民法;動機の錯誤

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    資料紹介

    この点、Xは贋作である甲を本物だと思い込み、本物であるから買おうと考えて、本件契約を締結しており、Xの意思表示の動機に錯誤がある。
    それでは、このように意思表示の動機に錯誤がある場合にも、錯誤無効を主張することができるか。民法95条本文の「錯誤」に動機の錯誤も含まれるのかが問題となる。
    この点、錯誤を効果意思と表示意思との食い違いであるとすると、効果意思の形成過程に思い違いがあるに過ぎない動機の錯誤は含まれないことになる。
    しかし、現実に動機の錯誤が問題となる場面は多く、錯誤のある意思表示から動機の錯誤を除くと、95条の適用範囲が狭められてしまう。これでは表意者の保護として十分ではないと考える。
    反面、動機の錯誤は全て95条の錯誤に含まれるとすると、動機を知り得ない相手方に不測の損害を与え、取引の安全を害する。
    そこで、表意者保護と取引の安全との調和の見地から、動機が相手方に明示または黙示に表示された場合には意思表示の要素となり、95条の錯誤に含まれると解する(判例同旨)。
    以上より本問を検討すると、本問のXは本物だから買う旨を明示して本件契約を締結している。したがって、Xの動機の錯誤は95条本文の「錯誤」に含まれると解する。

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    民法課題レポート 13
    1.問題
    Xは絵画甲を有名画家のAの真作であると思い込み、所有者のYに「やはり本物は違いますなぁ。
    これを1000万円で売ってください」と言って、甲を1000万円で購入したが、実は贋作であ
    った(有名画家のAの作品は一般に贋作が多いことが知られている)。この場合、XはYから代金
    を返してもらうことができるか。
    2.回答
    1 本問においてXは錯誤無効を主張して、Yに対して代金の返還を請求すると考えられる。かか
    るXの主張は認められるか。
    2(1)この点、Xは贋作である甲を本物だと思い込み、本物であるから買おうと考えて、本件契
    約を締結しており、Xの意思表示の動機...

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