食品衛生学

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    資料紹介

    細菌性食中毒には発症機序から大きく感染型と毒素型(食品内毒素)の2つに大別されるが、更に、感染型については感染侵入型と感染毒素型(生体内毒素型)に細かく分ける事が出来る。
     このうち、感染型食中毒については、食品の中で腸管病原細菌が増殖し、その増殖した大量の菌が増殖されている食品を摂食することにより、腸管内で感染を引き起こす食中毒を言う。
    そのうち、腸管内での菌の増殖に伴い腸管毒が産生され、下痢などを起こすものを生体内毒素型と言い、はっきりとした毒素を産生せず、腸管細胞に侵入することによって症状を起こすものを侵入型と呼ぶ。
     また、毒素型食中毒については、食品の中で細菌を産生され、その細菌(毒素)が産生された食品を摂食したことを原因として起こされる食中毒の事を言い、その代表的なものとしてボツリヌス中毒、ブドウ球菌食中毒を挙げることが出来る。
     そこで、以後に於いて細菌別食中毒に関する概要、及びその予防対策について述べることとする。
    1.サルモネラ食中毒
    (1) 原因細菌
      a. サルモネラ菌は血清型で分類すると2, 000種類以上存在するが、食中毒の際検出されるのは、腸炎菌(Salmonella Enteritidis)やネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)等である。
      b. サルモネラは、腸内細菌科に属するグラム陰性、無芽胞の桿菌で、鞭毛を持つ通性嫌気性である。
      c. 発育至適温度は、35〜37℃の中温菌であり、熱に対しては弱く、60℃、20分以上で死滅する。
    (2) 感染源・感染経路・原因食品
    我が国では従来、牛刺、馬刺、レバー刺、ささみ刺等肉類の生食や加熱不十分な焼き鳥等による事例が多発していた。しかし、最近では腸炎菌(Salmonella enteritidis : SE)による鶏卵・鶏肉と事例が増加している。そのため、平成10年11月25日に鶏の卵についての表示基準、鶏の液卵についての規格基準が設けられた。       
    (3) 中毒症状
    通常10^6個以上で感染するが、SEについては100〜1,000個でも感染する。発熱(38〜40℃)、腹痛、下痢を主症状とする急性胃腸炎を起こす。また、悪心、嘔吐症状を現すなど、典型的な感染症の症状が見られる。潜伏期間は、通常6〜72時間、平均12〜24時間位である。
    (4) 予防対策
    a. 細菌性食中毒の予防の原則(清潔、温度管理、迅速摂取)に従う。
    b. 感染源であるネズミや衛生昆虫などによる食品汚染を防止するため、これらの動物の侵 入防止や駆除を行う。
    c. 保菌者による汚染を防ぐため、食品関係業者については定期的に保菌者の検索をする。
    d. 本菌は、10℃以下の低温では殆ど増殖しないので冷蔵・冷凍庫を有効に活用する。鶏卵は、4℃以下での保存が望ましい。

    資料の原本内容 ( この資料を購入すると、テキストデータがみえます。 )

     細菌性食中毒には発症機序から大きく感染型と毒素型(食品内毒素)の2つに大別されるが、更に、感染型については感染侵入型と感染毒素型(生体内毒素型)に細かく分ける事が出来る。
     このうち、感染型食中毒については、食品の中で腸管病原細菌が増殖し、その増殖した大量の菌が増殖されている食品を摂食することにより、腸管内で感染を引き起こす食中毒を言う。
    そのうち、腸管内での菌の増殖に伴い腸管毒が産生され、下痢などを起こすものを生体内毒素型と言い、はっきりとした毒素を産生せず、腸管細胞に侵入することによって症状を起こすものを侵入型と呼ぶ。
     また、毒素型食中毒については、食品の中で細菌を産生され、その細菌(毒素)が産生された食品を摂食したことを原因として起こされる食中毒の事を言い、その代表的なものとしてボツリヌス中毒、ブドウ球菌食中毒を挙げることが出来る。
     そこで、以後に於いて細菌別食中毒に関する概要、及びその予防対策について述べることとする。
    1.サルモネラ食中毒
    (1) 原因細菌
      a. サルモネラ菌は血清型で分類すると2, 000種類以上存在するが、食中毒の際検出されるのは、腸...

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