸訓練も重要である。
     (A)受傷直後(受傷後4週間)
    普通疼痛は1~2週間の安静臥床で軽減する。
    →2~3週間の安静臥床で軽減しない場合は感染や偽関節、悪性腫瘍の転移などを疑う。
    良肢位指導:疼痛の激しい急性期を過ぎれば、圧迫変形した椎体の軸圧を軽減するため、脊椎を軽度伸展位に置く。
    呼吸理学療法:体幹筋のリラクゼーションと呼吸機能を維持するため深呼吸を中心とする呼吸理学療法を行う。
    坐位訓練:1~2週後より疼痛の軽減に合わせて徐々に坐位を取らせる。ギャッジベッドや椅子坐位でも体幹が屈曲するような肢位は避ける。
    起立訓練:急激な荷重による疼痛を考慮し、起立開始当初はティルトテーブルを使用すると良い。場合によってはコルセット(軟性・半硬性)を併用し起立歩行訓練へ進む。
    (B)慢性期(受傷後4週以降)
      温熱療法:腰背部の疼痛の軽減と筋スパズムを緩解するため、ホットパックであらかじめ温めてから各種運動を行う。この際、体位変換や背臥位自体で疼痛を訴える患者も多いので、車椅子起座のままホットパックを行うとよい。
    運動療法:体幹筋力増強・背筋群の過緊張の軽減・脊柱運動性の改善を目的とする。
    体幹の伸展運動:椎体への圧迫を軽減するため。
     (C)体幹装具装着
     (D)起居動作訓練
     (E)生活指導:長時間に及ぶ同一姿勢を避ける。特に坐位は脊柱の屈曲を伴い易いので30分~1時間に1回は起立し、背筋を伸ばさせる。重量のあるものの持ち運びは避ける。
     (F)水中訓練
    圧迫骨折の予防は、基礎疾患である骨粗鬆症の予防と治療が基本になる。薬物療法による骨量の減少防止と同時に運動機能の改善と姿勢および姿勢保持能力の改善を図り転倒を予防する。
    5.腰痛体操について
     1)目的
      ・腹筋をはじめとする体幹筋の強化
      ・軟部組織のストレッチ
      ・正しい姿勢の習得
     2)注意点
      ・医師の指示に従う
      ・継続して実施できる内容にする
      ・体幹の意義・必要性を十分理解させる
    正確に行えるまで指導する

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