佛教大学通信の東洋思想史2024年度の最終科目試験に合格(75点)したレポートです。限られた試験時間ですので、参考にしていただき、有効活用いただければと思います。
1.秦の統一から前漢武帝期に至る思想の動向について述べなさい。
参考文献:井ノ口哲也著(2012年4月)『入門中国思想史』
秦の統一から前漢武帝期に至る思想の動向として、戦国末期の諸子百家思想から国家統一に向けての動き、秦から漢武に至る統一の思想、漢武時代における儒家思想の官学化といった流れを捉えることができる。
諸子百家思想では、国をいかに治め、さらにその先に天下をいかに統一させるかという道理を説く人物たちが現れた。儒家として仁(他人への親愛の情)と礼(仁の具体行動)を重んじた孔子(論語)、孟子(性善説)、荀子(性悪説)の思想。墨家として兼愛で非攻、非楽で節用、光学・力学・幾何学を説いた墨子の思想。道家として道(人が人として守るべき教え)を追求した老子と荘子の思想。法家として成文法による統治を主張(法治主義)した韓非子の思想。そして、諸学派の優れた点を広く取り入れてあり、戦国時代の最後を締め括る戦国思想集大成の書として呂氏春秋が成立している。諸子百家の思想は、今後の中国思想史における根底をなすものである。
前221年、秦が戦国の七雄の群雄割拠を平定しおえ、中央集権体制を樹立す...