ミュラーリヤーの錯視

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    資料の原本内容

    基礎心理学実験 ミュラー・リヤーの錯視 実験考察レポート
    我々が知覚しているものは、物理的な外界そのものではない。視覚の場合には、眼に入った情報をもとにして、外界を再構成して認識していると考えられている。長さ、角度などが物理的なそれとはちがって感じられることもある。それを錯視といい、幾何学的な図形について生ずる錯視を幾何学的錯視という。幾何学的錯視の現象は、古くから心理学で取り上げられ、現在でも視覚的な認識の研究対象となっている。
     この実験では、代表的な幾何学的錯視であるミュラー・リヤー錯視をとりあげ、錯視量が矢羽根(斜線)の条件によってどのよう異なるかを調べる。
    目的
    ミュラー・リヤーの錯視に影響を与える要因としては、斜線の長さ、斜線の角度、主線の長さ、図形全体の傾きなどが考えられるが、この実験では、斜線の角度(挟角)によって錯視量が異なるかどうかを検討する。
    方法
    実験参加者:心理学実験受講者XX名。                ← → 
                                標準刺激      比較刺激
    器具:ミュラー・リヤー錯視図形。金属製で、 外向き斜線のついている部分を出し入れして長 さを調節することができる。内向き斜線のつい ている側が標準刺激となる。標準刺激の主線の 長さを100㎜、斜線の長さを30㎜とする。
    条件:主線と斜線の挟角が15°、30°、60°の3条件を設けて比較する。
    手続き:
    実験参加者調整法を用いた。まず、3つの挟角条件の順序をランダムに決定。各挟角条件について、標準刺激を左に置く試行を8試行、右に置く試行を8試行実施。それぞれの8試行のうち、4試行は上昇系列とした。すなわち比較刺激が明らかに短いところから始めさせた。他の4試行は下降系列とした。すなわち比較刺激が明らかに長いところから始めさせた。これらの16試行をバランスをとった順序で実施した。
    挟角条件:
    実験参加者には、次のように教示した。
    「ふたつの横線の長さが同じように見えるように、こちら側の長さを調節してください。明らかにこちら側が長く見えるところから始める場合と、明らかにこちらが短く見えるところから始める場合があります。一方向に動かして調節してください。ただし、最後にちょっとだけ反対方向に動かしてもかまいません。でも、何回も行ったり来たりしてはいけません。もしなかなか合わせられないときには、もう一度最初からやり直してください。同じ長さにみえるように調節できたら、手渡してください。
     客観的に同じ長さにするのではなく、図形全体を見て、同じ長さに感じられるように調節してください。いつも同じくらいのスピードで調節してください。」
     2番目以降の挟角条件では、「前と同じようにやってください。」と教示した。各試行では、向きとどの位置からスタートするかは実験者が決めて実験参加者に手渡した。スタートの位置は毎回適宜変えた。観察は両眼で行い、観察距離は約30㎝とした。
    結果
      
    表1に上昇系列、下降系列ごとに、各実験参加者の平均錯視量とその平均値及び標準偏差を示し、さらに、全体の平均値と標準偏差を示す。錯視量の平均値を図1に示す。
    表1 挟角及び系列ごとの錯視量
      15° 30° 60° 上昇系列 下降系列 上昇系列 下降系列 上昇系列 下降系列 平均値 29.5 27.1 28.4 25.4 20.8 18.2 標準偏差 8.0 8.1 6.5 6.0 7.1 6.7
                    図1 挟角及び系列ごとの平均錯視量 
    いずれの挟角においても上昇系列は下降系列より錯視量の平均値が正方向に大きかった。また、挟角が大きくなると、錯視量の平均値は小さくなる傾向となった。
    考察
    いずれの挟角においても錯視量の平均値が正方向に大きかった。これは実験参加者が矢羽の角度による要因で、標準刺激を実際の物理刺激より長くみていた可能性が考えられる。
    挟角の小さい矢羽に関しては錯視量が大きく、挟角の大きい矢羽には錯視量が小さい結果となった。また、上昇系列の錯視量が下降系列と比べて正方向にシフトしていた。これらは、上昇系列の調整段階における心理的に「行きすぎた」といった考えが働いたものと判断される。これは下降系列の場合にはこの逆の心理が働くものと考えられる。
    参考文献
    特になし

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