刑法:錯誤

閲覧数3,392
ダウンロード数15
履歴確認

    • ページ数 : 2ページ
    • 会員550円 | 非会員660円

    資料紹介

    一、甲の丙に対する罪責
    1 甲の撃った弾丸がかたわらにいた丙に当たって、丙を死亡させたという点に対して甲に丙に対する殺人罪(199 条)が成立するか。甲は丙に対して殺意を持っていなかったことから、甲の丙に対する構成要件的故意(38 条)が認められるかが問題となる。
    2 この点、行為者の認識した内容と、発生した事実とが具体的に一致していなければ故意を阻却するという説がある(具体的符合説)。
    しかし、未遂や過失処罰規定が無い場合、行為者は無罪となるため妥当な解決が図れない。
    また、この説は乙も丙も殺人罪(199 条)の構成要件上は同じ「人」である点を無視していることから妥当でない。
    3 思うに、故意責任の本質は、規範の問題に直面して、反対動機の形成が可能であったのにもかかわらず、あえて実行行為に及んだことに対する非難である。
    そして、刑法の規範は構成要件の形で一般国民に与えられている。
    そうであるならば、行為者の認識した事実は発生した事実が構成要件的評価として一致する限度で、規範に直面し反対動機の形成が可能であるといえるので、故意を認めうると解する(法定的符合説)。

    資料の原本内容 ( この資料を購入すると、テキストデータがみえます。 )

    刑法課題レポート 16
    1.問題
    甲は、乙を殺すつもりで、乙に向かってピストルを撃ったところ、弾丸は乙にかすり傷を与えた上に、かた
    わらにいた丙に当たって、同人を死亡させた。この場合における甲の罪責につき、自説を述べ、あわせて
    反対説を批判せよ。
    2.回答
    一、甲の丙に対する罪責
    1 甲の撃った弾丸がかたわらにいた丙に当たって、丙を死亡させたという点に対して甲に丙に
    対する殺人罪(199 条)が成立するか。甲は丙に対して殺意を持っていなかったことから、甲の丙
    に対する構成要件的故意(38 条)が認められるかが問題となる。
    2 この点、行為者の認識した内容と、発生した事実とが具体的に...

    コメント0件

    コメント追加

    コメントを書込むには会員登録するか、すでに会員の方はログインしてください。