『山月記』と『人虎伝』との比較

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    『山月記』と『人虎伝』との比較
              
    私は「山月記」と「人虎伝」との違いを比較し、そこからこの作品について様々に考察しました。
    まず異なる点を挙げる前に二つの作品に共通する部分を挙げたいと思います。李徴が博学で才能があり、下級役人であることに納得しなかった点、他人と相容れない性格であったということ、仕事を辞めた後に引きこもったところ、衣食に困ったために再び働きに出るという点はどちらにも共通して書かれている事柄です。           
    次に二作品で異なる点についてですが、1つ目の違いは李徴が引きこもった理由にあります。「人虎伝」では江南の尉の任期が終わったために官界から身を引き、家に帰って閑居していますが、「山月記」では登第して官吏になってからいくばくもなく仕事を辞め、引きこもって詩作に耽っています。
    2つ目は引きこもった後、再び働きに出る理由に少し違いが見られます。「人虎伝」では「衣食に迫られ」とあるように衣食に困って働きに出ています。「山月記」でも「貧窮に堪えず、妻子の衣食のために」とあるように衣食に困った点では同じですが、「山月記」では「一方、これは、己の詩業に...

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