呼吸不全 病態生理/呼吸困難のある患者の看護

閲覧数9,574
ダウンロード数245
履歴確認

    • ページ数 : 8ページ
    • 全体公開

    資料紹介

    呼吸不全 病態生理
    1.定義
    2.呼吸不全の症状
    3.原因疾患
    ①病態生理学的観点よりの分類
    ②症候による分類
    4.臨床検査
    5.病型
    6.呼吸困難の評価
    7.治療
    8.呼吸状態の把握に用いられる指標

    呼吸困難のある患者の看護
    1.アセスメント
    2.看護目標
    3.看護活動

    資料の原本内容

    呼吸不全 病態生理        (ハイパーリンクはCtrlを押しながらクリックしてください)
    1.定義
    2.呼吸不全の症状
    3.原因疾患
    ①病態生理学的観点よりの分類
    ②症候による分類
    4.臨床検査
    5.病型
    6.呼吸困難の評価
    7.治療
    8.呼吸状態の把握に用いられる指標
    呼吸困難のある患者の看護
    1.アセスメント
    2.看護目標
    3.看護活動
    呼吸不全 病態生理
    1.定義
      呼吸困難(dyspnea)は、呼吸循環器疾患の中でも最も多い症状の一つであり、呼吸不全を呈する患者の自覚症状の中で、意識障害の ない限り必発の症状である。多くの気質性、機能性疾患に伴い、また正常人でも、運動量の増加によって呼吸困難感を伴う。血液ガス所見に基づいた客観的病態 である呼吸不全と異なり、呼吸をする際の異常な不快感(abnormally uncomfortable awareness of breathing)と自覚症状をもとに定義される症状である。これまでの研究では、低酸素刺激は呼吸困難の直接刺激とはならないと推定されている。
        <急性呼吸不全と慢性呼吸不全>
    慢性呼吸不全 呼吸不全の状態 が1ケ月以上続く場合。
    慢性呼吸不全の患者は長期にわたって呼吸不全の治療が必要で、しばしば急性増悪といって、いろいろな原因で呼吸不全の悪化をきたすことがある。肺気腫、結核後遺症、肺線維症、気管支拡張症、胸郭変形などが慢性呼吸不全の原因となる。 急性呼吸不全 呼吸不全の状態 が1ケ月未満の場合。
    急性呼吸不全は慢性化することはまれで急性期をのりこえれば、それ以後、呼吸不全の治療は通常必要ない。肺炎、喘息発作、薬物中毒、肺塞栓症などは急性呼吸不全の原因となる。
     2.呼吸不全の症状
         呼吸器症状 (a)呼吸数、呼吸の深さ、呼吸運動の異常として、浅促呼吸、Kussmaul呼吸、過換気状態、胸式・腹式呼吸の異常等がある。
    (b)起坐呼吸:臥位では苦しいため、坐位にて呼吸する場合で、心不全、喘息の重症例で認められる。
    (c)呼気・吸気の延長:上下気道に狭窄がある場合に起こる。(d)周期性呼吸:Cheyne-Stokes呼吸、Biotの呼吸があり心不全、尿毒症や脳・脳膜疾患に現れる。(e)胸廓の異常:側彎症、漏斗胸、神経・筋疾患では胸郭の異常や運動の非対称性が見られる。 循環器症状 血圧、脈拍の異常は心不全弁膜疾患などの心疾患、甲状腺機能亢進症などでみられ、その他呼吸器疾患、心因反応でもみられる。 全身症状 (a)チアノーゼ:肺機能障害を伴う肺疾患や、右→左シャントを持つ心疾患で現れる。
    (b)太鼓ばち指:先天性心疾患や慢性呼吸器疾患などで、慢性の低O2血症が疑われる。
    (c)皮膚症状:紅斑、浮腫、黄胆、毛細血管拡張、硬結などは原疾患の診断につながる。
    3.原因疾患
       ①病態生理学的観点よりの分類
    肺胞低換気 1.呼吸中枢機能低下:脳炎、脳卒中、薬物中毒(鎮静・睡眠薬)など
    2.神経筋疾患:ギランバレー症候群、重症筋無力症、多発性硬化症など
    3.胸郭・横隔膜の損傷:肋骨骨折、横隔膜麻痺、高度の腹水、肥満など
    換気血流比不均等分布 肺気腫、気管支喘息、肺梗塞、心不全など 拡散障害 肺線維症、過敏性肺臓炎、肺水腫など 右-左シャント 肺炎、無気肺、ARDS、肝硬変、肺動静脈瘻など  
    ②症候による分類
    急激に呼吸困難が出現する場合 ①自然気胸:若い痩せた男性に多く、突然の胸痛と、患側の呼吸音消失、胸部X-Pにて診
    断。 ②胸膜炎:発熱、炎症所見を伴い、患側の呼吸音減弱、摩擦音、X-P上透過性低下。 ③肺炎:発熱、炎症反応、特徴的X-P所見。 ④肺梗塞:突然の胸痛、肺血流シンチにて欠損像。 ⑤気管支喘息発作:喘鳴、呼気延長、起座呼吸、発作の既往。 ⑥心不全:喘鳴、泡沫状痰、ECG異常、血圧・脈拍の異常、呼吸・循環器疾患の既往。 ⑦異物吸入:幼小児に多く、吸気の延長。後頭などの上気道に喘鳴、異物吸入の機会。 
    ⑧喉頭痙攣:6カ月~2歳までの幼児、吸気の延長。喉頭に喘鳴。 ⑨声門水腫:炎症反応、吸気の延長、喉頭に喘鳴。 ⑩過換気症候群:若い女性に多く、手足・口唇のしびれ、過換気、心因性。 徐々に出現する場合 肺性 ①上・下気道の閉塞性障害
    喉頭狭窄、腫瘍や大動脈瘤などによる圧迫、COPDなど。呼 気・吸気の延長、喘鳴、慢性の咳・痰、湿性ラ音、胸部X-P所見。
    ②拘束性障害
    胸膜ベンチ形成、間質性肺疾患、胸膜炎、気胸など。
    咳、痰、、ベルクロラ音、胸部X-P所見。
    ③低換気状態
    神経・筋疾患等や呼吸中枢の抑制をきたした場合。意識障害、胸郭運
    動不良、呼吸筋疲労、高CO2血症。 心性 うっ血性心不全、左心不全、肺性心
    起座呼吸、肺水腫、血圧、脈拍の異常、ECGの異常、浮腫、高血圧や弁膜症の既往。 心因性 過換気症候群など器質的疾患のないもの 貧血性 鉄欠乏性貧血、悪性貧血、白血病など
    労作時呼吸困難あり、動悸、眩暈、肝脾腫、異常骨髄、末梢血像 代謝性 糖尿病性、尿毒症性、肝性昏睡など
    意識障害、Kassmaulの大呼吸、高血糖、高浸透圧血症、血中アンモニアの高値、黄疸、腹水、原疾患の既往症など
     4.臨床検査
    一般検査 ①血液一般検査、 ②生化学検査、 ③血清学的検査、④尿検査、⑤動脈血ガス検査、⑥ 喀痰検査、⑦胸部、腹部X-P、⑧ECG、⑨呼吸機能検査 特殊検査 ①心因性:脳波、誘発試験、精神科的検査など。 ②肺性:胸部X-P断層写真、CT、気管支鏡検査、肺血管造影、皮内反応、リンパ節生検、胸水穿
    刺など。 ③心性:ホルター心電図、血管造影、心エコー、Swan-Ganzカテーテル、腎機能検査、各種ホルモ
    ンの測定など。 ④貧血性:血清鉄、不飽和鉄、骨髄穿刺、血清中ビタミンB12、葉酸、消化管出血の有無、妊娠検
    査など。 ⑤代謝性:血糖、血中アンモニア、尿中アセトン、ウロビリノーゲン、各種ホルモン検査など。       ※以下の所見より呼吸不全が疑われたら、すぐに血液ガス分析
              1.頻呼吸(30/分以上)、呼吸困難。
              2.チアノーゼ、冷汗、振戦、血圧上昇または低下、頻脈。
              3.頭痛、不眠、種々の意識障害。
         ※血液ガス分析の結果、室内気吸入時に下記の値を示せば呼吸不全と診断
           1.PaO2≦60torr あるいは
     2.PaCO2≧50torr
    5.病型
    I 型呼吸不全
    (肺不全型) 不要な炭酸ガスが体内に貯まらないタイプ。
    低酸素血症のみを呈するもので、拡散障害、肺内シャント、換気血流比不均等などの病態の時に見られる。        喘息発作、肺線維症、肺塞栓症など I I型呼吸不全
    (換気不全型) 不要な炭酸ガスが体内に貯まるタイプ
    高炭酸ガス血症を伴うもので、主として肺胞低換気時に見られるが、高度の換気血流比不均等でも見られる。     進行した肺気腫、肺結核後遺症、胸郭変形、薬物による呼吸抑制など    注)1型に呼吸筋疲労が加われば、2型となる。
       注)混合型(acute on chronic):1型と2型に分類され、それぞれ慢性型の1型、2型が急性増悪したもの。
    6.呼吸困難の評価
      ①量的評価
      (1)ニューメリックスケール
      0   1   2   3   4   5   6   7   8    9    10
    全く                                       これ以上考えられ
    息苦しくない                                    ないほど息苦しい
    全く息苦しくないのを0、これ以上考えられないほど息苦しいのを10とするとあなたの息苦しさはどのくらいですか?     (2)ビジュアルアナログスケール(VAS)
    息苦しさの程度は下の直線でいえばどのあたりですか?  斜線で書き入れてください。
      
