『雪もち』における雪・酒粕・南天

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    幸田文の作品『雪もち』は埴子の語りによって場面が展開する。よって読者は語り手の声を聞くことはできない。それとひきかえに情景として印象深いのは次の三つである。その三つとは雪と酒粕と南天だ。では、この雪・酒粕・南天は作品中でそれぞれどのようなものとして描かれているのだろうか。このことについて考えていきたい。
    埴子は酒問屋に嫁いだ。それまでの机の前に座ってばかりいる生活から一変、茶の間に漂う酒粕の香ばしい匂いに新婚の甘さが重なる。商売違いからきたもののまぬけ臭さを洗いたいと埴子は夫の友人宅へ酒粕を届けに行く。雪の降る日であった。
    しかし、埴子はこの日思いがけず、友人宅へ雪道を向かう足駄の女を見つける。後にそれはかつて夫との結婚を望んでいた女であったと知るのだが、埴子にはその日見た足跡がなんとなく気になりつつも忘れかけていたのであった。
     この雪の日に埴子は情景として印象深いものを見る。その情景とは南天の赤い実がごみ箱の上で「雪持ち」の風情にまぎれ、降り積もる雪に消されそうになっていたものだ。赤は女性を思わす色である。またごみ箱の上にあることから捨てられたことをにおわせる。すると、この南天の赤い実は夫とは結婚にはいたらなかった過去の女性であると考えられる。では、雪はどのようなものであろうか。夫には妻埴子をしいんとさせるいくつかの過去がある。その過去を幼い頃から夫を見てきた古番頭、親しい友人は話さない。作品中で埴子はかたづけるには二つの意味があると言っている。ひとつは「整頓する」という意味であり、もうひとつは「見えなくしてしまう」という意味である。埴子は夫の過去をかたづけはした。しかし、そのかたづけかたは前者の整頓する方法である。

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    日本文学特殊講義課題レポート
    『雪もち』における雪・酒粕・南天
                          
    幸田文の作品『雪もち』は埴子の語りによって場面が展開する。よって読者は語り手の声を聞くことはできない。それとひきかえに情景として印象深いのは次の三つである。その三つとは雪と酒粕と南天だ。では、この雪・酒粕・南天は作品中でそれぞれどのようなものとして描かれているのだろうか。このことについて考えていきたい。
    埴子は酒問屋に嫁いだ。それまでの机の前に座ってばかりいる生活から一変、茶の間に漂う酒粕の香ばしい匂いに新婚の甘さが重なる。商売違いからきたもののまぬけ臭さを洗いたいと埴子は夫の友人宅へ酒粕を届けに行く。雪の降る日であった。
    しかし、埴子はこの日思いがけず、友人宅へ雪道を向かう足駄の女を見つける。後にそれはかつて夫との結婚を望んでいた女であったと知るのだが、埴子にはその日見た足跡がなんとなく気になりつつも忘れかけていたのであった。
     この雪の日に埴子は情景として印象深いものを見る。その情景とは南天の赤い実がごみ箱の上で「雪持ち」の風情にまぎれ、降り積もる雪に消されそうになっていた..

    コメント1件

    camelshui 購入
    good!
    2005/11/12 11:45 (11年1ヶ月前)

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