ジェンダーフリー

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       グローバル社会におけるジェンダーフリーの在り方と日本の現状
    1E05H066-8 窪田大将
     「国際結婚」最近増えてきているキーワードであると思う。グローバル化している世界において人の動きが活発になり、国際的な交流が増えている現代において当たり前のことだろう。しかし、日本に来た外国人、外国に行く日本人の中にはその文化、文明の違いには驚かされている人も多いだろう。中でも日本に来た外国人が「女性の社会的地位の低さにはがっかり」との声をテレビ等でよく聞く。そこで今回は「ジェンダー」についての考え方と問題点を海外の「ジェンダーフリー先進国」であるスウェーデン、アメリカ、イギリスと比較しながら、今後日本ではどうすればいいのか?ということを考えていきたい。
    日本における社会平等は以前と比べると、とても進んできたようにみられている。しかし、今の社会ははたして本当に男女平等と言えるだろうか。今もまだ、様々なところで男性中心の考えをしている人々がいるのが現実である。男性は外で働き、女性は家事や育児をする。このような考えは見直されてきてはいるが、まだまだ女性の家事や育児の比率が高い。将来的に女性は男性と同じように働けるのだろうか。そもそも男女平等とはどういったことをさしているのだろうか。男性女性の労働が全く均等なことなのだろうか?海外のジェンダーフリーの歴史と現状を調べながら日本の問題を調べ、グローバルスタンダードを日本に確立する為にはどうしたらいいかを考える。
    日本におけるジェンダーフリーの歴史を調べてみると、意外にも30年前に遡る。世界における共通の認識としては、1975年国連による「国際婦人の年」と初めて問題視されたことから始まる。その後10年を「国際婦人の10年」と呼び、均等法に直接つながる男女平等立法への論議がされてくることとなった。その後たくさんの政策がなされたが、1975年の段階ではまだ、現状の家庭責任は女性にあるという考え方が雇用の場において不利になっていたため、既婚女性に対する諸措置が尊重されていった。1979年には国連が「女子差別撤廃条約」を採択し、日本は1980年署名、1985年批准した。そして、1985年5月17日には「男女雇用機会均等法」が成立したが、「形骸化している」と非難を浴びる結果となった。それは、まだ育児休業や再雇用制、また母性保護など育児期を乗り切る長期就業継続の政策は不十分であった。しかし、個別に企業雇用管理を見てゆくと女性が育児と両立させながらキャリアを形成させるという均等法の福祉法的側面を先取りした企業群もあった。しかし、今現在雇用者総数に占める女子の割合は諸外国と比べて低い。まだ、女性の社会進出には改善すべき問題がたくさんあるといえる。
    日本の女性の労働力率は49.3%と男性の労働力率、76.4%と比べるとまだまだ低い。年齢別労働率を見ると30~34歳層を底にM字型の曲線で表すことができる。これは出産、育児をする為に一時職場から離れ、育児が落ち着いた際に再び労働を始めるからだと考えることができる。ところが、ジェンダーフリー先進国であるイギリス、アメリカ、スウェーデンではこのM字型の曲線がみられない、何故か?ジェンダーフリー後進国である日本と先進国を比べると、M字型になってしまっている背景と問題点は、つぎの2点にあると考える。
    1つ目は女性のみが対象となる雇用形態、つまり年功賃金や年功序列の文化がある日本においては女性が「どうせ結婚し辞めるのだろう」という偏見から十分な企業内教育が受けられない為、終身雇用が確立されにくいことや賃金に差が出てしまうこと。2つ目は国による社会保障の法整備が進んでいないことが問題であると思う。1つ目の問題点は「賃金格差」と述べたが、2000年6月のパートタイム労働者を除く雇用者の賃金を見ると、女性の所定内給与額は男性を100とすると65.5と依然として男女間の賃金格差は大きいが年々格差は減少してきている。これは女性自身の努力による社会地位が進んでいることがプラスの方向に動いている。更に2000年の女性の同一企業での平均勤続年数は8.8年で、男性は13.3年に比較すると依然として短いが、1992年の7.4年、1995年の7.9年、1997年の8.4年とだんだん伸びてきていることがわかる。しかし、これは労働の上での平等が進んでいるのもあるが、日本の女性の晩婚化や未婚者の増加、子供を持たない夫婦の増加等から影響が来ているものだとも考えられる。2つ目の問題は国家の先見性に疑問符を感じるところだ。確かに男女雇用機会均等法などの法律は出来てはいるが、出産、育児に関してはほぼノータッチなのが現状であり、育児にめどがつき始め、仕事を再開しようとする45~49歳は再就職できる確立が少なく、このパートタイム労働者となるケースが多いことも問題である。パートタイム労働者はフルタイム労働者並みに働いているが保障はないし、低賃金で不安定である等不安要素が多いことから中々出産に踏み切れない人も多いであろう。このように日本では文化の閉鎖化、少子化の進行というような一種の「負のスパイラル」に陥っている。