    全く息苦しくない                              耐えきれないほど息苦しい
    (3)STAS-J
      0:なし
    1:時折の、また断続的な単一または複数の症状があるが、日常生活を普通に送って
    おり、患者が今以上の治療を必要としない症状である。
    2:中等度の症状。時に調子の悪い日もある。症状から見ると可能なはずの日常生活
    動作に支障をきたすことがある。
    3:たびたび強い症状がある。症状によって日常生活動作や物事への集中力に著しく
    支障をきたす。
    4:持続的な耐えられない激しい症状。他のことを考えることができない。
       
    ②Hugh-Jones(ヒュー・ジョーンズ)の分類
         呼吸不全のためにどれくらい行動が制限されているかということを示す指標。
    患者の訴える呼吸困難の程度は、Hugh-Jonesの呼吸困難度分類を用いると把握しやすい。
    Hugh-Jonesの分類 Ⅰ度 Ⅱ度 Ⅲ度 Ⅳ度 Ⅴ度 正常 同年齢の健常者と同様に歩行はできるが、階段や坂は健常者なみに登れない。 平地でも健常者同様には歩行できないが、 自分のペースなら1.6km(1マイル)以上歩ける。 休みながらでなければ50m以上歩けない。 会話、衣服の着脱にも息切れがする。息切れのため外出ができない。   肺機能検査や、6分間歩行試験(6分間で平地をどれくらい歩けるか)などによって呼吸不全の程度を評価することもある。
     7.治療
    気道確保 ①痰、血液、異物などによって窒息状態にある場合は、酸素を補うルートを確保するため、まず吸引...

    コメント0件

    コメント追加

    コメントを書込むには会員登録するか、すでに会員の方はログインしてください。