日本におけるAlice`s Adventures in Wonderland

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     Lewis Carrollの代表作Alice’s Adventures in Wonderlandは、日本でも知らないと言う人を探すほうが難しいほど有名な児童文学である。しかし日本では、Carrollが著した本来の物語の内容があまり知られていないという印象がぬぐえない。Punなどの遊び心に溢れ、イギリスの子供たちから熱狂的に愛されたこの作品が、日本でそれほど定着しないのには理由がある。それは、日本人は言葉の違い、文化の違いのせいで、この作品が持つおもしろさを十分に理解できないことである。以下の本論では、日本人にとって理解しにくいおもしろさを作中に出てくる詩、キャラクターの成り立ち、言葉遊びの3点に分け、それらが理解しにくい理由を示していく。
     まず最初は作中に出てくる数々の詩である。これらの詩のほとんどは、Alice’s Adventures in Wonderlandが書かれた当時、子供たちのあいだで広く読まれた教訓詩のパロディーである。Carrollは子供たちに世の秩序を教え込むための教訓詩をまったく意味の違ったものに変えてしまうことで子供たちの笑いを誘ったのである。第6章でDuchessが歌う詩がいい例である。この詩はもともと、「自分より小さな子供には、力ではなく愛情によって正しい道を示しなさい」ということを示す教訓詩である。それが作品中ではCarrollの手によって正反対の意味を持つ詩に変えられてしまっている。当時の子供たちが、日頃から教え込まれている堅苦しい内容の教訓詩がこのように正反対の意味を持つ詩、もしくはまったくのナンセンスな詩に変えられてしまうことに大きな驚きとおもしろさを感じたであろうことは容易に想像できる。これらの詩は元となる詩からどれだけ変化しているかがわかって初めておもしろさがわかるのである。しかし日本人には元となる教訓詩に関する知識がまったくないため、作品中の詩はすべてただの「意味不明な詩」「何を言いたいのかわからない詩」として読み進めざるをえなくなってしまう。よって、予備知識のない日本人がこれらの詩が持つ真のおもしろさを理解することは非常に困難なのである。
     次に挙げられるのは、キャラクターの成り立ちのおもしろさである。この物語にはCarrollが作り上げた独創的なキャラクターが数多く登場する。これらのキャラクターは何も知らない日本人から見ても非常に興味深くおもしろいものであるが、Carrollがどこからインスピレーションを受けてそのキャラクターを作ったのかがわかればさらにおもしろさが増すのである。たとえば作品中で“mad”とされるMad HatterとMarch Hareであるが、この2つのキャラクターは“as mad as a hatter”と“as mad as a March hare”という2つの英語の成句からインスピレーションを受けて作られたと考えられる。この2つの成句は、かつて帽子屋は帽子の材料となるフェルトを処理するのに使われた水銀の毒によって幻覚を見るなどの職業病を患う者が多かったこと、そしてうさぎは発情期である3月になると発狂したように落ち着きがなくなるということからきているのであるが、当時のイギリスの子供たちはこのようなキャラクターと成句のつながりを見つけるという楽しみも得ていたのである。この成句のことを知ってさえいれば、“perhaps as this is May [March Hare] won’t be raving mad – at least not so mad as it wa

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     Lewis Carrollの代表作Alice’s Adventures in Wonderlandは、日本でも知らないと言う人を探すほうが難しいほど有名な児童文学である。しかし日本では、Carrollが著した本来の物語の内容があまり知られていないという印象がぬぐえない。Punなどの遊び心に溢れ、イギリスの子供たちから熱狂的に愛されたこの作品が、日本でそれほど定着しないのには理由がある。それは、日本人は言葉の違い、文化の違いのせいで、この作品が持つおもしろさを十分に理解できないことである。以下の本論では、日本人にとって理解しにくいおもしろさを作中に出てくる詩、キャラクターの成り立ち、言葉遊びの3点に分け、それらが理解しにくい理由を示していく。
     まず最初は作中に出てくる数々の詩である。これらの詩のほとんどは、Alice’s Adventures in Wonderlandが書かれた当時、子供たちのあいだで広く読まれた教訓詩のパロディーである。Carrollは子供たちに世の秩序を教え込むための教訓詩をまったく意味の違ったものに変えてしまうことで子供たちの笑いを誘ったのである。第6章でDu..

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