ジョンロックの教育論について

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    資料紹介

    『ジョン・ロックにおける子どもの教育論、
    特に習慣形成や賞罰法を中心に述べよ。』
    はじめに
    ロックの人間像は、要約すると「可謬的な人間」ということである。彼の心の底にいつも思い浮かぶ人間は、有限で弱い存在である。人間は、理性を含む知性を持つが、その知性も誤りやすい。彼は自分を含めて、そうした人間を愛し、抱きしめている。彼は人間を人間以上の超越的な何かにすがらせたり、人間を理解するのに人間以外の原理をもってすることを避け、人間を自分自身の主人公にしようと努めた。
    タブラ・サラ(精神白紙説)
    彼は哲学主著の第一巻で生得観念について取り上げた。心に生まれつき印された生得の観念ないし真理のないことを克明に論じ、実体の観念や神の観念すら、その生得性を大胆に否定した。つまり、ロックは子どもは生まれた時はまだ何の観念も持っておらず、さまざまな観念は、成長するにつれて経験主義的に獲得し、その白紙の上に書き込まれたものであると主張した。「まったく文字を欠いた白紙」いいかえると「何も書き込まれていない書板」の意味のラテン語tabula rasaが彼のこの思想を表す語として有名である。ただし彼の著書である『人間悟性論』にはホワイト・ペーパーと記され、タブラ・ラサの語は用いられていなかった。この言葉はその批判をしたG.W.ライプニッツによって用いられて、有名になったものである。
    ロックはこのタブラ・サラ説から子どもの教育はまず感覚的訓練から始めるように主張している。感覚によって一つ一つの対象についてわれわれの心の中に観念が起こり、さまざまな知識が得られる。すなわち感覚を通してさまざまな知識や観念が、われわれの真っ白な心に入り、知識と観念を記憶し、一つ一つの名前を教わるのである。よってタブラ・サラ説は、子どもの外部から諸観念を教育することによって、子どもを立派な人間にすることが可能であるという、教育万能論へと敷衍されることになる。
    習慣形成
    ロックの教育論は一般に紳士教育論と言われている。紳士は健全な身体と道徳と知識を持っているべきである。まずロックは親たちが幼児期の子どもを教育するに際して子どもを可愛がるあまり、子どもに必要な訓練を行っていないことを批判し、理性的に適した事柄にしか同意しないように、精神を正しくすることが教育において重要であると主張した。精神を鍛錬することによって、子どもは自分の欲望を我慢し、欲望がいろんな方向に動いても理性が最善として示すものに純粋に従うことができるようになる。したがって両親は子どもが小さい時から、両親の意志に従うように教育するべきである。
    またロックは子どもの教育方法は強制的であってはならないと考えている。両親は子どもに何かを学ばせたい時には、単に威圧的に命令するのではなく、完全にできるまで子どもたちに何回も繰り返してやらせることが重要であると考え、ロックは子どもが親に従順に従うことを目標化するのではなく、子どもが自発的に善い行為を行うように習慣づけられるべきとしている。
    次に具体的な教育論を概観する。
    1)身体教育
     ロックは子供の健康を保つため、できるだけ自然のままの生活をするようにすべきと考えた。そしてそのために、甘やかしの排除を主張し、細やかな規則の習慣化によって健康が獲得させると考えた。
     2)作法
     適切な礼儀を習得することは社会生活上必須である。しかし、作法に関してもロックは「規則によるよりは実例で習得されるべき」であるとした。叱られるだけでは子供は作法を身につけない。むしろ求められるのは、何をすべきかを示され、動作を繰

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    『ジョン・ロックにおける子どもの教育論、
    特に習慣形成や賞罰法を中心に述べよ。』
    はじめに
    ロックの人間像は、要約すると「可謬的な人間」ということである。彼の心の底にいつも思い浮かぶ人間は、有限で弱い存在である。人間は、理性を含む知性を持つが、その知性も誤りやすい。彼は自分を含めて、そうした人間を愛し、抱きしめている。彼は人間を人間以上の超越的な何かにすがらせたり、人間を理解するのに人間以外の原理をもってすることを避け、人間を自分自身の主人公にしようと努めた。
    タブラ・サラ(精神白紙説)
    彼は哲学主著の第一巻で生得観念について取り上げた。心に生まれつき印された生得の観念ないし真理のないことを克明に論じ、実体の観念や神の観念すら、その生得性を大胆に否定した。つまり、ロックは子どもは生まれた時はまだ何の観念も持っておらず、さまざまな観念は、成長するにつれて経験主義的に獲得し、その白紙の上に書き込まれたものであると主張した。「まったく文字を欠いた白紙」いいかえると「何も書き込まれていない書板」の意味のラテン語tabula rasaが彼のこの思想を表す語として有名である。ただし彼の著書である『...

    コメント1件

    takuya0902 購入
    参考にします。
    2007/09/06 2:55 (16年7ヶ月前)

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