エコ・エコノミー

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    第 2 回 レスター・ブラウン(1934 ~ ) 『エコ・エコノミー』 翻訳2002 年、家の光協会
    原著 "Eco-Economy : Building an Economy for the Earth "
    「社会科学の名著を読むⅠ」三重大学人文学部 2003 年度特殊講義B 櫻谷勝美
    目次
    1 「経済と地球」についてのコペルニクス的転回
    2 ストレスの兆候:気候と水
    3 ストレスの兆候:生物基盤
    4 人類の挑戦:エコ・エコノミー
    5 ソーラー/水素型エネルギーを構築する
    6 新しいマテリアル経済を設計する
    7 全人類の食料供給を確保する
    8 森林の生産機能とサービス機能を守る
    9 健康で暮らしやすい都市にする
    10 地球規模の家族計画で人口を安定させる
    11 経済改革を実行する政策手段
    12 エコ・エコノミーへ、改革の最後のチャンス
    第1章 「経済と地球」についてのコペルニクス的転回
    1. 16Cにコペルニクスが発表した地動説のような世界観の根本的転換が、経済と自然システムとの関係にお
    いて必要である
    2. 経済が自然システムと衝突している証拠は、漁場の崩壊、森林減少、土壌浸食、放牧地の劣化、砂漠化、
    二酸化炭素濃度の上昇、地下水位の低下、気温上昇、頻発する破壊的な暴風雨、氷河の融解、海面上
    昇、珊瑚礁の死滅、生物種の消失などである
    3. 1950 年までの400 万年とそれ以降の 50 年では人口増は後者の方が大きい
    4. 地球の大きさに対して人口が少なかった時代には人工資本が乏しかったが、人間活動が拡大するにつれ
    自然資本が劣化し、自然資本維持が急速に重要となっている
    5. 政治家、企業、銀行、消費者は、経済的決定において市場のシグナル(価格)に導かれているだけである
    6. 市場のシグナル(価格)には、環境負荷コストはあまり入っていない
    7. こうした状況を是正するために、環境学者と経済学者が気候攪乱、酸性雨、大気汚染のコストを計算し、
    その数値をもとに税を現行価格に加え、価格が環境負荷コストを反映するようにすべきである。
    8. 生態系の維持可能収量、扶養可能能力、栄養循環、水門循環、気候システムなどの生態学的概念を理
    解した経済を設計しなければならない。自然はモノよりも高い価値をもつ機能を提供していることを認識し
    なければならない。
    第2章 ストレスの兆候:気候と水
    9. 大気中の二酸化炭素濃度は 1760 年 280ppm 、1960 年 316ppm 、2000 年 370ppm
    10. 原因は化石燃料の燃焼と森林の減少による。世界の炭素排出量は 1950 年:15 億トン、2000 年 63 億ト
    ン。
    11. 山岳地帯の平均気温が 1~2 度上昇すると雨として降る割合が増加し、雪として降る割合が減少する。雨
    1
    期の洪水が増え、乾期の雪解け水が減る。
    12. 20 世紀に海面は 10~20cm 上昇,もし1m上昇すると上海市の1/3以上が水没し,アジアで数百万人の
    気候難民を生み出す
    13. 河川の枯渇,帯水層の過剰揚水→人口増加を抑え、水生産性を高めなければならない
    第3章 ストレスの兆候:生物基盤
    14. 乱獲で崩壊する世界の漁場、減少する森林→土壌浸食、種の絶滅、大洪水、砂嵐、
    過放牧で劣化する放牧地→砂漠化
    15. 異変の相乗作用:雪と氷が溶けると土壌が日光を吸収⇔気温上昇
    16. 中国北西部の降水量の減少の主要原因は南東部の森林減少。アマゾンの雨林伐

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    第 2 回 レスター・ブラウン(1934 ~ ) 『エコ・エコノミー』 翻訳2002 年、家の光協会
    原著 "Eco-Economy : Building an Economy for the Earth "
    「社会科学の名著を読むⅠ」三重大学人文学部 2003 年度特殊講義B 櫻谷勝美
    目次
    1 「経済と地球」についてのコペルニクス的転回
    2 ストレスの兆候:気候と水
    3 ストレスの兆候:生物基盤
    4 人類の挑戦:エコ・エコノミー
    5 ソーラー/水素型エネルギーを構築する
    6 新しいマテリアル経済を設計する
