半導体の電気的性質

閲覧数4,096
ダウンロード数15
履歴確認

    • ページ数 : 9ページ
    • 会員550円 | 非会員660円

    資料紹介

    4 考察
    4.1 抵抗率ρ
     図3.1を見ると,素子電流 が増加するとef間の電圧 の大きさが増加している.各測定点は直線状に並んでおり,図のようなほぼ原点を通る回帰直線を引くことができた.このことから と は比例しているといえる.式(3.1)中の は,試料のef間の抵抗であり, はef方向に対して垂直に切った断面積である.そのため抵抗率 は,抵抗全体を単位体積当たりの抵抗の合成抵抗として考えたときの,単位体積当たりの抵抗に相当するものといえる.表3.1を見ると,抵抗率 は や に関わらずほぼ一定値を示しており,この考えと一致する.
    4.2 ホール電圧Vzの変化
     図3.2を見ると,ホール電圧 が素子電流 に比例していることが分かる.また,図3.3を見ると, が磁束密度 にも比例しており, は と に比例していることが分かる.この場合, が増加することはキャリアの速度が大きくなることを意味する. や が増加するとホール電圧 も増加するのは,キャリアに働くローレンツ力の大きさが大きくなるためだと考えられる.
    4.3 ホール係数RH
     表3.3を見ると,素子電流 や磁束密度 を変化させた場合,ホール係数 は多少の変化はあるものの−2600[ C ]前後の負の値をとっている.キャリアが電子の場合, は
    (4.1)
     で与えられ,負の値をとる.一方,キャリアが正孔の場合, は
    (4.2)
     で与えられ,正の値をとる.このことから,今回用いた試料であるゲルマニウムのキャリアは電子であり,ゲルマニウムはn型半導体であることが分かる.
    4.4 移動度μの実験値と文献上の値の比較
     今回の実験により得られたキャリア移動度 の実験値は2767[ ]であった.文献によると,温度300[K]におけるゲルマニウムの移動度 は3800[ ]とあり,実験値よりも1000[ ]近く大きい.この原因としては,温度の影響によるものが大きいと考えられる.

    資料の原本内容 ( この資料を購入すると、テキストデータがみえます。 )

    目的
     この実験では,半導体の抵抗率とホール係数を測定して,そのキャリア密度及び移動度を求める.
    実験器具・方法
    実験器具
     実験装置として以下のものを使用した.なお,試料はAのゲルマニウムを用いた.
    直流安定化電源,TAKASAGO, LTD.,GM08-10,29286100
    電磁石,MAGNETIC CORPORATION,OHG-30K,769
    半導体の電気的特性測定装置,MARUWA SOKKI,RM-660
    デジタルボルトメータ,ADVANTEST,TR6845,76862130
    低電流源,YOKOGAWA,2555,52BF0056
    実験方法
     試料の端子配置及び測定回路を図2.1に示す.
    図2.1 試料の端子配置及び測定回路
     試料の寸法は,cd方向の長さが =0.28[cm],磁束密度 方向の長さが =0.10[cm],ef間の距離が =1.0[cm]である.
    抵抗率の測定
     ab間に流す素子電流 を0mAから0.5mAまで0.1mAずつ変化させたときのef間の電圧 を測定した.
     なお,電圧 は,素子電流を+方向に流したときの電圧 と-方向に流したときの電圧 をそれ...

    コメント1件

    pinktulip 購入
    yokatta.
    2007/01/17 0:18 (17年2ヶ月前)

    コメント追加

    コメントを書込むには会員登録するか、すでに会員の方はログインしてください。