慶應通信経済学部のマクロ経済学のレポートです。 教科書7章(7.4〜7.5)で説明されたISーLMモデルと教科書第9章(9.2)で説明されたAD曲線について、金融政策の観点から、共通点と相違点の双方を論じています。
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マクロ経済学レポート
はじめに
本稿は、教科書7章(7.4〜7.5)で説明されたISーLMモデルと教科書第9章(9.2)で説明されたAD曲線について、金融政策の観点から、共通点と相違点を明らかにするのが目的である。第1章でISーLMモデルとAD曲線の導出、第2章でISーLMモデルとAD曲線の共通点と相違点についてそれぞれ述べる。
第1章IS-LMモデルとAD曲線の導出
第1節ISーLMモデルの導出
宮尾(2017年、p.158)によれば、ISーLMモデルは、物価水準一定の仮定のもとで、総需要の決定を議論するフレームワークである。IS曲線とLM曲線を用い、両者の交点で利子率と国内総生産の均衡値を求める。
ISーLMモデルのうち、IS曲線は、財市場の均衡を表す曲線である。財市場を均衡させる所得と利子率の組み合わせで表現する。IS曲線を求めるうえでの財市場の需給均衡条件は、次のように表す。
Y=C+I+G
このとき、Yは国民所得、Cは消費支出、Iは投資支出、Gは政府支出を指す。財市場の需給均衡条件の均等式に消費関数(消費支出)と投資関数(投資支出)を代入することで、IS曲線の数...