性別の自己決定

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    性別の自己決定 フレームワーク
    1.はじめに  近年、「性の自己決定」及び「性別の自己決定」という語を耳にする。性別をめぐる問題は、従来から相当に論じられてきたが、これまでは男性/女性の性別が固定的であることを前提に、男性女性間の差別の解消という形で論じられてきた。このため、堕胎の自由など一部の論点を除いて、自己決定権の問題としては認識されることは少なかったように思う。
     しかし、男性・女性の中にも多様性が認められること、トランスジェンダーやインターセックスのように、性別間の移行や中間的な性の問題を含めること等を考えると、すでに差別のみに基づく言説では説明できないのでないかと思う。ここに、自己決定権から見るジェンダー論を構築する意義がある。
     また、ジェンダーの問題に限らず、日本においてもマイノリティを自認する人々の権利意識は大変高まっているが、単に行政による一方的な保護を求めるだけでなく、自らの問題を自律的に解決する機運が出てきた中で、自己決定という概念はその中心に位置づけられつつあるように思える。
     しかし、今日の性科学や社会学の進歩により、「性別」概念が多義になってきたこともあるが、論者のいう「性」ないし「性別」の意味はまちまちである。このため「性別」の意味を確定せずに「性別の自己決定」という語を用いることは、むしろ混乱を招いているだけであるように思える。
     また、日本においては人権思想も一定限浸透してきた一方で、国家や共同体の利益の前に人権を包括的に制限しようとする思想も依然有力である。この中で、自己決定といっても、単なるエゴイズムと捉えられかねない。ここで、権利を主張する側も、むろん人権といっても絶対無制約なものではないわけだから、自らの権利を主張するばかりでは世の理解は得られない。このため、自己決定権とはいっても、その制約要因に絶えず目を向けた議論がなければ、大変一方通行で無意味な論争に終わろう。  従って、以下においては、まず自己決定権に関する議論の背景及び意義に目を向けつつも、自己決定されるべき「性別」の内容ごとに論点を分けながら、その制約要因に注意を払いつつ論じることにする。 2.自己決定権とは何か  自己決定権とは、自らの私的(private)な事柄につき、自らの意思の基づき、他者、とりわけ国家の干渉を受けずに自由に決定できる権利である。  自己決定権は、20世紀初頭以降のアメリカの判例法理において、広義のプライバシーの権利、すなわち「ひとりで放っておいてもらう権利」の一内容として定立されたものである。もう少し遡ればJ.S.ミルが『自由論』の中で、「他人の権利を害しない限りで、何をやってもよい権利」と述べたものが、その起源にあたろう。もっとも、自由に関する議論をすべて含めるなら、西欧においては、更に遡って議論が蓄積されていることになる。
     いずれにせよ、自己決定権は、他者の不当な干渉を排除し、個人の人格の自律を確保する意義をもつという意味で、つとめて自由主義的な考えに基づくものである。そして、身近なところでは、学校における服装や髪型の自由、医療におけるインフォームド・コンセント(十分な説明を受けてきた上での同意に基づく施術)、ジェンダーと関係するところでは、堕胎の自由をはじめとするリプロダクションの権利などにおいて、問題にされてきた経緯がある。
     ところで、障害を持つ者など、社会的に不利益を受けやすい者の自己決定権の行使については、単に他者の干渉を排除するというだけでなく、一定の公的機関の助力を想定する考えもある。その場合は、

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    性別の自己決定 フレームワーク
    1.はじめに  近年、「性の自己決定」及び「性別の自己決定」という語を耳にする。性別をめぐる問題は、従来から相当に論じられてきたが、これまでは男性/女性の性別が固定的であることを前提に、男性女性間の差別の解消という形で論じられてきた。このため、堕胎の自由など一部の論点を除いて、自己決定権の問題としては認識されることは少なかったように思う。
     しかし、男性・女性の中にも多様性が認められること、トランスジェンダーやインターセックスのように、性別間の移行や中間的な性の問題を含めること等を考えると、すでに差別のみに基づく言説では説明できないのでないかと思う。ここに、自己決定権から見るジェンダー論を構築する意義がある。
     また、ジェンダーの問題に限らず、日本においてもマイノリティを自認する人々の権利意識は大変高まっているが、単に行政による一方的な保護を求めるだけでなく、自らの問題を自律的に解決する機運が出てきた中で、自己決定という概念はその中心に位置づけられつつあるように思える。
     しかし、今日の性科学や社会学の進歩により、「性別」概念が多義になってきたこともある..

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