行政法1 第二課題(再提出)

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    資料紹介

    中央大学2009年課題

    資料の原本内容

     行政行為とは、行政主体が法の下に法の規制を受けながら、公権力の行使として国民に対し具体的な法的規制をする行為である。行政行為は、仮に違法であっても裁判所や行政庁等によって取り消されるまでは有効である。原則として処分の執行等は妨げられず、かつ民事保全法に定める仮処分を求めることができない。また、不服申し立て期間・出訴期間の経過後は、その効力を争うことができなくなる他、行為属性として、職権による取り消しや変更ができない行為がある。さらに、行政行為により命ぜられた義務不履行の場合には、行政庁は、法律に基づき、自力で行為の内容を執行できる。この特色は、行政行為のみに認められ、他の行政形式には認められていない。この行政行為は、法律行為的行政行為と準法律行為的行政行為に大別される。前者は、行政庁の意思表示により成立し、行政庁が望む法律効果を発生させる行為をいう。さらに、命令的行為と形成的行為がある。後者は、判断・認識の表示に対し、法律規定により一定の法律効果が発生する行為をいう。
    命令的行為とは行政庁が国民に対し、国民が本来有している権利の制限、その制限を解除する行為をいう。命令的行為には下命、禁止、許可、免除がある。形成的行為とは国民が本来有していない特別の権利や法的地位を与奪する行為をいう。形成的行為には特許、剥権、認可、代理がある。準法律行為的行政行為には確認、公証、通知、受理がある。
     附款とは、行政行為における主たる意思表示に従たる意思表示を加えるものをいう。例えば、自動車の運転免許を付与するが、眼鏡をかけることであるが、この場合は眼鏡をかけることという部分が従たる意思表示となる。附款は、法律行為的行政行為のみにつけることができ、また行政目的の達成に必要な限度でのみつけることができる。附款の種類には条件、期限、負担、取り消し・撤回の留保、法律効果の一部除外がある。附款に瑕疵がある場合、どのような扱いとなるのであろうか。瑕疵には、附款が違法であり、取り消しができる場合と附款に強度の違法があるため無効である場合がある。
     行政行為には、一般的な法律行為とは異なる特殊な効力が認められている。その効力は、拘束力、公定力、不可争力、自力執行力、不可変更力がある。拘束力とは、行政行為の相手方のみでなく、第三者や行政主体に対しても行政行為の効力が及ぶことをいう。公定力とは、仮に違法な行政行為が行われた場合であっても、それが無効な行政行為でない限りは、取り消されるまで有効な行為として扱われる効力をいう。公定力が認められる実定法上の根拠は、抗告訴訟の1つとして、行政事件訴訟法3条2項に取消訴訟が規定されていることから、現行法では処分に対する訴訟提起はこの制度によること(取消訴訟の排他的管轄)を前提としているからである。そして、実際上の根拠としては違法な行政行為を違法であるとして直ちに服従の拒否を認めると、公共利益が損なわれる可能性が大きく、行政上の法律関係の安定、公益実現等の観点から必要とされる。不可争力とは、行政行為の相手方からその効力を争えなくなる効力をいう。行政行為に対しては、法定期間内に限り訴訟が認められる(行政不服審査法14条等)からその期間が徒過すると不可争力が生じる。自力執行力とは、行政庁が行政行為の内容を自力実現できる効力をいう。これは非常に強力な効力を発揮し、行政権による濫用の恐れがある。従って、自力執行力は法律の根拠なしには認められない。税金取立については、国税徴収法等によって強制執行できる。不可変更力とは、行政庁自身がその行政行為の取消しや変更できなくなる効力をいう。
    行政行為の瑕疵には、無効な場合と取り消すことができる場合とがある。
    無効な行政行為とは、始めから全く効力を持たない行政行為のことである。行政行為の効力である公定力は認められない。裁判によるまでもなく効力を否定できる。瑕疵がどの程度であれば無効な行政行為となるのかの基準について判例は瑕疵が重大かつ明白か否かと示している(最大判昭31.7.18)。この重大明白説では、行政行為は違法の重大性と違法の明白性の2つの要件を満たす場合に無効とする見解である。違法の重大性の基準は、軽微さの裏返しの相対的な観念であって、一定の明確な枠をもったものではないが、重大な違法と言えるものとしては、根幹的な要件事実が存在しないのに存在すると誤認して行われた場合や行政行為の内容が例えば比例原則に著しく反しているような場合であると言える。違法の重大性の判断においては、国民側の事情、特に国民側が被った利益の内容をも衡量の中に取り入れる余地ありと考えられる。違法の明白性については、法定の取消手続外で各人が行政行為の効果を無視し得るための要件であることを考慮してのことで、ここでの明白性は、当然に何人にとっても明白であるということでなければならない。従って、瑕疵が明白であるかどうかは、処分の外形上、客観的に誤認が一見看取し得るものであるかどうかにより決定すべきである。しかし、重大性と明白性の基準があらゆる場合に求められる要件と考える必要はない。違法の様態に則して、個別的に判断しなければならないから、事情によっては重大性の要件のみで行政行為を無効と判断し得る場合もある。例えば、課税処分のように課税庁と納税者との間にのみ在し、行為の存在を信頼する第三者の保護を考慮する必要のない行為については、明白性の要件を必要としないとも考えられる。
     それに対し、重大かつ明白とは言えない程度の瑕疵の行政行為については、取り消すことができ、行政行為が取り消されると、その効力は遡って失われる。
     判例上、瑕疵ある行政行為を適法な行政行為と認められているものとして、瑕疵の治癒と違法行為の転換がある。瑕疵の治癒とは、瑕疵ある行政行為がなされた後に瑕疵が修復されて、完全に適法な行為になることをいう。違法行為の転換とは、ある行為が違法である場合に、別の行政行為としてみた時に適法であるならば、その別の行政行為とみて有効として取り扱うということである。いずれも法的安定性を確保するための措置であり、安易に認めることは適法性の観点から問題がある。行政行為の撤回とは、運転免許の取り消しのように、有効成立した行政行為の効力をその後に発生した新しい事情を理由に将来に向かって消滅させることをいう。違法性の承継とは、先行する行政行為の瑕疵を主張し、それに続く行政行為の取り消しを求めることができるかという問題である。先行と後行の行政行為は独立した行為であり、後行の行政行為も違法との主張はできないが、例外的に先行と後行の処分が連続した一連手続で同一目的を有している場合、違法性承継となる。
     以上、行政行為の効力、瑕疵について論じた。行政行為は理論上の概念であり、種々の説があり、行政行為は行政目的達成のために存在するのである。特に、公定力については根拠や限界等をめぐって議論がなされている現状である。そして、瑕疵の無効と取消の区別の基準では、瑕疵が重大かつ明白か否かという基準が通説とされている。つまり、瑕疵の程度により、無効、取消、適法かを判断する材料としているのである。
    行政法1 第二課題 行政行為の瑕疵

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