    7 全人類の食料供給を確保する
    8 森林の生産機能とサービス機能を守る
    9 健康で暮らしやすい都市にする
    10 地球規模の家族計画で人口を安定させる
    11 経済改革を実行する政策手段
    12 エコ・エコノミーへ、改革の最後のチャンス
    第1章 「経済と地球」についてのコペルニクス的転回
    1. 16Cにコペルニクスが発表した地動説のような世界観の根本的転換が、経済と自然システムとの関係にお
    いて必要である
    2. 経済が自然システムと衝突している証拠は、漁場の崩壊、森林減少、土壌浸食、放牧地の劣化、砂漠化、
    二酸化炭素濃度の上昇、地下水位の低下、気温上昇、頻発する破壊的な暴風雨、氷河の融解、海面上
    昇、珊瑚礁の死滅、生物種の消失などである
    3. 1950 年までの400 万年とそれ以降の 50 年では人口増は後者の方が大きい
    4. 地球の大きさに対して人口が少なかった時代には人工資本が乏しかったが、人間活動が拡大するにつれ
    自然資本が劣化し、自然資本維持が急速に重要となっている
    5. 政治家、企業、銀行、消費者は、経済的決定において市場のシグナル(価格)に導かれているだけである
    6. 市場のシグナル(価格)には、環境負荷コストはあまり入っていない
    7. こうした状況を是正するために、環境学者と経済学者が気候攪乱、酸性雨、大気汚染のコストを計算し、
    その数値をもとに税を現行価格に加え、価格が環境負荷コストを反映するようにすべきである。
    8. 生態系の維持可能収量、扶養可能能力、栄養循環、水門循環、気候システムなどの生態学的概念を理
    解した経済を設計しなければならない。自然はモノよりも高い価値をもつ機能を提供していることを認識し
    なければならない。
    第2章 ストレスの兆候:気候と水
    9. 大気中の二酸化炭素濃度は 1760 年 280ppm 、1960 年 316ppm 、2000 年 370ppm
    10. 原因は化石燃料の燃焼と森林の減少による。世界の炭素排出量は 1950 年:15 億トン、2000 年 63 億ト
    ン。
    11. 山岳地帯の平均気温が 1~2 度上昇すると雨として降る割合が増加し、雪として降る割合が減少する。雨
    1
    期の洪水が増え、乾期の雪解け水が減る。
    12. 20 世紀に海面は 10~20cm 上昇,もし1m上昇すると上海市の1/3以上が水没し,アジアで数百万人の
    気候難民を生み出す
    13. 河川の枯渇,帯水層の過剰揚水→人口増加を抑え、水生産性を高めなければならない
    第3章 ストレスの兆候:生物基盤
    14. 乱獲で崩壊する世界の漁場、減少する森林→土壌浸食、種の絶滅、大洪水、砂嵐、
    過放牧で劣化する放牧地→砂漠化
    15. 異変の相乗作用:雪と氷が溶けると土壌が日光を吸収⇔気温上昇
    16. 中国北西部の降水量の減少の主要原因は南東部の森林減少。アマゾンの雨林伐採はブラジル南西部と
    パラグアイ、アルゼンチン北部を乾燥させる→山林火災
    第4章 人類の挑戦:エコ・エコノミー
    17. エネルギー源は化石燃料ではなく、太陽からのエネルギーである風力と太陽光、地球の内部からの地熱
    エネルギーに転換しなければならない
    18. 新しいエネルギー源への転換(=環境革命)は1 万年前の農業革命、250 年前に産業革命に匹敵する革
    命.全発電量に占める再生可能エネルギー源(水力発電をのぞく)は,2%に過ぎない
    19. 風力発電、太陽熱発電、地熱発電、水に依存しない下水システム、水産養殖などへの投資は、新しい雇
    用も生る
    第5章 ソーラー/水素型エネルギーを構築する
    20. 原発は安全性が課題である。それ以外にコストの面で、今まで廃炉コストを計算に入れていなかった。廃
    炉コストは建設コストに匹敵するので、高価なエネルギー源である
    原発発電容量は、1980 年代に 140%拡大、1990 年代 6%拡大にとどまった
    21. 石炭業補助金の停止が必要
    22. 需要サイドのエネルギー効率改善
    23. 表 145p エネルギー源別使用量の動向
    第6章 新しいマテリアル経済を設計する
    24. NYの一日のゴミは20 トントラック600 台に相当、一列に並ぶと15kmに達する。
    20C 半ばの世界経済を発展に導いた二つのコンセプトは、① 計画的陳腐化と ② 使い捨て
    「モノが使い古されて、捨てられるのが早ければ早いほど、経済はより急速に成長する」
