占有の歴史

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    資料紹介

    占有制度は、歴史的にはローマ法の占有(ポセッシオ)とゲルマン法の占有(ゲヴェーレ)をともに継承されているとされる。 まずはそれぞれの法律について簡単に説明する。

    資料の原本内容



    占有の歴史

    【占有の成立】

    簡単に説明する。

    〈ローマ法ポセッシオ〉

    占有制度は、歴史的にはローマ法の占有(ポセッシオ)とゲルマン法の占有(ゲヴェーレ)をともに継

    承されているとされる。iまずはそれぞれの法律について



    ローマ法

    ポセッシオ


    ゲルマン法

    ゲヴェーレ

    ローマ法とは古代ローマ時代に制定された法律の総称

    である。その中の占有制度をポセッシオという。この制度

    は所有権と占有権を別々の権利として捉え、それぞれ保

    護した。所有権はそのものを自由に扱える権利のことを

    いい、占有権はそのものを実際に支配している者への権

    利のことである。

    現代の占有制度

    〈ゲルマン法のゲヴェーレ〉

    ゲルマン法とは 5~6 世紀にゲルマン民族によって制定された法律の総称である。その中の法的支配機

    能をゲヴェーレという。ポセッシオとは反対に、所有権と占有権を同じように扱った。実際に支配してい

    る者にそのものを自由に扱う権利があるとされた。

    【日本の占有に関する主な判例】

    ① 事件番号 昭和 29(オ)920

    「土地引渡並びに損害金請求」





    判決内容

    株式会社の代表取締役が会社の代表者として土地を所持する場合には、右土地の

    直接占有者は会社自身であって、代表者は、個人のためにもこれを所持するものと

    認めるべき特段の事情がないかぎり、個人として占有者たる地位にあるものとは

    いえない。ii





    ⇨会社の取締役が代表者として土地を持っている場合、それは会社のものである。

    ② 事件番号 昭和 44(オ)265

    「田地所有権確認等請求」













    判決内容

    土地を占有していた被相続人が死亡し相続が開始した場合には、特別の事情のな

    いかぎり、被相続人の右土地に対する占有は相続人によって相続される。iii





    ⇨土地の占有者が死亡した場合、占有は相続人に相続される。



























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    ③ 事件番号 平成 14(受)133

    「占有権に基づく妨害予防請求事件」









    判決内容

    地方公共団体が,道路を一般交通の用に供するために管理しており,その管理

    の内容,態様によれば,社会通念上,当該道路が当該地方公共団体の事実的支配

    に属するものというべき客観的関係にあると認められる場合には,当該地方公

    共団体は,道路法上の道路管理権を有するか否かにかかわらず,当該道路を構成

    する敷地について占有権を有する。iv







    ⇨地方公共団体が管理している道路は地方公共団体が占有権を有する。



    i 三省堂 「物件法」滝沢聿代 2013 年4月発行 P124

    ii 裁判所ホームページ

    最高裁判所判例集

    昭和 29(オ)920

    iii 裁判所ホームページ

    最高裁判所判例集

    昭和 44(オ)265

    iv 裁判所ホームページ

    最高裁判所判例集

    平成 14(受)133





    その他参照 ・成文堂 「物件法」田山輝明 2012 年 5 月発行 第 4 章 占有権

    ・「高校生からの法学入門」中央大学法学部 2016 年 7 月発行



























    第 4 章 お前のものは俺のもの、おれのものもおれのもの

























    ・「占有の謎 = 所有権の謎 占有の今一つの意味論」辻 義教 P4

    ・コトバンク 「ポセッシオ」、「ゲヴェーレ」、「占有権」等

    ・Wikipedia 「民法第 180 条」、「占有権」等

























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