動物園の課題

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    『動物園の課題』          
     動物園では多種多様な動物が飼われている。本来住むべき野生を離れ、人間の下で暮らすことを強いられた動物たちには、たくさんのストレスが生まれただろう。さらに、動物についてのストレスの課題だけでなく、制度や研究に関しても、動物園は様々な課題を持っているのである。そこで、現在最もレベルの高いと言われるアメリカの動物園を中心に考えていきたい。
    まず、アメリカの動物園の体制と日本の動物園の体制から、日本の動物園における体制の課題について探る。アメリカの動物園には「キューレイター」と呼ばれる人たちがいる。この人々は中間管理職で、言うなれば、それぞれの専門の分野を担当するまとめ役のようなものである。彼らの多くは大学で動物学や生物学を専攻しており、数年間は現場で働いた経験がある。そして、彼らは、例えば、ほ乳類、鳥類、は虫類と言ったふうに分けられたそれぞれの部門に配置されている。そこで、動物園専属の獣医と話し合い、刺激しあって、協力しあいながら、よりよい動物園を目指している。また、園長になる人も、動物学などを学んだ人が多く、もし、経営関係の仕事から移ってきて園長になるという場合でも、動物に関する技術的な分野は中間管理職に権限が委譲されることが多く、高い水準が守られている。一方、日本の動物園については、まずキューレイターが存在しない。動物に関して知識があるのは、獣医くらいのものである。その獣医も、大学では、ウシ、ウマ、ブタ、イヌ、ネコ、ニワトリなど家畜化されたほ乳類や鳥類の、そのまた限られた衛生管理という側面しか学んでいない。また、飼育係の発言にたいした力がないことも問題である。毎日動物の面倒を見、世話をするという、動物にとって一番近くにいる存在であるにも関わらず、重要な話には加われない。アメリカでは、動物の新しい展示場を作るとき、デザイナーや上層部だけでなく、飼育係や教育担当者もメンバーに入った委員会で話し合いを行っているのに、である。さらに、園長になる者についても、日本の動物園の多くは公立であるため、役所の課長クラスが適当に選ばれている状態である。向き不向き、適性、能力などを考慮せずに人事異動を行っているのである。そのため、動物への関心が薄い人が多く、『出世』のための足がかりと考えて、特に何もせずに次のポストを待つ腰掛けという人が多い。だから、よくて現状維持で動物園がよくなっていくということは、ほとんどないのである。以上から、日本の動物園の体制における課題、それはまず、動物園で働く獣医のための教育である。学問の幅を広げ、野生動物についての知識を築かせなければならない。そして、飼育係の発言力のアップ、園長の人選もしっかり行わなくてはならない。このあたりが変わってくれば、日本の動物園のレベルも上がってくるだろう。
     次に、展示方法について見てみると、アメリカの動物園にも課題があることが見えてくる。現在、アメリカの展示方法の主流とも言えるのが、ランドスケープイマージョンである。これは、飼育されている動物が、もともと住んでいた場所に似せた展示場をつくり、その中に動物を置くことで、現地に行って野生動物を見ている錯覚に陥らせる仕掛けのことである。この仕掛けのメリットは、ある程度広いスペースが確保されているので、かつての動物園の牢屋のような狭くて暗い檻のもつ「とらわれの身でかわいそう」というイメージを取り消し、さらに動物園に対するいいイメージまでつくということである。そして、何よりも大自然のなかにいるような動物を見ることで、その偉大さへの

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    『動物園の課題』          
     動物園では多種多様な動物が飼われている。本来住むべき野生を離れ、人間の下で暮らすことを強いられた動物たちには、たくさんのストレスが生まれただろう。さらに、動物についてのストレスの課題だけでなく、制度や研究に関しても、動物園は様々な課題を持っているのである。そこで、現在最もレベルの高いと言われるアメリカの動物園を中心に考えていきたい。
    まず、アメリカの動物園の体制と日本の動物園の体制から、日本の動物園における体制の課題について探る。アメリカの動物園には「キューレイター」と呼ばれる人たちがいる。この人々は中間管理職で、言うなれば、それぞれの専門の分野を担当するまとめ役のようなものである。彼らの多くは大学で動物学や生物学を専攻しており、数年間は現場で働いた経験がある。そして、彼らは、例えば、ほ乳類、鳥類、は虫類と言ったふうに分けられたそれぞれの部門に配置されている。そこで、動物園専属の獣医と話し合い、刺激しあって、協力しあいながら、よりよい動物園を目指している。また、園長になる人も、動物学などを学んだ人が多く、もし、経営関係の仕事から移ってきて園長にな..

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