「正戦論」の考え方

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    資料紹介

     このレポートでは、「正戦論」そのものではなく、「正戦論」をどうやって克服するかについて、ダグラス・ラミスの解説を中心に進めていこうと思う。あまり幅広い観点を持てなかったことをお許しいただきたい。
     一般的に「正戦論」のはじまりは4世紀のアウグスティヌスとされている。キリスト教的正戦論とも呼ばれ、その後トマス・アクィナスやマルチン・ルターにも理論が引き継がれることになる。「正戦論」についてラミスは、「簡単にいえば、戦争は不正で犯罪である場合もあれば、正義で合法である場合もある、という説だ」という。そうした上で、「正戦論は戦争を合法とする一番強い論理である。したがって、これを論破しないと絶対平和主義は成り立たない論理なのだ」とも認め、「正戦論はとても説得力のある説だということを理解するのは重要だ。世界の人々のほとんどはそれに説得されているし、世界の政治的法的制度のほとんどは正戦論に基づいている。近代国家(わずかの例外を除いて)の理論的基盤になっているし、国連憲章を含めて国際法の基盤でもある」とも述べている。そもそも、「『戦争犯罪』という概念自体が正戦論を前提としている」のである。日本にも憲法9条をもとに「わずかの例外」になる可能性は充分あっただろう。しかし、世界をリードして「例外」になろうとする積極的な政治の動きは残念ながらわずかしかなかった。
     またラミスは、「正戦論」のもつ説得力として、「功利主義」と「現実主義」を挙げた。つまり、「戦争は好ましくないが、国民を侵略から守る唯一の効果的な方法は軍事力だ。したがって、戦争という暴力を憎む人は、戦争を押さえるような国際法と、それを守らせることのできる国際機構(戦争法を破る人を処罰できる国際機構)を作り上げる運動に力を注ぐべきだ。それによって、戦争の量も残酷さもだんだんと減っていくだろう。

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    「正戦論」の考え方
     このレポートでは、「正戦論」そのものではなく、「正戦論」をどうやって克服するかについて、ダグラス・ラミスの解説を中心に進めていこうと思う。あまり幅広い観点を持てなかったことをお許しいただきたい。
     一般的に「正戦論」のはじまりは4世紀のアウグスティヌスとされている。キリスト教的正戦論とも呼ばれ、その後トマス・アクィナスやマルチン・ルターにも理論が引き継がれることになる。「正戦論」についてラミスは、「簡単にいえば、戦争は不正で犯罪である場合もあれば、正義で合法である場合もある、という説だ」という。そうした上で、「正戦論は戦争を合法とする一番強い論理である。したがって、これを論破しないと絶対平和主義は成り立たない論理なのだ」とも認め、「正戦論はとても説得力のある説だということを理解するのは重要だ。世界の人々のほとんどはそれに説得されているし、世界の政治的法的制度のほとんどは正戦論に基づいている。近代国家(わずかの例外を除いて)の理論的基盤になっているし、国連憲章を含めて国際法の基盤でもある」とも述べている。そもそも、「『戦争犯罪』という概念自体が正戦論を前提としている...

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