保護処分について

閲覧数6,190
ダウンロード数21
履歴確認

    • ページ数 : 2ページ
    • 会員550円 | 非会員660円

    資料紹介

    保護処分について
    保護処分とは、家庭裁判所が非行少年(犯罪少年・触法少年・虞犯少年)に対して行う処分であって、少年の健全教育を目的とし、矯正と環境の調整等に関する教育的・社会福祉的な措置を内容とするものであり、通説的な見解によれば、保安処分の一種であると観念されている。
    つまり、保安処分も保護処分も犯罪的危険者に対する特別予防手段であるという点で共通性をもっている。 しかし、両者には具体的に次のような相違点がみられる。
    ①保安処分については、もっぱら刑事政策的要請から発展された手段であるのに対し、保護処分は、主として福祉政策的要請から発展されたものである。
    ②保安処分は、責任の枠を越える行為者の危険性に対する特別予防措置であり、あくまでも刑罰を補充するものであって、刑罰による責任追及に伴う一般的予防・特別予防の機能を妨げない範囲で機能すべきものである。
    ③保安処分が刑罰を補充する仕方には、改善可能な者には改善に主眼を置いた処遇が採られたり、また、改善困難な者には隔離を主眼とした処遇が採られるなど、改善に主眼を置いた処遇のみが追求される保護処分と本質を異にする。
    ④保安処分の目的は、犯罪者から犯罪的危険性を除去することにおかれ、犯罪的危険性の除去以外の目的で種々の処遇を加えることは許されないが、保護処分では「少年の健全育成」がその目的とされるため、犯罪的危険性を除去するだけでは不充分で、人的物的条件の整備が必要とされる。即ち、保安処分は刑罰を補充するものであるのに対し、保護処分は刑罰を回避するところに相違がある。
    従って、保護処分の目的には、隔離ないし保安の目的が入り込む余地はなく、その処遇内容も性格矯正に加えて環境整備が要求されることになるのである。
    また、現行少年法では、非行少年に対する保護処分として、①保護観察、②児童自立支援施設・児童養護施設送致、③少年院送致の三種を認めている(少年法24条1項)。
    保護観察とは、保護観察所が対象少年を在宅のまま指導監督及び補導援護する非収容処分であり、処遇担当者は、保護観察官又は保護司であり、前者の人間諸科学に関する専門性と、後者の民間人としての非専門性との協働により処遇効果をあげるのが建前である。  保護観察の対象となる少年は、①少年法第24条1項1号の保護処分を受けた少年(1号観察)、②少年院から仮退院を許されている少年(2号観察)、③仮出獄を許されている少年(3号観察)、④刑法第25条の2の規定によって保護観察に付された執行猶予少年(4号観察)、以上の4種類である。
    この保護観察は社会内処遇手段として最も期待された処遇方式であるが、その現状に対しては様々な批判がある。即ち、①保護観察官及び保護観察所の数が不足しているため、保護観察制度の中心となる本来の意味のケース・ワーク的機能の充足が困難な状況にある。②専門家と非専門家との協力関係も、主として行政事務的な技術の面に限定せざるを得ない、③地縁社会の崩壊現象が進んで情報が得がたくなったため保護活動がやりにくく、また、保護司が得られないという二種の障害が生じる、④保護司の老齢化、固定化による対象少年との世代の差が、補導を困難にしている、⑤保護区の数とか保護司の実働人員が、人口の移動等に弾力的に対応しているとは言えない等の問題である。
    こうした現象を改善する試みとしては、①保護観察官の定期駐在制、②保護観察官の直接処遇制、③交通短期保護観察制度、④短期保護観察制度等が実施されている。  児童自立支援施設・児童養護施設送致は、少年法(第24条1項2号)及び児

    資料の原本内容 ( この資料を購入すると、テキストデータがみえます。 )

    保護処分について
    保護処分とは、家庭裁判所が非行少年(犯罪少年・触法少年・虞犯少年)に対して行う処分であって、少年の健全教育を目的とし、矯正と環境の調整等に関する教育的・社会福祉的な措置を内容とするものであり、通説的な見解によれば、保安処分の一種であると観念されている。
    つまり、保安処分も保護処分も犯罪的危険者に対する特別予防手段であるという点で共通性をもっている。 しかし、両者には具体的に次のような相違点がみられる。
    ①保安処分については、もっぱら刑事政策的要請から発展された手段であるのに対し、保護処分は、主として福祉政策的要請から発展されたものである。
    ②保安処分は、責任の枠を越える行為者の危険性に対する特別予防措置であり、あくまでも刑罰を補充するものであって、刑罰による責任追及に伴う一般的予防・特別予防の機能を妨げない範囲で機能すべきものである。
    ③保安処分が刑罰を補充する仕方には、改善可能な者には改善に主眼を置いた処遇が採られたり、また、改善困難な者には隔離を主眼とした処遇が採られるなど、改善に主眼を置いた処遇のみが追求される保護処分と本質を異にする。
    ④保安処分の目的は、犯罪...

    コメント0件

    コメント追加

    コメントを書込むには会員登録するか、すでに会員の方はログインしてください。