賞与・退職金管理

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    資料紹介

    労務管理特講
    □ 賞与・退職金管理
    日本の賃金管理上、欧米諸国には見られない特徴的な制度として賞与・退職金制度がある。
    欧米諸国でも「賞与」は「利潤分配」として制度化されたものがあるが、主として経営者や上級管理者に対するものであり、企業業績が悪ければ支払われない。また、欧米諸国では私的退職年金の制度が発達しており、「退職金」の支払いがある場合でも、その額は功労的な意味で決して大きなものではない。日本における賞与・退職金慣行はその支払額の顕著な大きさだけでなく、すべての正規従業員を対象に景気の変動を受けながらも恒常的に支給されるという意味で、欧米諸国には見られない特有の制度ということができる。
    賞与の管理
    賞与とは
     期末手当・一時金・ボーナスとよばれるもの。一般的には年に2回、定例的に支給される「特別給与」のこと。
    現在、賞与は所定内賃金の4~6ヵ月分、従業員の年間総収入の30%前後。そしてその支給額の大きさから、企業には人件費管理上、従業員には生活設計上、かなり重要な地位を占めている。
    一方、賞与に関しては労使で大きな意見の対立があります。労働組合は賃金の一部を年2回別払いするものと理解して「一時金」と呼び、賃金と同様に企業は支払うべき義務があるものだと主張しています。これに対して企業側は、企業業績や利益における従業員の貢献に対する功労報酬だと理解して、文字通りボーナスとしての「賞与」と理解しています。もちろんこれは本質論での議論であり、実際にはそれぞれの主張を織り交ぜたかたちでその調整と運用がはかられています。
    労働者の生活設計における恒常的な収入源となり、定例賃金の一部と化しています。企業側もこうした事情は認めており、安定的な賞与支給を義務と考える経営者が多いことも事実です。
    今日における賞与の慣行は日本における独特な1つの賃金支払い形態になっており、生活費充足の原則を強く反映したものになっています。
    しかし最近では、基本給の職能給体系化の動きと連動してその能力主義的運用が強調されるようになり、個人配分における労働対価の原則が大きく浮かび上がってきました。このため同学歴・同期入社の者でも、基本給と同様に能力・業績差によって賞与支給額に大きな格差が生じることになりつつあります。
    賞与の配分
    特別給与としての賞与は、その性格から一般的に固定的な生活一時金的な「定例賞与」と企業業績・個人業績で変動する「業績賞与」の2つの部分で構成されている。今日、大企業レベルで年間賞与はおおよそ5ヵ月分程度ですが、その3ヵ月分前後が固定的な生活一時金で、2ヵ月分前後が変動的な業績賞与とされるのがふつう。
    この業績賞余分の決定の仕方には「業績スライド方式」と「成果配分方式」の2つがあり、共に業績にリンクして賞与を算定する点は同じだが、生産性向上に対する意識を促す点では成果配分方式が優れている。
    またとくに今日、次のような点からその積極的な役割が認められています。
    賃金の社会性と企業性の調和
    経営参加意識の高揚
    職能給の補完
    他方、固定的賞与分と共に業績賞与を個人に配分する場合、それは一般的に、次のような3つの基準で算定されます。
    算定基礎額
    平均支給月数
    個人別査定率
    以上の基準が賞与の個人別査定の基準ですが、企業によってはこれに欠勤率を考慮したり、部門ごとの特殊事情を考慮した調整が行われる場合もあります。
     今日では、経営環境が大きく変わる中で、人件費の硬直化を避ける手段として賞与制度の新たな運用に関心が高まっている。ベースアップによる基本賃金の引き上げは時間

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    労務管理特講
    □ 賞与・退職金管理
    日本の賃金管理上、欧米諸国には見られない特徴的な制度として賞与・退職金制度がある。
    欧米諸国でも「賞与」は「利潤分配」として制度化されたものがあるが、主として経営者や上級管理者に対するものであり、企業業績が悪ければ支払われない。また、欧米諸国では私的退職年金の制度が発達しており、「退職金」の支払いがある場合でも、その額は功労的な意味で決して大きなものではない。日本における賞与・退職金慣行はその支払額の顕著な大きさだけでなく、すべての正規従業員を対象に景気の変動を受けながらも恒常的に支給されるという意味で、欧米諸国には見られない特有の制度ということができる。
    賞与の管理
    賞与とは
     期末手当・一時金・ボーナスとよばれるもの。一般的には年に2回、定例的に支給される「特別給与」のこと。
    現在、賞与は所定内賃金の4~6ヵ月分、従業員の年間総収入の30%前後。そしてその支給額の大きさから、企業には人件費管理上、従業員には生活設計上、かなり重要な地位を占めている。
    一方、賞与に関しては労使で大きな意見の対立があります。労働組合は賃金の一部を年2回別払いするもの...

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