常民について

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    常民という表現は、民俗学関連の書物にしばしば登場するが、明瞭な概念規定はされておらず庶民や民衆などと同義なものとして使用される奇妙なものである。常民を初めて日本民俗学のキーワードとしたのは政治思想史家の神島二郎であった。彼は既存の民俗学の問題を、個別の民俗事象に引きずられて全体をまとめあげる統一的概念としての道を歩んでいないとし、その本来は民俗事象に影響を与える統一的概念を常民とした。竹田聴洲は神島の主張に加え、国民の中に常民とそうでない人間がいるのではなく、生活文化の中に常民的な面とそうでない面が区分されているのは明らかで、「常の民」というよりは「民の常」の意味であると主張した。
    柳田ははじめ常民を上層の日立と区別した庶民として使用していたが、そのうちに柳田の研究していた山人に対し、里方という意味で常民を使用した。これを第一段階とすると、第二段階では柳田の関心は里方に移り、上層とも山人とも区別された人々を常民としていた。さらに1950年代になると庶民とは区別され、普通の人ではなく、普通のことをしている人はみな常民であるとする第三段階に入り、現在では第二段階と第三段階がともに用いられている。第二段階で注目された点は、知的・指導的な上層部よりも、比較的新しい文化に禍されない伝承文化の所有者として国民の大部分をなす農工商人が民俗学にとって重要であることである。
    現在最も支持率が高いのは宮田登の「竹田氏の常民は「常の民」でなく「民の常」であり、人間の種類でなく文化の種類である。もともと時代・地域・階層によって左右されることのない常民概念が民俗や伝承文化から離れて一人歩きしたことが多くの誤解の元になった」というまとめであろう。

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    「常民」について
    常民という表現は、民俗学関連の書物にしばしば登場するが、明瞭な概念規定はされておらず庶民や民衆などと同義なものとして使用される奇妙なものである。常民を初めて日本民俗学のキーワードとしたのは政治思想史家の神島二郎であった。彼は既存の民俗学の問題を、個別の民俗事象に引きずられて全体をまとめあげる統一的概念としての道を歩んでいないとし、その本来は民俗事象に影響を与える統一的概念を常民とした。竹田聴洲は神島の主張に加え、国民の中に常民とそうでない人間がいるのではなく、生活文化の中に常民的な面とそうでない面が区分されているのは明らかで、「常の民」というよりは「民の常」の意味であると主張..

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