外国人の公務就任権について最高裁判決の検討

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    5.特別永住者の位置づけの問題
     外国人とは、日本国籍をもたない人のことである。しかし、日本国籍はもたないけれども生活の実態は日本国民一般と変わらないという外国人もいる。永年にわたり日本で生活し、あるいは日本で生まれ育ち、日本に生活の本拠を置く外国人(特別永住者)である。
     仮に、最高裁多数意見の言うように、外国籍の者に管理職員選考試験の受験資格を否認する措置が認められ得るとしても、本件訴訟の被上告人のような特別永住者については、むしろ日本国民と同じように人権が保障されると考えるべきである。この点に関して、最高裁の多数意見は、外国人の者に管理職選考試験の受験資格を認めない措置が許されるとした上で、「この理は特別永住者についても異なるものではない」として特別の説明を行っていない。
     しかし、人権の問題を考える際に重要なのは、その人の国籍ではなく、生活の実態である。特に、生活の本拠が日本にしかない外国人については、日本国民と同等の人権保障が及ぶとしなければ、それらの人々の人権は、実際問題として、無に等しいものとなる。もっとも、「外国人の人権」を考えるとき、そもそもなぜ、その外国人が日本で暮らすこととなったのかを、きちんと理解することが重要である。現在、在日外国人全体の約40%を占めるのが、韓国朝鮮人である(約53万人 [総務省統計局2004年2月現在])。その大部分は、1910年の韓国併合以来の日本による植民地支配のもと、強制連行などの形で日本に連れてこられ、自分の意思に関係なく「日本人」にされた人及びその子孫である。これらの人々は、日本の第二次世界大戦敗戦により、再び自分の意思に関係なく、「外国人」にされた。いわば、日本の都合で勝手に「日本人」にされ、また勝手に「外国人」にされた人たちである。そうである以上、これらの人々を受け入れるための条件をきちんと整備し、人間らしい生活を保障したうえで受け入れることは、日本の義務であるといえる。また、憲法の人権尊重の趣旨にも合致する。

    資料の原本内容( この資料を購入すると、テキストデータがみえます。 )

    東京都管理職選考受験資格確認等請求事件に関する最高裁判決に含まれる憲法上の論点について
    事実の概要
     本件は、大韓民国籍の外国人であり、日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法に定める特別永住者として我が国に在住するX(被上告人)が、昭和63年4月、Y(上告人)に保健婦として採用され、平成6年度及び同7年度に東京都人事委員会の実施した管理職選考を受験しようとしたが、日本の国籍を有しないことを理由に受験が認められなかったため、Yに対し、①管理職選考受験資格の確認を求めるとともに、②国家賠償法1条1項に基づき、慰謝料の支払いを請求した事案である。
    問題の所在
     本件判決の問題となる論点として、①公務就任権の根拠、②公務就任権の国民主権との関係③特別永住者の位置づけの問題があげられる。
     以下それぞれの問題について論じる。
    公務就任権の根拠
     本件訴訟は、憲法裁判としての意義をもつ。それならば、公務就任権の根拠はどこに求めるべきか。
    公務就任権について、公務にはさまざまな種類があることから、その政策の決定・執行に直接関わるものとはいえない。したがって、公務..

    コメント1件

    middle 購入
    わかりやすく参考になりました。
    2006/07/24 10:55 (10年4ヶ月前)

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