スピノル(イメージ重視)
群論などまだ必要ではないわ!
別角度から見るスピン
我々は大事な事を忘れていた。 x, y, z の3軸だけに注目していて、その中間の状態を考えて来なかった。 どの方向も対等なはずなのだ。 全方向に対応できる方法を知っておきたい。 でなければ、前回の最後に出てきたような問題に対しては無力だ。
例えばこんな考え方をしたらうまく行くだろうか・・・。 思いつくままにだらだらと書いてみるので、急いでいる人はこの節を飛ばしてもらって構わない。
これまで3軸についてのスピン行列 sx, sy, sz というものを使ってきた。 そしてそれぞれの固有状態を導くことで前回のような議論が可能になったわけだ。 ということは、測定装置を少し傾けた時にどんな状態になるかを知りたければ、各軸を傾けた状態での s'x, s'y, s'z という行列の形を何とかして探してやることが必要になるだろう。 それが分かれば、それを使って固有値と固有ベクトルが求められる。 いや、固有値はきっと計算するまでも無く± /2 となるに違いない。 本当に知りたいのは固有ベクトルの形だ。 その固有ベクトルと、例えば「x 軸上向き」状態の固有ベクトルとの内積を求めてやれば、「x 軸上向き」となった後の次の測定でどの程度の割合で「上向き」と「下向き」が実現するかが分かるだろう。
しかしそのような新しい行列を一体どうやって求めたらいいのかが問題だ。 簡単そうでいて、なかなか単純に思いつくようなものではない。
では少し視点を変えてやったらどうだろう。 測定装置だけを傾けるのではなく、自分も装置と一緒に向きを変えるのだ。 こうすれば、自分から見て測定の方向は何も変化しないのだから、行列の形は今までと変わりないものを使えばいいことになる。 しかし測定結果(すなわちフィルターを抜けてくるビーム強度)は今までとは少し違うものが得られるだろう。 何が変わったせいでそうなったと言うべきか。 自分にとって見れば、状態の方が変わったのだと考えるしかない。
自分が向きを変えると状態が変化して見える。 当たり前と言えば当たり前だ。 ユニタリ変換というのは状態を別の視点から眺めたことに等しいという話をこれまでにもしてきた。 しかしユニタリ変換は固有値を変化させない変換だと前に説明したことがある。 今の話のように現象が変わってしまうのとは話が何か違うようだ。
そこで別のケースを考えてみよう。 装置を動かさずに自分だけが視点を変えたらどうなるか。 状態は変化して見える。 そして自分から見れば装置の角度もずれたように見えるから、使うべき行列も変化して見える。 しかし自分だけが動いたのだから、得られる測定結果には何の変化も見られないはずだ。 こういう時こそユニタリ変換の出番なのだ。 元々、
という関係があるのなら、
が成り立っていると言えるから、
という変換を考えれば、
が成り立ち、視点を変えても元の関係を崩す事がない。
要するに、状態がある固有状態にあるときに、自分が視点を回転させると、状態も変わるし使うべき行列も変わる。 自分が -θ だけ回転すれば、装置を θ だけ回転させたのに等しい。 その時に行列 としてどんなものを使えばいいのだろうかなどとわざわざ具体的に求める必要はない。 欲しいのは固有ベクトルだ。 行列を求めなくてもその場合の固有ベクトルは簡単に得られる。 のようなユニタリ変換をしたものが、すでにその行列の固有ベクトルになっているからだ。
どのよう
スピノル(イメージ重視)
群論などまだ必要ではないわ!
別角度から見るスピン
我々は大事な事を忘れていた。 x, y, z の3軸だけに注目していて、その中間の状態を考えて来なかった。 どの方向も対等なはずなのだ。 全方向に対応できる方法を知っておきたい。 でなければ、前回の最後に出てきたような問題に対しては無力だ。
例えばこんな考え方をしたらうまく行くだろうか・・・。 思いつくままにだらだらと書いてみるので、急いでいる人はこの節を飛ばしてもらって構わない。
これまで3軸についてのスピン行列 sx, sy, sz というものを使ってきた。 そしてそれぞれの固有状態を導くことで前回のような議論が可能になったわけだ。 ということは、測定装置を少し傾けた時にどんな状態になるかを知りたければ、各軸を傾けた状態での s'x, s'y, s'z という行列の形を何とかして探してやることが必要になるだろう。 それが分かれば、それを使って固有値と固有ベクトルが求められる。 いや、固有値はきっと計算するまでも無く± /2 となるに違いない。 本当に知りたいのは固有ベクトルの形だ。 その固有ベク..