<民主>と<愛国> 5章

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    『<民主>と<愛国>』(小熊 英二 著)
    第5章    左翼の「民族」、保守の「個人」
    戦後多くの知識人は戦時中に起こした自らの倫理的問題に関し「悔恨」の念を抱かせていた。戦時期に彼らの多くは「他者を見捨てて生き残った」(p181)という強い自己嫌悪と後悔の思いで終戦直後はいっぱいだった。しかしながらそれに対し徳田球一ら「獄中非転向」を成し遂げた共産党員は英雄になり、圧倒的な貧富の格差や共産党が唯一戦争に反対した政党であることなどによって共産党の権威というのは神格化されていった。自らの過ちに委縮する知識人らにとって共産党幹部の「人間性」への敬意と信頼は強力なものになり、共産党の権威を大いに高めたのであった。その結果共産党の「ほんとうの愛国主義(植民地独立運動やフランス革命などに見られるように、自民族の自由のために戦うという決意であり、他民族の平等の権利を尊重すること)」(p188)というのは広く国民の間に受け入れられていった。しかし、10年以上を獄中過ごした共産党幹部らは現実認識を欠きがちであり、しばしば彼らは独善的な指導を行っていたため社会の反発を招くことになる。
    ところが敗戦直後か...

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