写真の特性とその表現の可能性

会員540円 | 非会員648円
ダウンロード カートに入れる
ページ数4
閲覧数1,606
ダウンロード数19
履歴確認

    ファイル内検索

    資料紹介

    写真は歴史的にしばしば絵画との関係においてその存在を位置付けられてきた。写真と絵画の関係を概観した上で、写真の特性とその表現の可能性について論じる。
     紀元前1世紀以前からギリシア、ローマの画家は、遠近法によって空間を平面に表現する技法を知っていた。しかし中世に入ると芸術家の技術の多くが失われ、ルネサンス期になりようやく芸術活動が再び活発になる。人々の自然科学に対する興味が急速に高まるとカメラ・オブスクラが注目を集めることになる。カメラ・オブスクラはラテン語で暗い部屋という意味である。明るい場所に面した暗い部屋の壁の穴を開けると光が暗い部屋の一点の穴を通して反対側の壁に光が入り込み、像が映し出されるという仕組みである。そしてそれはレンズを用いたり、鏡を使用したりすることにより、色々な形に変化し、さらには、ボックス型カメラ・オブスクラへと発達していった。
    カメラ・オブスクラの歴史のなかでも16世紀は、技術的な進歩が見られた時代である。視覚の衰えを補うための眼鏡は、それ以前からも使用されていて、読書をする人々の間ではすでになじみになっていた。カメラ・オブスクラのピン・ホールのかわりに、レンズを用いることをミラノのジロラモ・カルダーノが言い述べ、俳優が屋外で演じるのを、効果音をつけ演出して室内にいる人に投影した像をみせたという記録が残っている。
    芸術家たちは透視図を描くための補助具をいろいろと考案した。例えば、建築家フィリッポ・ブルネレスキは、この問題に理論的に取り組み、画家が建物を絵画に正しく再現することができるように幾何学的な公式を編み出した。そしてカメラ・オブスクラは画家200年の間に画家たちの間で広がり、18世紀には様々なスケッチ用のカメラ・オブスクラができ、一般の人にも親しまれた。画家のフェルメールやカナレットがカメラ・オブスクラを使用して絵画を作成したという風景画があると考えられている説もある。
     そしてカメラ・オブスクラを愛用した画家たちは多数いたという記録が残っている。
    19世紀になりカメラ・オブスクラは専門家向けの機器として、また娯楽として公園や遊園地などに建設されていく。なかでも重要なのが写真の発明にさいして果たした役割である。しかしカメラ・オブスクラはアマチュア画家に人気が高く、製造と販売は続くことになる。
    そしてこのカメラ・オブスクラの現象を利用して、像を定着させようという考えが写真を生み出した。写真の登場によりカメラ・オブスクラの映像は、平面に固定された。そしてそれらは、時空を超えて見ることのできる1枚のものになった。流れる時間を止め、切り取り、見ることによりそのときの感情さえも情景とともに思い出すことのできるものである。また、情報を切り取り、共有するものとして、現代でも様々なシーンで活用されている。
    ではその写真はどのように現代まで伝わり、現代で写真とは何か、ということを考察してみたい。
    19世紀末から20世紀初頭において、ヨーロッパやアメリカの写真家たちは、「絵画的写真」をたんに様式や技法の問題ではなく、同時代に生きる「芸術作品」として成立しうるか否かに関わる問題として探求をし、様々な表現を創造していった。その一人にアルフレッド・スティーグリッツというアメリカ人の写真家がいる。彼は旧来の絵画的な芸術写真を否定し、ストレート・フォトグラフィーを主張し、近代的写真表現への道を切り開いた人物である。彼の作品のモチーフは近代的であるが、ソフト・フォーカスを表現として使用しており、絵画的写真(ピクトリアル・フォトグラフィー)な表現方

    資料の原本内容( この資料を購入すると、テキストデータがみえます。 )

    写真は歴史的にしばしば絵画との関係においてその存在を位置付けられてきた。写真と絵画の関係を概観した上で、写真の特性とその表現の可能性について論じる。
     紀元前1世紀以前からギリシア、ローマの画家は、遠近法によって空間を平面に表現する技法を知っていた。しかし中世に入ると芸術家の技術の多くが失われ、ルネサンス期になりようやく芸術活動が再び活発になる。人々の自然科学に対する興味が急速に高まるとカメラ・オブスクラが注目を集めることになる。カメラ・オブスクラはラテン語で暗い部屋という意味である。明るい場所に面した暗い部屋の壁の穴を開けると光が暗い部屋の一点の穴を通して反対側の壁に光が入り込み、像が映し出されるという仕組みである。そしてそれはレンズを用いたり、鏡を使用したりすることにより、色々な形に変化し、さらには、ボックス型カメラ・オブスクラへと発達していった。
    カメラ・オブスクラの歴史のなかでも16世紀は、技術的な進歩が見られた時代である。視覚の衰えを補うための眼鏡は、それ以前からも使用されていて、読書をする人々の間ではすでになじみになっていた。カメラ・オブスクラのピン・ホールのかわりに、レン..

    コメント0件

    コメント追加

    コメントを書込むには会員登録するか、すでに会員の方はログインしてください。