『20世紀少年』を読んで

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    現在、最も売れている漫画のひとつ、『20世紀少年』。この漫画が売れる理由をあれこれ論じるのはたやすい。70年代への郷愁であったり、謎が謎呼ぶ緊迫感であったり、緻密な人間性の描写であったり、それは人により異なるだろう。
     しかし、それだけではない。この漫画が人々の心を掴んで離さないのは、この漫画の放つ恐怖感にあると考える。それは、非現実的な「予言」なるものが、人間のエゴによって現実化されていく恐怖感。人類はどのような終末を迎えるのかという恐怖感。人間の曖昧な記憶に対する恐怖感。これらの恐怖感は、決して縁遠いものではなくて、戦争、宗教、人間関係として、私たちが日常的に直面する可能性のある存在なのである。
     『20世紀少年』は、これらの恐怖を背景に、人間のエゴが生み出す悲劇を、21世紀という絶望的な時代に向けて表現されている作品であると思う。
     それでは、『20世紀少年』において、恐怖感はどういった形で表現されているのか考察してみたい。
     第一の恐怖として、子供の持つ無邪気な残酷さを挙げたい。
     作品の中で登場する「ともだち」なる存在。この「ともだち」は「予言」を実行に移す首謀者であるが、その動機が極めて幼稚と言える。その動機とは、子供特有の目立ちたい、人気者になりたいという願望である。その願望がエスカレートし、歪んでしまった結果として抱いた感情が孤独感。孤独感を味わわないためには、みんなが友達になればいい。そのために世界を征服し、友達ではないものを排斥し、都合の悪くなった友達を「絶交」する。
     このような考え方は、純粋であるがゆえに恐ろしい。悪いことを悪いと感じていないからたちが悪い。何をするか分からない恐怖感がある。
     しかし、この無邪気な残酷さは、果たして子供特有のものと言えるだろうか。歴史に目を向けると、そこには排斥や絶交が繰り返されているではないか。

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     現在、最も売れている漫画のひとつ、『20世紀少年』。この漫画が売れる理由をあれこれ論じるのはたやすい。70年代への郷愁であったり、謎が謎呼ぶ緊迫感であったり、緻密な人間性の描写であったり、それは人により異なるだろう。
     しかし、それだけではない。この漫画が人々の心を掴んで離さないのは、この漫画の放つ恐怖感にあると考える。それは、非現実的な「予言」なるものが、人間のエゴによって現実化されていく恐怖感。人類はどのような終末を迎えるのかという恐怖感。人間の曖昧な記憶に対する恐怖感。これらの恐怖感は、決して縁遠いものではなくて、戦争、宗教、人間関係として、私たちが日常的に直面する可能性のある存在なのである。
     『20世紀少年』は、これらの恐怖を背景に、人間のエゴが生み出す悲劇を、21世紀という絶望的な時代に向けて表現されている作品であると思う。
     それでは、『20世紀少年』において、恐怖感はどういった形で表現されているのか考察してみたい。
     第一の恐怖として、子供の持つ無邪気な残酷さを挙げたい。
     作品の中で登場する「ともだち」なる存在。この「ともだち」は「予言」を実行に移す首謀者であるが、..

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