哲学・倫理学のレポートで、死の意味の変遷をまとめたうえで、現代における死の役割を論じています。
一部、卒論の参考になるかもしれません。
字数は全てで2230字程度です。
1 はじめに
いまの医療技術がどれほど進歩しても、人間は死そのものを回避できないであろう。しかも「いつか必ず死ぬ」という事実は、老若男女を問わず潜在意識に刻み込まれている。広く知られているマルティン・ハイデガーの言葉のように、われわれは誕生と同時に死へ向かう存在として時を刻みはじめる。しかし死をめぐる感情は一様ではない。恐怖、不安、諦念、さらには美や救済といった多彩な価値づけが歴史的・文化的に織り交ぜられてきた。とりわけ現代世界では、平均寿命の延伸技術や延命医療への期待が示すように、死はマイナスの現象として忌避されがちである。果たして死は人間にとって単なる「負の事象」なのか。それとも、生そのも...