    日本では問題がまだまだあるが、「ジェンダーフリー先進国」ではどのように問題点を克服したのか?先程あげた3国を調べてみた。
    まず福祉国家として有名なスウェーデンの事例を挙げてみよう。戦後のスウェーデンの男女平等とは性別役割分業の廃止にあるとされた。つまり、男女共に職業に従事し経済的に自立すること、家事・育児を分かち合うこと、地域や社会の活動にも参加することである。そのためには、職業・家庭・地域での構造変革が必要となってくる。そこで1970年代、社会民主党政府は「平等、参加、協調」を主とした政策を確立した。今まで、女性は職業を持っても家庭の役割を担ってきた。それでは、女性が二重役割を負ってしまう。そこで職業と家庭の両立を保障する必要なので、働く女性のための福祉政策が行われた。しかし、福祉政策で女性は職場進出したものの、賃金・地位共に男性よりも低かった。その理由として、男女同一労働賃金法はあるが職業の性別分離や昇進・昇格の格差があり、同一労働になっていないことがあげられる。つまり、家庭責任を男女で担い、性別で職業を分離している職業構造の変革が必要となってくる。 そこで、1971年に夫婦分離課税が導入された。これは夫と妻が個別に申告することで、女性が無収入でいるメリットがなくなり、女性の職場進出が促される。同年12月、性別分離された労働市場の解消のため、男女平等委員会が設置された。この委員会では、家事・育児補助のための労働時間短縮や、保育施設の増設を政府に勧告した。そこで、政府は1974年に男性も取得可能な育児休暇制度を作った。これによりスウェーデンは後に「福祉先進国」と言われるまでになった。しかし福祉国家がために公的支出の比重が高くなり、寛大すぎる福祉政策によって「稼いでも稼いでも税金に持っていかれる」というような勤労意欲の喪失が問題になっている。しかし職場におけるジェンダーフリーはすでに確立されており、日本が見習うべき点は多い。
    次にアメリカにおける特長を調べてみる。「人種のサラダボール」と言われるアメリカでは、奴隷黒人と女性の権利の保障が問題視され、ジェンダーフリーを求める運動が活発化した。南北戦争時、南部は奴隷制に基づく大農園中心だったため、奴隷解放には反対だった。それに対しアメリカ北部の奴隷は数が多かったためと、商工業が主体だったため奴隷の必要性が少なかった。そのため、奴隷解放がなされた。北部が勝利すると一気にジェンダーフリーの動きは加速し、1925年には初の女性知事がワイオミング州にて誕生している。アメリカの女性の社会進出の第一歩と言えるだろう。第二次世界大戦後、黒人解放運動が盛んになり、徐々に黒人差別がなくなりつつある。そして、1960年の雇用平等立法をはじめとする女性雇用平等のための様々な法律や制作が政府のバックアップではなく女性たち自身の多くの訴訟や判例により実現されてきた。そして1966年にNOW(全米女性機構)を設立し、性差別撤廃への積極的方針を政府に要求した。これをきっかけとして、アメリカの男女平等政策もまた労働と家族の調和という観点から、労働市場における平等だけでなく、家庭領域での平等を追求するようになった。そして、NOWは女子労働保護が女性の就職や昇進を拒むとしての保護規定は各州で、修正ないし排除された。しかしアメリカには「男女平等」の考えを徹底する為に女性の出産や育児を連邦法や州法は無く、理論主義であるアメリカらしいとも言える。その為他の国に比べ、ドメスティックバイオレンス(家庭内暴力)の割合が高いといった問題点もある。
    最後にイギリスの特長を調べてみた。イギリスは第1次世界大戦中の総動員体制を機に女性の協力の重要性が認識され、スウェーデンやアメリカ、日本より前の1918年に女性の参政権を獲得している。しかし、賃金は依然として低く、採用、昇進、教育訓練など雇用上の男女格差が明らかになった。そこで、労働組合の全国組織であるTUC(労働組合評議会)に結集する女性労働者の長きにわたる男女同一賃金要求運動と現代フェミニズム運動とが結びついて開かれ、「同一賃金法」「性差別禁止法」が制定された。しかしその時点では女性の結婚・出産後に働き続けるための施策は立ち遅れており、育児は母親や家族でという社会通念が強く、公的保育所が不十分で保育費用の税控除もない。1975年には有給の出産休暇制度ができたが、資格要件および給付日数...

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