合戦の諸相

閲覧数1,689
ダウンロード数8
履歴確認

    • ページ数 : 2ページ
    • 会員550円 | 非会員660円

    資料紹介

    出陣は生死の分かれの門出であるから、武運の加護を願うために神仏に祈念する。出陣に当たって日頃信仰する寺社に使いを派遣したり、怨敵退散の呪を唱えたり、行軍中にある神社に願文を朗読して奉納したりする。箙(戦場で腰に負う矢入れ具の一種)には中差・上差の鏑矢を盛るから、朗読後の願文をこの鏑矢に巻いて奉納する「出陣の時、願書を篭むるには鏑矢にまきて篭むるなり。願成就の時、願書の如く何事も上へ申し奉る也」(『書礼袖珍宝』)願文には正義を唱えたもの、敵の悪虐を訴えたもの、願いが叶えられれば寄進するという取引的なもの等があった。 

    敵味方両軍相接近し、互いに矢頃と見ると停止し、まず和睦か降参か、無益の戦なら互いに陣を撤収するか等、代表者が大声で呼びかけたりする。交渉決裂していよいよ合戦となると、開始の合図として主将か代表者がまず敵陣に向かって鏑矢を射込む。矢合わせの鏑始。これは後世まで戦の作法として行われたと記されている。(『籾井日記』)城攻めの折にも攻撃開始の合図として行われる。射られた方もただちに鏑矢を射返し、それから両軍が矢を射出して、盾持ちが盾を一列に押し出して接近する。

    資料の原本内容 ( この資料を購入すると、テキストデータがみえます。 )

    合戦の諸相
                                  
    出陣 
     出陣は生死の分かれの門出であるから、武運の加護を願うために神仏に祈念する。出陣に当たって日頃信仰する寺社に使いを派遣したり、怨敵退散の呪を唱えたり、行軍中にある神社に願文を朗読して奉納したりする。箙(戦場で腰に負う矢入れ具の一種)には中差・上差の鏑矢を盛るから、朗読後の願文をこの鏑矢に巻いて奉納する「出陣の時、願書を篭むるには鏑矢にまきて篭むるなり。願成就の時、願書の如く何事も上へ申し奉る也」(『書礼袖珍宝』)願文には正義を唱えたもの、敵の悪虐を訴えたもの、願いが叶えられれば寄進するという取引的なもの等があった。 
    合戦開始の合図  
    敵味方両軍相接近し、互いに矢頃と見ると停止し、まず和睦か降参か、無益の戦なら互いに陣を撤収するか等、代表者が大声で呼びかけたりする。交渉決裂していよいよ合戦となると、開始の合図として主将か代表者がまず敵陣に向かって鏑矢を射込む。矢合わせの鏑始。これは後世まで戦の作法として行われたと記されている。(『籾井日記』)城攻めの折にも攻撃開始の合図として行われる。射られた方もただち...

    コメント0件

    コメント追加

    コメントを書込むには会員登録するか、すでに会員の方はログインしてください。