4-8非相対論的にスピンを導く

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    非相対論的にスピンを導く
    シュレーディンガー方程式の線形化。
    動機
     ディラック方程式ばかりを使ってスピンの話をしていると、スピンは相対論的な効果の現れだというイメージで考えが固まってしまう惧れがある。 今回はディラック方程式を使うことなくスピンの存在を導いて見せて、その辺りの考えを突き崩しておくことにしよう。
     基本的な思想は前にクライン・ゴルドン方程式を線形化してディラック方程式を得たのと同じなのだが、途中の計算には少しばかり技巧的なところがあって、一体どうしてこんなことが思いつけるだろうかと感じるかも知れない。 ディラック方程式の成功例を見ていなければわざわざそのような計算をする意味を疑うことだろう。
     シュレーディンガー方程式は E = p²/2m + V という式を元にして作られていた。
     これには座標の2階微分が含まれることになっているわけだが、その部分を何とかしたい。 ディラック方程式に倣って、シュレーディンガー方程式を
    という形式で表してやることは出来ないだろうか。 この式が成り立ってさえいれば元のシュレーディンガー方程式も同時に自然に成り立っていると言えるように工夫するのである。
     なぜそんな手続きが必要なのか、と問われたら何と答えようか。 時間と空間座標は対等であるべきだから・・・などと説明すれば、やはり相対論の思想が根底にあるのではないか、という結論になってしまいそうだ。
     しかしディラックの「線形化しないと相対論の要求を満たさないから」という思い付きは現代の視点から見るとそれほど正しいわけではなかったのである。 そのままでは使えないと思われたクライン・ゴルドン方程式は、相対論的な場の理論において、スピンを持たない粒子を表すのに活用されている。
     そうなると、次のように答えておくより他にないのではないだろうか。 「線形化することでスピンが自然に導かれてくることが分かっているからだ」と。
      尚、今回の記事の計算は1967年の Levy-Leblond の論文「Nonrelativistic Particles and Wave Equations」 ( Commun. math. Phys. 6, 286 (1967) ) を頼りにしている。
    手続きの説明
     シュレーディンガー方程式に任意のポテンシャル V が含まれたままだとどうにも計算がうまく行かないので、仕方なく V = 0 として自由粒子についてだけ考えることにする。 さらに計算がやり易いように項を全て左辺に集め、全体に 2m を掛けておくことにする。
     このシュレーディンガー方程式を満たすように (1) 式の係数 A, B, C を決めてやろう。 係数 A, B, C は t や x に依存しない定数であるとする。 ディラック方程式を作ったときのやり方をそのまま真似るならば、
    という計算をして、この展開結果を (2) 式と比較すれば解決しそうである。  しかし残念ながら、今回はそれほど単純には答えは出ない。 できるものならやってみるといい。 私ならこの程度の障害にぶつかった時点で「シュレーディンガー方程式の線形化は不可能である」と結論して早々に諦めてしまうことだろう。
     しかし頭のいい人がいるもので、 A, B, C とは全く別の係数 A', B', C' を導入して、
    という式を作り、これを展開したものが (2) 式と同じになるようにすればいいと考えたのである。 係数を増やすなんて無茶なことをすればそれだけ面倒な要素が増えてしまう気がする。

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    非相対論的にスピンを導く
    シュレーディンガー方程式の線形化。
    動機
     ディラック方程式ばかりを使ってスピンの話をしていると、スピンは相対論的な効果の現れだというイメージで考えが固まってしまう惧れがある。 今回はディラック方程式を使うことなくスピンの存在を導いて見せて、その辺りの考えを突き崩しておくことにしよう。
     基本的な思想は前にクライン・ゴルドン方程式を線形化してディラック方程式を得たのと同じなのだが、途中の計算には少しばかり技巧的なところがあって、一体どうしてこんなことが思いつけるだろうかと感じるかも知れない。 ディラック方程式の成功例を見ていなければわざわざそのような計算をする意味を疑うことだろう。
     シュレーディンガー方程式は E = p²/2m + V という式を元にして作られていた。
     これには座標の2階微分が含まれることになっているわけだが、その部分を何とかしたい。 ディラック方程式に倣って、シュレーディンガー方程式を
    という形式で表してやることは出来ないだろうか。 この式が成り立ってさえいれば元のシュレーディンガー方程式も同時に自然に成り立っていると言えるよう..

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