LCA(ライフサイクルアセスメント)について : テキストデータ

LCA(Life Cycle Assessment)について
緒言
近年、地球規模の環境問題が深刻化している。中でも、地球温暖化、オゾン層破壊、酸性雨、天然資源の枯渇は深刻で、人間社会においても多大な影響を与え始めている1)。これらの環境問題には、問題の引き金となる要因物質(環境負荷物質)が存在する。それは、地球温暖化、オゾン層破壊では、二酸化炭素(CO2)やクロロフルオロカーボン(CFCs)、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)であり2)、酸性雨の問題では、硫黄酸化物(SOx)や窒素酸化物(NOx)である3)。これらは、環境負荷物質と呼ばれ、人間社会から排出されている。具体的には、工場やプラント、自動車、そしてエアコン等からである。天然資源の枯渇に関しては、最近の発展途上国の目覚しい急成長による資源の過剰消費が主な原因となっている 物質排出量の推移
最後に、固形廃棄物について述べる。図5に示した日本の1994年と2000年の固形廃棄物排出量によると、約5億トンから約4.5億トンと5000万トンほど減少しており、その中でも産業廃棄物の減少が大きい。
図5. 日本の分野別固形廃棄物排出量推移
-日本の環境問題への対策と取組-
前節で述べた環境負荷物質の排出を抑制する為に行なわれている対策と取組を述べる。まず、国際的な取組として挙げられるのは、地球温暖化ガス排出の抑制を目的とした京都議定書、オゾン層破壊物質排出の抑制を目的としたモントリオール議定書、そして、有害廃棄物の管理と抑制を目的としたバーゼル条約・ストックホルム条約等がある5)。
これらの国際的な取組みで規制された条件を満たすべく、日本国内でも、国家レベルから企業、各個人に至るまで、 幅広い取組と対策がなされている。国家レベルでは、環境基本法が1993年に11月に成立して以来、様々な環境汚染に対する法案が制定され、2000年には、廃棄物・リサイクル対策である循環型社会形成推進基本法が制定された6)。また、環境負荷物質排出の大半を占める産業界では、各企業がそれぞれ独自の環境対策を採っており、各々毎年環境レポートとして公開している。この環境レポートに活用されているのがLCA法であり、これを用いることによって製品に関わる環境負荷物質の排出量や、環境への総合的評価を行う事ができる。LCA法は企業だけでなく、様々な分野での活用が期待されている環境影響評価法の1つである7)。
次の章で、このLCAについて詳しく述べていくことにする。
LCA(Life Cycle Assessment)について
-LCAの起源について-
まずLCAとは、Life Cycl e Assessmentの略で、環境影響を定量化して計る評価手法の一つである。この手法は、環境への負荷の少ない生産へ移行することを促進するための製品・技術の評価手法として着目を浴びている。
 ここで、LCAの起源について、少しふれておく。
 LCAは、1980年代、コカコーラ社によるリターナブルビンとペットボトルの環境およびコスト評価が起源とされている。それから、米国・欧州のSETAC(Society of Environmental Toxicology and Chemistry)の設立と共に本格的に研究されるようになった。
 そして、1997年には、LCA法の国際的な重要性が増し、ISO/TC207(環境管理)において国際的標準化作業が行われ、ISO14040として発行されて、今日に至っている8)。 
-LCAの概要と目的-
LCAは、主に工業製品を主として、製品のライフサイクル(その製品・廃棄に至るまで)に関わる イクルアセスメント手法開発状況と国際標準化の動向,日本エネルギー学会誌,Vol.77, No.10,p. 934-940. (1998)
松野泰也・稲葉敦・伊坪徳宏・山本良一:日本におけるインパクトアセスメント統合指標の開発,日本エネルギー学会誌,Vol.77, No.12,p. 1139-1147. (1998)
T.E.Norgate・S.Jahanshahi・W.J.Rankin:Assessing the environmental impact of metal production processes,Journal of cleaner production,838-848,15(2007)
稲葉敦:ライフサイクルアセスメント(LCA)の最近の動向と今後の課題,資源と素材,Vol.115, p. 565-571. (1999)
稲葉敦:我が国の環境問題の動向とLCA,第1回日本LCA学会研究発表会公演要旨集‐web版‐12月(2005)
1
出典)EDMC/エネルギー・経済統計要覧2007年版