法の下の平等

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    本判決においては、多数意見も反対意見も、差別の合理性の有無を違憲判断の基準としている点で共通するが、その判断のために適用した憲法の規定が異なっている。すなわち、多数意見は憲法24条1項を根拠とする法律婚主義という観点から、非嫡出子の相続分差別の合理性を判断し、合憲としたのに対し、反対意見は憲法13条および24条2項に基づく非嫡出子としての個人の尊重を中心として、立法後の社会状況・社会意識の変化、諸条約の成立、諸外国立法の趨勢等をも考慮して、差別の合理性を判断し、違憲としているのである。この違いは、非嫡出子差別についての法的認識の相違からもたらされたものであると考えられる。多数意見は、憲法24条1項は法律婚主義を採用しており、本件規定はかかる法律婚主義に基づく婚姻を保護するために非嫡出子の相続差別を定めたものであって、合理的であるという結論を導いている。他方、反対意見は、24条1項が婚姻を保護するとしても、同時に2項の相続における個人の尊厳という原則の徹底も要請されていると考え、非嫡出子の相続分差別は2項の個人の尊厳と相容れないとしている。
      また、憲法14条1項の合理性判定基準についてみると、多数意見は「合理的根拠の基準」を採用したと考えられる。一方、反対意見は「厳格な合理性の基準」を採用している。
    以上の点をかんがみると、非嫡出子の相続分差別という問題は「法律婚主義に基づく婚姻の保護」と「非嫡出子の個人の尊重」のいずれの観点を重視すべきかで結論が異なるものと考えられる。同差別を相続制度における法律婚主義保護のための規制としてとらえるのであれば、多数意見のような基準となる。それに対して、非嫡出子の相続差別が、個人の力では変更することができない社会的身分を理由とする差別であると解するならば、反対意見のような基準が妥当する。
      思うに、日本国憲法において「個人の尊重」はもっとも基本的な価値観であり、すべての人権規定は個人の尊重に由来している。また、24条は婚姻家族の存在自体を国家が保護することよりも、家族構成員の「個人の尊厳」を重視した条文であり、法律婚を尊重するものではない。したがって、本問題においては「非嫡出子の個人の尊重」という観点から、反対意見の示した「厳格な合理性の基準」が妥当であると解する。すなわち、?立法目的が重要なものであり、?立法目的とそれを達成する手段との間に実質的関連性があることが必要である。

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    一.非嫡出子への法定相続分差別(最大判平成 7 年 7 月 5 日)
    1.事実の概要
    訴外Aの死亡によって、その嫡出子3名、嫡出子の代襲相続人3名及び非嫡出子の代襲相続人3
    名が相続人となった。相続人の一人であったXは、非嫡出子の代襲相続人であることを理由に相続
    分に差をつけられた。Xは、相続財産について非嫡出子に嫡出子の二分の一の法定相続分しか認め
    ない民法900条4号ただし書き前段の規定(以下、「本件規定」という)は、法の下の平等(憲
    法14条1項)に違反し無効であるとして、嫡出子との均等相続を主張し、静岡家裁熱海支部に遺
    産分割審判を申し立てた。
    家裁は、法定相続分をいかに定めるかは国の立法政策の問題であり、本件規定は合憲であるとし
    て、現行法に従った遺産分割をした。
    これを受けて、Xは東京高裁に即時抗告したが、抗告審においても家裁と同様の判断の下に抗告
    を棄却されたため、さらに最高裁に特別抗告した。
    2.判旨
    最高裁大法廷は以下のように判示し、抗告を棄却した。
    憲法14条1項は合理的理由のない差別を禁止するもので、各人に存する種々の事実関係上の差
    異を理由としてそ..

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