    使い捨て的経済成長は雇用を増やすので望ましい ex.車のモデルチェンジやファッション
    25. 金属生産のための採鉱と精錬は環境破壊とエネルギー消費の最たるものである、(特に金はシアンや水
    銀を使い、川を汚染する)→
    対策: ① リサイクルしやすいような製品設計
    ② 廃棄物が発生しないような製造工程
    2
    ③ 使い捨て飲料容器の使用禁止
    ④ 再生資源を政府が購入する
    ⑤ 金の採掘にともなうシアン化合物溶液と水銀の使用禁止
    ⑥ 廃棄物埋立税の導入
    ⑦ 環境を破壊する生産活動への補助金廃止
    26. 資源の使用量を減らすもう一つの方法は自動車の使用を制限すること→炭素排出税
    第 7 章 全人類の食料供給を確保する
    27. 現在、世界人口 61 億人のうち11 億人は栄養不足で体重が不足している
    28. 世界の 3 つの食料システム(耕地、放牧地、海洋漁場)のうち耕地の収量はまだ増大する可能性があるが、
    その他は限界に達している。194pの表
    29. 1950 年代に農地開拓のフロンティアは消滅、それ以降耕地の生産力が2 倍になった。これは近代の特筆
    すべき科学的業績であるが、今後は水の生産性を向上させなければならない。
    30. 水不足が食料増産の制約となりつつある。河川や地下帯水層からの取水量の 70%が灌漑に使われてい
    る。冠水灌漑は水の無駄が多い。最近の研究で周期的な湛水(たんすい)でも変わりない生産量が得られ
    るという研究がある。水の生産性を高めなければならない。
    31. 農村の貧困が都市の貧困を膨張させないように農村の家族と共同体を保全しなければならない。人材開
    発、インフラ開発、アグリビジネスと農村工業をつくらなければならない
    32. 人口を安定させるために家族計画が必要である。
    第 8 章 森林の生産機能とサービス機能を守る
    33. 森林の消失は土壌浸食、帯水層の枯渇、多くの動植物の死滅をもたらす。木は住宅、紙、燃料に利用さ
    れている。世界で 20 億人が燃料として森林を使っている。過去 100 年間で世界の森林の半分が失われ
    た。90 年代に途上国の1 億 3000 万 ha の森林が減少し、先進国で 3600 万 ha の森林が増加した。途
    上国の森林は 3 年ごとに2%ずつ減少している
    34. 森林のサービス機能は 220p、飲料水の浄化作用は浄化プラントが10 年間で 110 億ドルかかるとすると
    (NYの例)、水源林を復元すると20 億ドルで可能である。
    35. 森林は沿岸から内陸に水を運ぶ役割をする。中国南部・東部の森林消失により海からの湿気が内陸に行
    かなくなり、北西部で降水量が減少→黄砂の原因になった
    36. 森林は昼と夜の極端な気温変動を和らげるし、二酸化炭素を吸収・貯蔵する。河川に泥砂堆積を防止す

    37. 木材は持続可能な方法で管理されなければならない。木材市場にアクセスする手段を持たない熱帯の所
    有者は樹木を焼き払う対象としか見ない。持続可能な森林管理のために、木材市場へのアクセス手段(林
    道や交通)を作らなければならない。
    38. 紙のリサイクルや造林をしなければならない。世界の人工林面積は現在 1 億 1300 万 ha であるが、2030
    年までに1 億 4500 万 ha に増える見通しである。
    39. 森林再生はエコ・エコノミーに不可欠である。
    3
    第9章 健康で暮らしやすい都市にする
    40. 都市は膨大な食料、水、エネルギーを消費し、ゴミ、人間の排泄物、大気と水の汚染物質を排出する自然
    法則に反する存在である。途上国では農村部での雇用機会の欠如から都市への移住が進んでいる。しか
    し都市の雇用、住宅、電気、水、下水施設、社会サービスの限度を超えている。先進国では自動車中心
    社会特有の肥満、肥満に起因する心臓病、高血圧、糖尿病が増えている。
    41. 都市のスプロール化により都心部の人口が減少し、通勤時間が郊外居住者の負担になっている。2000
    年のアメリカの調査ではアメリカ人の心配は交通渋滞、犯罪、雇用、教育の順番であった。(247P)
    42. 20 世紀の都市の交通手段は車であったが、それは都市環境の劣化に大きな原因となった。バスなどの公
    共交通機関と自転車が中心になるべきである。
    第 10 章 地球規模の家族計画で人口を安定させ...

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