Francis Pongeの詩について

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    ろうそく
     夜は時折奇妙な生き物を生き返らせる。そのほのめく光は家具のある部屋をいくつもの影のかたまりに解体する。
    黄金の葉っぱは何事にも動じることなく立っている。白い小さな円柱の穴のところで。
     蛾が襲い掛かる。とても高く輝き森に降り注ぐ月よりも好んで。しかしすべての蛾はすぐに焼かれるか戦いに疲れきって、茫然自失に近い狂熱に沿って震えている。
     しかしながらろうそくは突然、自らの煙を出す、本の上に揺らめく光によって読者を勇気付ける。それからろうそくは小皿の上で傾き、自らの糧の中に溺れ死ぬ。
    牡蠣
     牡蠣は普通の小石ぐらいの大きさだが、もっとざらざらしていて色も均一でなく、白っぽく輝いている。それは頑固に閉じられた世界だ。けれども人はそれを開けることができる。それには牡蠣を布のくぼみに置かなければならない。刃の欠けたナイフを使わなければならない。そして何度も挑戦しなければならないのである。好奇心の強い指は傷つき、つめを割ってしまう。それは荒々しい作業である。われわれがそれにもたらす打撃はその丸くて白い殻にある種の輝きを印しつける。
     内側に飲んだり食べたりすべき世界が見つかる。真珠の天空(適切に言えば)の下で、上の空が下の空のほうにおりて崩れている。そしてひとつの沼に他ならなくなる。縁の所は黒いレースで形作られたぬるぬるしていて緑色の袋に、見たり嗅いだりするたびに潮が満ちたりひいたりする。
     とても珍しいことだがある決まりがまさに真珠のたまになって滴る。それで人は自分の身を着飾ることを思いつく。

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     Francis Pongeの詩について
    〈全訳〉
    ろうそく
    夜は時折奇妙な生き物を生き返らせる。そのほのめく光は家具のある部屋をいくつもの影のかたまりに解体する。
    黄金の葉っぱは何事にも動じることなく立っている。白い小さな円柱の穴のところで。
    蛾が襲い掛かる。とても高く輝き森に降り注ぐ月よりも好んで。しかしすべての蛾はすぐに焼かれるか戦いに疲れきって、茫然自失に近い狂熱に沿って震えている。
    しかしながらろうそくは突然、自らの煙を出す、本の上に揺らめく光によって読者を勇気付ける。それからろうそくは小皿の上で傾き、自らの糧の中に溺れ死ぬ。
    牡蠣
    牡蠣は普通の小石ぐらいの大きさだが、もっとざらざら...

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