法定地上権の成立について

閲覧数4,355
ダウンロード数11
履歴確認

    • ページ数 : 4ページ
    • 会員550円 | 非会員660円

    資料紹介

    法定地上権
    1、法定地上権とは
    土地と建物が別個の不動産であることから、土地及びその上に存する建物が同一の所有者に属する場合において、その土地または建物のみ、またはその双方に抵当権が設定され、これが競売等によって実行されたため、土地と建物の所有者が異なるに至ったときに法律の規定によって生ずる地上権を言う(388)。
    2、法定地上権が認められる背景
    このような法定地上権が認められる背景としては、わが国の民法では、土地が建物のと別個の不動産であるということと、自己借地権が認められない、すなわち、自分の所有の土地の上に自分の為に借地権を設定することは認められない(179)ということの二つがある。この法定地上権が認められなかった場合、同一人所有の土地建物のうち、建物が競売された場合において、それを買い受けた者は土地所有者から立退請求をされれば立ち退かなければならないことになる。そうなると、このような建物を買受ける者もいなくなり、また、建物に抵当権を設定してくれる抵当権者もいなくなるという弊害が生じる。
    よって、このような社会経済上不利益であるため、抵当権を設定する当事者の意思に鑑み、法定地上権の制度が設けられた。
    3、法定地上権の成立要件
    さて、このような法定地上権はどのような場合に成立するのであろうか。
    これについては、①抵当権設定時に土地の上に建物が存在していること、②その土地と建物が同一人所有であること、③土地・建物の一方又は双方に抵当権が設定されたこと、④抵当権実行によって土地所有者と建物所有者が別人になったこと、の四点が必要となる。
    4、諸問題
    <更地に抵当権設定後に建物を建てた場合、法定地上権は成立するか>
    判例
    判例はこの点につき、法定地上権が成立するためには、抵当権設定時において地上に建物が存在することを要するものであって、抵当権設定後の土地の上に建物を築造した場合は原則として同条の適用はないと判示した。
    私見
    やはり、この場合には法定地上権は成立しないと考える。抵当権者は更地であることを評価して抵当権を設定しているのであり、この場合に法定地上権を認めることは、抵当権者にとっては負担になる。よって、更地としてその土地の担保価値を評価した抵当権者を害さないために、更地の上に後に建物が建てられたとしても法定地上権を認めることは出来ない。
    (<また、更地に抵当権設定後に建物を建てたが、当事者に合意がある場合、法定地上権は成立するか>)
    また、抵当権者がいずれ建物が建てられて、そのときには法定地上権が成立することを承諾していたような場合にはどうなるだろうか。これについては、抵当権者が害されることはないことから、認められうるとも考えられる。しかし、抵当権実行された場合、土地を買受ける者は登記簿を調べると更地のときに土地の抵当権が設定されていることから、法定地上権は成立しないと判断して買受けてしまう虞がある。よってこのような場合にも、たとえ当事者に合意があったとしても法定地上権は成立しない。
    <抵当権設定後に於いて旧建物が滅失し、新建物が再築された場合は法定地上権成立するか>
    判例
    原則として、旧建物を基準とした法定地上権が成立するとした。これは新建物を基準とした法定地上権を成立させると、強い権利の負担を伴う土地としての土地の値段が下がってしまい、それまで旧建物のための法定地上権の成立を予定して土地の担保価値を把握した抵当権者が不測の損害を蒙ってしまうから。もっとも、新建物が鉄筋のような堅固なもので、負担が大きく土地の価値の著しい下落が厳しいと予想さ

    資料の原本内容 ( この資料を購入すると、テキストデータがみえます。 )

    法定地上権
    1、法定地上権とは
    土地と建物が別個の不動産であることから、土地及びその上に存する建物が同一の所有者に属する場合において、その土地または建物のみ、またはその双方に抵当権が設定され、これが競売等によって実行されたため、土地と建物の所有者が異なるに至ったときに法律の規定によって生ずる地上権を言う(388)。
    2、法定地上権が認められる背景
    このような法定地上権が認められる背景としては、わが国の民法では、土地が建物のと別個の不動産であるということと、自己借地権が認められない、すなわち、自分の所有の土地の上に自分の為に借地権を設定することは認められない(179)ということの二つがある。この法定地上権が認められなかった場合、同一人所有の土地建物のうち、建物が競売された場合において、それを買い受けた者は土地所有者から立退請求をされれば立ち退かなければならないことになる。そうなると、このような建物を買受ける者もいなくなり、また、建物に抵当権を設定してくれる抵当権者もいなくなるという弊害が生じる。
    よって、このような社会経済上不利益であるため、抵当権を設定する当事者の意思に鑑み、法定地上権...

    コメント0件

    コメント追加

    コメントを書込むには会員登録するか、すでに会員の方はログインしてください。