「現代日本経済論」レジュメ

閲覧数3,416
ダウンロード数26
履歴確認

    • ページ数 : 3ページ
    • 全体公開

    資料紹介

    「現代日本経済論」レジュメ
    第2章「景気を読む」
    1.「日本経済TODAY」と3.「統計を読む」は専門的過ぎるので割愛。
    2.「歴史・理論を学ぶ」
    戦後日本の景気循環(P.27図2-1も参照)
    教科書P.50からの記述は明解でよい。今回は教科書に沿って進む。
    ・景気の山、谷:景気の上昇が頂点を迎え、下降に転ずる直前の月を「景気の山」と呼び、景気の悪化が最悪の点を迎え、上昇に転ずる直前の月を「景気の谷」と呼ぶ。
    なお、最新の景気の谷(不景気の最終の月)は1999年4月ごろになる模様である。
    特に重要な景気循環や用語について
    ・ 「特需景気」(朝鮮戦争ブーム)
     朝鮮戦争での米軍の需要を特需と呼ぶ。この特需により、終戦から不景気、インフレに悩んでいた日本経済が成長に向かう契機となった。
    ・ 「国際収支の天井」
     潜在成長力が大きくても、国際収支に余力がない(=輸出できる製品に国際競争力がなく、輸出が伸びない。そのため、輸入が少し増えると、すぐに貿易赤字等になってしまうこと)ことにより、実際の成長が潜在的成長よりも低く押さえられてしまうことをさす。
     国内で景気が良くなると消費も増え、それに伴って輸入も増える。ところが輸出は国内の景気が良くなったからといって伸びるものではない。すると、輸入が増えて、輸出は増えないとすると外貨準備高が減少する(物を買うために決算のために使われるドルを払いつづける一方で、輸出が多くないのでドルを受け取れないため。)。必需品まで入手できなくなると経済が混乱するので、そういう状況に至る前に景気引き締め策を取ることになる。日本が技術的に国際競争力をつけるまでは、輸出競争力は十分でなかったため、この「天井」が景気の拡大を終わらせてきた。この現象は昭和40年代のいざなぎ景気に至って初めて終わった。
    ・「いざなぎ景気」
     拡張期間57ヶ月という戦後最長の景気。この景気の過程で、日本が先進国並みの国際競争力を備えるに至った。輸出が伸びるようになったので、国際収支の天井という問題がはじめて解消された。
     むしろ、この景気の後期には、従来と異なり輸出が中心となって国内の景気を引っ張る形となった。これが、今日に至るまで続く貿易黒字問題の発端である。つまり、$1=\360という固定レートが、実際の日本経済の国際競争力と比較して、円安過ぎるという状況に至った。(国際競争力が過去と比較して高くなったので、従来と同じ円レートでは円安過ぎるようになったこと。例えば$1=\360では、円安過ぎ、\308などのレートでなければ、輸出が伸び過ぎること。)
    ・ 円切り上げ($1=\360から$1=\308へ)
     米国の国際競争力の低下から、国際収支が悪化し、外貨準備高が減少した。そのため、ドルが弱体化し、1971年12月米ドルの主要国通貨に対する切り下げ($1=\360から$1=\308へ:円の側から見ると円切り上げ)が行われた。(なお、この当時は現在の変動相場制と異なり固定相場制であった。変動相場制への移行は1973年のことである。)
    ・ 平成景気
     当初は通常の景気の拡大期であったが、低金利により、通貨が銀行預金を嫌って株式、土地に流れ込み、その結果資産価格の高騰を招いた。その結果、予想が予想を呼ぶバブルの発生を招いた。その過程で実力以上の投資、消費が行われた。特に金融機関には不良債権問題を残した。この問題は依然として解決されていない。
    (2)景気の波いろいろ
     在庫循環以外は検出が難しい。また、最近は、理論的裏付けに乏しいとされ経済学者の関心を呼ばなくな

