進化論から構造主義までの学説史的変遷

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    学説史的変遷
    進化論
     進化論が基礎を置いている方法は大きく二つあるといえる。第一は、比較法である。比較法の考え方は、啓蒙思想の「進歩」の概念を形作る一要素であって、ヨーロッパ文明が元の野蛮状態から発達した所産とする18世紀社会哲学者たちの考え方の中にその萌芽を持つ。そしてこの考えは19世紀中葉にいたって、古生物学・地質学・先史考古学などの発見で肉付けされ、文化進化論においていっそう具体的な姿を取るようになる。つまり、現在のある未開社会で営まれている生活様式とは、過去の旧石器時代とか新石器時代、または古代国家形成期の社会生活と相関関係にあるに違いないというものである。
     しかし、進化の頂点にはその当時の欧米の近代文明が想定されていてこれと相違する度合いに応じて世界の異民族の様々な文化を準じに低い段階におく。つまりはそれぞれの文化の特徴が西ヨーロッパの文化に近いか遠いかという尺度で文化の高い低いがきめられることになる(単系進化)。この考えは技術・知識の水準だけを唯一の尺度として野蛮・未開・文明社会という類型論を作り上げる結果となった。
     第二は「残存」の概念である。残存理論によって野蛮・未開・文明の相違を超えてそれぞれの慣習の間に相似関係を再確認するのを容易になったばかりか、野蛮・未開人の社会慣行や宗教信仰の合理性を十分に認識することになった。この考えは今日の考古学においても「痕跡器官」という重要な概念を提供している。
    伝播論
     進化論の場合は民族間に同じ文化現象が分布している場合、それは伝播によるものではなく、平行発展上の同水準に達した兆候であると考えられていた。しかし伝播論ではある文化から別の文化へ、ある人口集団から別の人口集団へ、あるいはある場所から別の場所へ事物が伝わることを強調する。ある時代、極端なものになると、ある場所で発明されたものが人から人へと伝わり、時には地球を一周するということを暗黙の前提している。伝播は安定した人口集団間で直接発生することもあれば、豊富な文化を有した人々が移動することで起こることもある。
     例えばグレープナーはある空間に分散して存在する類似的現象を検討し、それらの歴史的系譜関係を調べる場合に、主観的判断を防ぐために規準を定めた。というのは類似しているといえども、何が類似しているかを決めようとする場合に主観的判断によって影響される可能性があるからである。第一の主要な規準は「形態の規準」である。それは符合する事物の特徴は事物自体の本質から必然的に結果したものではなく、またその材料とか地理的気候的条件によって決まったものでもないということが必要条件である。そして第一の規準が示した事物の相互関係を確定するために設けられたのが第二の主要規準であり、「量的規準」である。これはある地域内に弓矢のようなひとつの事物が特定の類似性を有するのみならず、それとともに必ずほかにもいくつかの現象か要素が共存すると、その規準が成り立つとする。しかし、分布地域が切断され、あるいは大きく隔たっている場合にはさらに補助規準を導入する必要がある。文化は伝播するとき、大空間を一気に飛び越えることは無いので、ある要素の発生地と現在の分布地との間に伝播の痕跡が残っているはずである。この通過経路についての「継続の規準」はとくに前述の他の二規準を強化する。これを適用していくことで空間的時間的に非常に隔たった文化の間に系譜関係があることが確認された。これらの規準を具体的に説明する際には地理的空間が問題になるが、文化要素が空間的に伝播するから、ある文化要素の複

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    学説史的変遷
    進化論
     進化論が基礎を置いている方法は大きく二つあるといえる。第一は、比較法である。比較法の考え方は、啓蒙思想の「進歩」の概念を形作る一要素であって、ヨーロッパ文明が元の野蛮状態から発達した所産とする18世紀社会哲学者たちの考え方の中にその萌芽を持つ。そしてこの考えは19世紀中葉にいたって、古生物学・地質学・先史考古学などの発見で肉付けされ、文化進化論においていっそう具体的な姿を取るようになる。つまり、現在のある未開社会で営まれている生活様式とは、過去の旧石器時代とか新石器時代、または古代国家形成期の社会生活と相関関係にあるに違いないというものである。
     しかし、進化の頂点にはその当時の欧米の近代文明が想定されていてこれと相違する度合いに応じて世界の異民族の様々な文化を準じに低い段階におく。つまりはそれぞれの文化の特徴が西ヨーロッパの文化に近いか遠いかという尺度で文化の高い低いがきめられることになる(単系進化)。この考えは技術・知識の水準だけを唯一の尺度として野蛮・未開・文明社会という類型論を作り上げる結果となった。
     第二は「残存」の概念である。残存理論によって野蛮・..

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