起訴状の余事記載について

閲覧数7,653
ダウンロード数0
履歴確認

    • ページ数 : 2ページ
    • 会員550円 | 非会員660円

    資料紹介

    1. 現行法は、起訴状には、裁判官に予断を生ぜしめるおそれのある書類その他の物を添付し、内容を引用してはならない(刑訴法256条6項)として、起訴状一本主義を採用している。そこで本問の起訴状の記載がかかる起訴状一本主義に反するのではないか。
    2. まず法が起訴状一本主義を採用したのは、わが国が当事者主義的訴訟構造(298条1項、312条1項)をとっており、かかる当事者主義を実効化し、また予断を排除することによって「公平な裁判所」(憲法37条1項)の実現を図るためである。しかし一方で、法は裁判所に対して審判対象を明確化し、被告人に対して防御の機会を保障するため、起訴状において訴因を明示すること、つまり訴因の特定を要求している(256条3項)。本問のように名誉毀損記事の全文を引用することは特定の要請には資することになることから、起訴状一本主義の原則と訴因特定の原則とが矛盾するのではないか。両者の関係が問題となる。
    3. この点、起訴状の記載は一方当事者である検察官の主張であるから、何を書いてもよいはずである。256条6項は書類、その他の物の添付、引用を禁止しているのであって余事記載を禁止しているのではない。

    資料の原本内容 ( この資料を購入すると、テキストデータがみえます。 )

    起訴状の余事記載について
    現行法は、起訴状には、裁判官に予断を生ぜしめるおそれのある書類その他の物を添付し、内容を引用してはならない(刑訴法256条6項)として、起訴状一本主義を採用している。そこで本問の起訴状の記載がかかる起訴状一本主義に反するのではないか。
    まず法が起訴状一本主義を採用したのは、わが国が当事者主義的訴訟構造(298条1項、312条1項)をとっており、かかる当事者主義を実効化し、また予断を排除することによって「公平な裁判所」(憲法37条1項)の実現を図るためである。しかし一方で、法は裁判所に対して審判対象を明確化し、被告人に対して防御の機会を保障するため、起訴状において訴因を明示すること、つまり訴因の特定を要求している(256条3項)。本問のように名誉毀損記事の全文を引用することは特定の要請には資することになることから、起訴状一本主義の原則と訴因特定の原則とが矛盾するのではないか。両者の関係が問題となる。
    この点、起訴状の記載は一方当事者である検察官の主張であるから、何を書いてもよいはずである。256条6項は書類、その他の物の添付、引用を禁止しているのであって余事記載...

    コメント0件

    コメント追加

    コメントを書込むには会員登録するか、すでに会員の方はログインしてください。