近代文学の諸問題について (2)

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    明治維新以降の約一世紀、日本の社会は急速に変化したが、その様子は文学にも様々な形で表現されるようになった。
    西洋文化を模倣し、身分制度が崩壊されたものの、急激な変化に人々は戸惑うことになる。それは森鴎外(一八六二~一九二二)の『雁』(一九一一・九~一九一三・五)の描写でも窺い知る事が出来る。
    飴細工売りの娘であったお玉は、末造に見染められ最初は満足しているものの、周囲の自分に対する様子から、成り上がりの高利貸しの妾という自分の場に徐々に気づいていく。更に岡田に対する想いから、自分の中の「欲望」に目覚めていくという話である。
    このお玉が暮らす下谷一体の町は、末造が築き上げた領域という設定だが、その境目にある無縁坂こそがお玉に変化をもたらし、物語の設定に重層感をもたらす仕掛けとなるスポットである。新しい明治という時代を担っていこうとする岡田は、末造の築き上げた、即ち江戸を引きずった世界の外で生活する人物である。その内側で生活するお玉は、その外側にいる岡田と同じ時代に生きながら、無縁坂という名が想像させるように、縁のない出会いをするのである。
    前田愛氏は、
     岡田の後ろ姿を見つめつづけていた..

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