安全神話崩壊のパラドックス―治安の法社会学 書評

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    『安全神話崩壊のパラドックス―治安の法社会学』を読んで
    第Ⅰ部第一章では、日本の戦後の犯罪統計を分析し、現時点の状況を正確に把握する試みをしている。今日、世間では「治安の悪化」や「犯罪の凶悪化」が叫ばれ、新聞やテレビなどのメディアが中心となってそれを煽っているが、実状はどのようなものであるか。筆者は犯罪白書などの詳細な統計データに基づき、犯罪数の激増もその凶悪化もなく、むしろここ数年は戦後最高の安全水準が確保されているということを指摘した上で、そのような事実に反し世間の人々がなぜ「治安の悪化」という印象を強めているのか、つまり現実と「体感治安」のギャップの構造の解明を試みている。
    筆者はまず、治安の定義について「国家や社会レベルの客観的安全と人々の心理的安心を保障するために、国内問題に対処するもの」とし、現実の治安に対する国民意識を把握するための視座を提供している。
    そういった観点から犯罪データの分析にあたるが、そこでは前述のような客観的安全と心理的安心に影響が大きいような犯罪、つまり「犯罪者による危険」に注目している。以下では統計データの分析により明らかにされた事実について簡潔に述べ...

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