刑事訴訟法60条1項1号の「住居不定」について

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    1.総論
    刑事訴訟法60条1項各号は、犯罪の嫌疑がある場合で、住居不定(1号)、罪証隠滅のおそれ(2号)、逃亡のおそれ(3号)、のいずれかが存するときは、被疑者を勾留することができる旨を規定している。この勾留の要件を一般に「勾留の理由」という。また勾留の理由がある場合において、なお公共の福祉と被疑者個人の基本的人権の保障とを比較衡量し、被疑者を勾留することが相当と認められることを「勾留の必要性」という。この勾留の必要性は、刑事訴訟法上勾留の要件としては規定されておらず、勾留の取消についての87条において「勾留の理由」と区別して「勾留の必要」という文言が用いられているに過ぎない。しかし憲法が強制処分に司法官憲の令状を必要とし、司法的抑制を認めている趣旨から、裁判官は、勾留の理由があっても、なお勾留の必要性の有無を判断すべきであり、「勾留の理由」とは別個の「勾留の必要性」の意義が認められる。以上のように、勾留が認められる実体的要件として、「勾留の理由」と「勾留の必要性」がなければならない。
    次に「勾留の理由」中の、「住居不定」(60条1項1号)についてみていく。ここで「住居」とは、住所・居所の併称であり、住所とは生活の本拠であり、居所とは生活の根拠ではないが人が多少の期間継続して居住する場所である。「住居不定」とは住所はもちろん、居所も定まっていないことを意味する(広義の「住居不定」)。といっても同じく住居が定まっていないといっても、その不安定度には種々の段階があり、1号の「住居不定」とは被疑者の不出頭のおそれを類型化したものという意見がある。そこで住居不定は、住居の不安定度が逃亡のおそれ(3号)を推測させる程度に達したものと考えることも可能である。

    資料の原本内容( この資料を購入すると、テキストデータがみえます。 )

    次の各場合において、刑事訴訟法60条1項1号の事由(住所不定)があるとして、勾留することができるか。
    1(1) 被疑者の人相、風体その他の事情から、被疑者が住所不定者ではなく、一定の住居を有していると推測されるが、被疑者が黙秘しているために、被疑者の住所・氏名を知ることができない場合。
    被疑者は1泊1000円の毎日更新する安宿に6ヶ月間継続して止宿しつつ、日雇人夫として稼動しており、外国人登録法に基づき上記を居住地として登録している場合。なお、同人は、同居家族も身寄りもなく、上記に居住し始める前は2年くらい刑務所に服役していたものである。
    韓国人である被疑者が、本邦内に定まった住居を有する夫を頼って入国しようとして、出入国管理法違反の現行犯として逮捕されたものである場合。
    被疑者は遠洋漁業船の船員であり、いったん出漁すると6ヶ月くらいは帰港しない。帰港した時は、停泊中の船に泊まったり船員寮に泊まったりしているが、20日間ぐらい休養した後に再び出港するという生活を送っている場合。
    2(1) 上記小問(1)の場合において、被疑者は、参考人としてその供述調書が取られているX女と同棲しているこ..

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