    資料の原本内容

    「現代日本経済論」レジュメ
    第2章「景気を読む」
    1.「日本経済TODAY」と3.「統計を読む」は専門的過ぎるので割愛。
    2.「歴史・理論を学ぶ」
    戦後日本の景気循環(P.27図2-1も参照)
    教科書P.50からの記述は明解でよい。今回は教科書に沿って進む。
    ・景気の山、谷:景気の上昇が頂点を迎え、下降に転ずる直前の月を「景気の山」と呼び、景気の悪化が最悪の点を迎え、上昇に転ずる直前の月を「景気の谷」と呼ぶ。
    なお、最新の景気の谷(不景気の最終の月)は1999年4月ごろになる模様である。
    特に重要な景気循環や用語について
    ・ 「特需景気」(朝鮮戦争ブーム)
     朝鮮戦争での米軍の需要を特需と呼ぶ。この特需により、終戦から不景気、インフレに悩んでいた日本経済が成長に向かう契機となった。
    ・ 「国際収支の天井」
     潜在成長力が大きくても、国際収支に余力がない(=輸出できる製品に国際競争力がなく、輸出が伸びない。そのため、輸入が少し増えると、すぐに貿易赤字等になってしまうこと)ことにより、実際の成長が潜在的成長よりも低く押さえられてしまうことをさす。
     国内で景気が良くなると消費も増え、それに伴って輸入も増える。ところが輸出は国内の景気が良くなったからといって伸びるものではない。すると、輸入が増えて、輸出は増えないとすると外貨準備高が減少する(物を買うために決算のために使われるドルを払いつづける一方で、輸出が多くないのでドルを受け取れないため。)。必需品まで入手できなくなると経済が混乱するので、そういう状況に至る前に景気引き締め策を取ることになる。日本が技術的に国際競争力をつけるまでは、輸出競争力は十分でなかったため、この「天井」が景気の拡大を終わらせてきた。この現象は昭和40年代のいざなぎ景気に至って初めて終わった。
    ・「いざなぎ景気」
     拡張期間57ヶ月という戦後最長の景気。この景気の過程で、日本が先進国並みの国際競争力を備えるに至った。輸出が伸びるようになったので、国際収支の天井という問題がはじめて解消された。
     むしろ、この景気の後期には、従来と異なり輸出が中心となって国内の景気を引っ張る形となった。これが、今日に至るまで続く貿易黒字問題の発端である。つまり、$1=\360という固定レートが、実際の日本経済の国際競争力と比較して、円安過ぎるという状況に至った。(国際競争力が過去と比較して高くなったので、従来と同じ円レートでは円安過ぎるようになったこと。例えば$1=\360では、円安過ぎ、\308などのレートでなければ、輸出が伸び過ぎること。)
    ・ 円切り上げ($1=\360から$1=\308へ)
     米国の国際競争力の低下から、国際収支が悪化し、外貨準備高が減少した。そのため、ドルが弱体化し、1971年12月米ドルの主要国通貨に対する切り下げ($1=\360から$1=\308へ:円の側から見ると円切り上げ)が行われた。(なお、この当時は現在の変動相場制と異なり固定相場制であった。変動相場制への移行は1973年のことである。)
    ・ 平成景気
     当初は通常の景気の拡大期であったが、低金利により、通貨が銀行預金を嫌って株式、土地に流れ込み、その結果資産価格の高騰を招いた。その結果、予想が予想を呼ぶバブルの発生を招いた。その過程で実力以上の投資、消費が行われた。特に金融機関には不良債権問題を残した。この問題は依然として解決されていない。
    (2)景気の波いろいろ
     在庫循環以外は検出が難しい。また、最近は、理論的裏付けに乏しいとされ経済学者の関心を呼ばなくなっている。
    ・ 在庫循環(キチン循環)1サイクル40から50ヶ月程度
     在庫の増減で生じる循環。一番はっきり出る循環。我が国でいう「いざなぎ景気」、「平成景気」などの景気循環は基本的にこの在庫循環である。
    ・ 設備(投資)循環(ジュグラー循環)1サイクル10年程度
     設備投資の増減で生じる循環。
    ・ 建築循環(クズネッツ循環)1サイクル20年程度
     住宅や、商工業建物の立替えなどによって生じる循環。
    ・ コンドラチェフ循環(技術革新循環)1サイクル50年程度
     技術革新が原因で生じる循環。または、これのみ「波」と呼ばれる。なぜなら、技術革新には実際には循環的要因がないため。蒸気機関、鉄道建設、電気・化学・自動車などの革新的な技術の普及が「波」を起こしたとする。
    (3)景気循環の原因
    ・ 太陽黒点説
     太陽の活動が、農作物の作況に影響を与えそれが景気循環を起こすとする説。太陽黒点の増減周期も、景気も約10年を一周期としていること等から唱えられた。
    ・ 過小消費説、過剰投資説
     ともに、さほど説得力なし。
    ・ 革新説
     技術革新が景気変動を招くとするもの。
    ・ 乗数効果と加速度効果説
     一番一般的な説。実証研究の対象ともなり易く、現時点では一番妥当。また、多くの経済モデルに採用されており、経済予測の重要な一部分となっている。
    ○ 乗数効果
     ある一定額の支出(例えば政府からの景気対策などでの公共投資)が、最終的に、その支出の何倍もの所得を生み出す効果。逆の言い方をすれば、公共投資が景気を引き上げる効果が大きいかどうかは、この乗数効果が大きいかどうかで決定される。
     この乗数効果の大小を決めるのは、限界消費性向の大きさである。限界消費性向とは、ある人や企業等の所得が増加した時に、その所得の増加分のうち、消費の増大に当てられる部分の割合をいう。例えば、1万円収入が増えた時に7千円消費し、3千円貯蓄するならば、その人の限界消費性向は7000÷10000で0.7となる。(同時に限界貯蓄性向は3000÷10000で0.3となる。)
     簡単に言うと、公共投資をはじめとする政府の支出が、景気に大きな影響を与えるかどうかは、皆がどのくらいお金を使ってくれるかに左右される、ということである。
    情報提供先 -> http://sun.s15.xrea.com/lecture/lec1205.html

    コメント0件

    コメント追加

    コメントを書込むには会員登録するか、すでに会員の方はログインしてください。